探検家・冒険家 =6-②= 

 僻地を彷徨う古生物学者 = ポール・セレノ =

~ ロスト・ワールドを謎解く化石を求めて ~

ポール・セノンー6-

過酷なサハラ砂漠や南米、中国など5大陸で数多くの化石を発見してきた古生物学者

 その中には、最初期の恐竜、ヘレラサウルスのほぼ完全な全身骨格も含まれる

約25年に渡って発掘を続けてきたセレノの発見は、恐竜化石に留まらず、

古生物や人骨にまで及ぶ

ポール・セノンー7-

アートと古生物学: 虫好きから古生物学者へ

 アメリカ・イリノイ州、シカゴ近郊のオーロラで生まれ、すぐ隣のネイパービルで育ったポール・セレノは、科学への関心を主に教室の外で養った。

  「小さい頃から自然が大好きで、最初は虫が素晴らしいと思って虫を集めていた。やがて葉っぱを集めるようになった。 その頃はあまり恐竜や化石のことは考えたことがなかったが、とにかく自然と生物が大好きだった」とセレノは話す。

  北イリノイ大学に進学した当初は美術を専攻していたが、子どもの頃から親しんでいた生物や進化に次第に興味を惹かれ、さらに化石にも興味を抱くようになった。

 しかし、アーティストになるか古生物学者になるかは決めていなかった。 そのような中、ある日参加した博物館の裏舞台見学ツアーで古生物学に目覚めたという。

  「あのときