天山・激動の草原地帯(4)

天山・激動の草原地帯

天山山脈 北部の旅 その二

激動の天山4-1

   兵団農作地帯を抜けて走る、左右の風景は 日本の農村風景ではない。

 高粱畑は地表一帯高粱が覆い ヒマワリが見渡す限り植えられている。

 福海村近くに大きな湖があり、公道の右側(北側の方位)はU字谷 緑が谷を埋めるが 左手は砂漠の原野。

 湖の近隣は兵団農業地帯であった。 灌漑施設があり、水は少なかった。

 この地を離れれば そう 砂漠地帯で すな・沙・砂・スナの荒涼たる荒地が続いた。

 公道217号線はに乗り 舗装道路を南下した。

 小一時間は走ったであろうか、工事中で 誘導看板に従って荒れ地のバイパスを進んで行った。 この道がすごい まさしく パリ・ダカールのカー・レース 砂塵をまき散らし走る。 大型トレーラーがやって来る。 脇に逸らして、 猛然と運転手君 猛然と 濛々漠々の砂塵の中に突っ込んでいく。 10分間は視界ゼロ。

 この道 217号は幹線道路。 行き交う車両は少なくはない。 再び トラックが三台続いて やって来た。 もう どうにでもしろ・・・・・

 2時間余り腰が右に左に前に上にと 定まらない、腸は胃の上に来たようだ。

 運転手君 アィヤー と工事中の路肩に突進した。 路面は アスファルト舗装前の砂利舗装 だが 天上の高速道路を走るような乗り心地である。

 小一時間は走っただろう アスファルト下地の 舗装完了前の直線道をグングングンと南下した。

 仕上げ工事に忙しく働いている現場の片側を通り抜けて先を急いだ。 その10分後 サイレンけたたましく工事管理車両が追ってきた。

 バッチンさんが 袖の下で話を付けた。 罰金は免れた。 だが アスファルト下地の路面走行は 厳と拒否された。 私が中に入り、道から直ちに離れることで話を付けた。

 だが、四輪駆動ではないマイクロ・バス 路肩の斜面が降れない。

 やむなく 来た道を戻り、緩やかな斜面 再び パリ・ダカのカー・レースが再開された。

 孫悟空兄よ 助けてくれ。 せめて 美女を一人寄越してくれ と 心電を発するも、悟空が本拠“鬼夜城”は遥か彼方で姿も見えない。

激動の天山4-2

【 ジュンガール盆地西部 他より転載 】

 不思議な地域がある。 バイカル湖周辺です。 世界遺産に成っています。

世界の最低気温が記録されたと記憶するのです が、 古来 有力遊牧民が胎動の地です。

 オイラート・キルギス・メルキット(ジンギスカンの宿敵部族)・ケレイト(ジンギスカン家の嫁家)・回鶻・高車族 等々 がこの地方から 次々と遊牧民世界に覇権を確立しいった地域です。

 不思議な地域だと思います。

 ジンギスカンの“モンゴル”は諸部族統合の旗印として、ジンギスカンが自ら定めた呼称です。 したがって、モンゴル族とは広範な諸部族・諸民族を包括しているのです。

 厳密にはモンゴル種族は非常に少数かも知れません。 特に 成吉思汗の所属するボルジギン氏は少数でした。 ジンギスカンは 己が氏族は 少数であることを自覚していたのでしょう。

 彼は勤めた 子孫を増やすことに また 他の種族と血縁関係で結ばれることを

 事実 ジンギスカンは 周りの推薦もあったでしょうが、4人の皇后と32人の側室(后妃)を持っています。 愛妻・ボルテが皇后として差配しています。 彼女は“モンゴル”維持の為 と理解していたのでしょうか・・・・・・

     《ボルテが新婚の折、彼女はネルキト皇子に奪われ、ジンギスが単独乗り込み取戻します。その結果 ジンギスの勇姿を草原に轟き、ネルキト族とは宿敵に成る。 ボルテは略奪された折、身籠っていました。 ジジギスの下で長男・ジュチを生む。 ジンギスは その正嗣子に“ジュチ(客人の意)と名付けたのです。 ジュチの苦悩を耶律素材が救う。》

 前記の「2004年にオックスホード大学の遺伝学研究“ジンギスのDNA解析”や部下の将軍達との逸話「モンゴル帝国史」など ジンギスの性向が垣間見られます。 また 彼の正嗣子もそうでしょう。 同じ轍を フビライ・カーンの元朝は 一歩進める民族混血策を推し進めますが・・・・

激動の天山4-3

【騎馬遊牧民の故郷 不思議とこの地域から帝国を創建した氏族が出現している 胎動の場所】

 この地 ジュンガールに新しい部族が現れました。 13世紀に“騎馬遊牧民の故地”から オイラート・モンゴルが勢力を拡大して来たのです。

 ジンギスカーンの巨大帝国は4皇子に分割され、兄弟の覇権争いは鎮静化されて100年。 元王朝(末子の家系)が東部の覇者に留まったが、元は明に覇権を奪われて終い。 《次男の血筋は 元に壊滅される》

 この地では ジンギスカーンの血筋(三男・ヤガタィの血統)は権力なき名誉貴族として凋落していました。

《長男の血筋は 東欧・ロシア南部で分裂割拠 近代まで生き残っています》

 13世紀中葉 西欧の十字軍が華や時代であった。 オイラート・モンゴルはゴビ砂漠南部を制圧し、14世紀初頭には勢力を西方に拡大して行ったのです。 15世紀にはチャガタイ・ハーン帝国の東半分に政権を確立しています。

 16世紀中頃 バートル・ホンタイジが現われ イリに本拠を構え、新疆地区の支配者 マホメットの子孫(ホージャ家)が握る権力を奪っています。彼はチベットを統一してチベット王の位に就いています(1642年)。

 バートル・ホンタイジは このジュンガール地区やタクラマカンのオアシス地帯に平和を 一時 築くのですが 身内に殺されてしまいます。

 ホージャ家が盛り返す。 バートル・ホンタイジの弟でダライ・ラマに師事する“僧・ガルダン”がいました。

 ガルダンはダライ・ラマの支援を受けて、青海地区を奪取 ハミ・敦煌を平定してイリにて政権を確立(1678年)したのです。

 回教勢力ホージャ家はパミールの西方に去り キルギス族をも西方追い払う。 蒙古族系の王国を天山山脈を中心に覇権を確立したのです。

 以来 この地はジュンガール王国と呼ばれました。 ガルダンはロシアとの交易に力を注ぎ、草原の道を活性化します。 無論 シルクロードの交易も旧来以上に活用して行きます。

 12世紀のカラ・キタイ 13世紀のジンギスカンの兄弟げんか 14世紀の蒙古族同士のの覇権争い 15世紀のイスラム勢力と蒙古勢力の激突 17世紀のカルダン・オイラト支配も長く続きませんでした。

 18世紀には 清朝がオイラト・モンゴルをジェノサイトのように破壊・殺略します。 ロシアが攻め込みます。 イギリスがイスラム勢力を支援して 雪崩れ込みます。

 悲しい歴史が 繰り返されていく 大量の血が流されていく・・・・・・

激動の天山4-4

 公道217号線の脇 パリ・ダカコースを二時間程度 砂煙を撒き散らし、砂塵を潜り抜け 走った。 孫悟空兄の居城“鬼夜城(NHK.新シルクロードにて放映)”が左方に見える頃には4車線の舗装道路を逃走していた。 四時を回っている。

 ヒューヒュー ゴーゥゴーゥ 砂塵が何時も舞い、強風が丘陵地帯の砂岩を抉り取り 夜には強風の音が 妖怪の叫び・赤子の泣き声 女人の喜悦の叫び 恐ろしき声に成る と 言う。

 孫悟空大明神兄に会いに行く元気は もはやなく 一路カルマイ市にひた走ことにした。

 悟空兄よ 冬に会にこよう。

 太陽が西の 低い山稜に消えようとする前 私達の車は魔界に入った。

 蟷螂の群れが現れた。 カマキリは 大きな下半身を上へ 下へと振り続けている。 細い両腕で口に咥えるストローをしっかりと握っていた。

 油田地帯だ。 進めば進む程 蟷螂の数が増えた。 石油抽出蟷螂は その数を増し いつしか 見渡す限りの地平まで 私達を取り囲んでいた。

 タクラマカン砂漠の真っただ中で見た 鉄骨とパイプ それに 長大な煙突塔の先から噴き上げる炎も無いが、この空間は 確かに 魔界ではないか。

 夕日を帯びる蟷螂が 妙に色っぽい だが、地球の血を吸う妖怪ではないか。 悟空が差配する妖怪ではないか。

 見渡す四方を覆い尽くす蟷螂魔界の空間で 彼方に 人が住む灯りが見え出した。 私達は 人恋しさに カルマイへと突進した。 日はすでに暮れている。

 カルマイ市に入り、大きなビルに車を着けた。

 ホテルのロビーには友人パティグル《美人のウイグル女性 ウルムチに来れば 拙宅に泊り、シェラトン・ホテルのアーケードでブランド商品を何時も買って帰る。 家内は何時も ブランドを着こなし センスがいいと褒めている。 父親は石油関係の技師》が待っていた。

 パチィグル嬢の案内で 久しぶりに正統ウイグル料理にありつけた。 家内が化粧品を彼女が手彫り木製皿を   交換している。

 彼女が気を利かせて 特別にオーダーした鯉の料理に誰も手を付けないので 鯉の目玉が怒り出したように思えた。 アルコールは一切なしだが、楽しい晩餐である。

 宴は終わり、それぞれ 部屋にもどる。 私と家内はパティグル嬢に礼を言い 明日は早朝出立なので、見送り無用と言い タクシー代を手渡した。

激動の天山4-4

激動の天山4-5

 ※ 義経=ジンギスカン説; 江戸時代に林羅山や新井白石らによって真剣に議論され、 水戸光圀(天下の御意見番)などは蝦夷に探検隊を派遣するなどしている。

 シーボルトがその書「日本」で主張したあと、大正末年に小谷部全一郎によって『成吉思汗ハ源義經也』が著されると大ブームになった。 多くの学者が論及し、多くの信奉者を生んだ。

 高杉彬かな 小説に書いたのは? 東北・北海道では今も義経北行説を信じる人が多い。

                   ・・・・ハッハッハ 学者の世界も 妖怪が多い

                         *当該地図・地形図を参照下さい

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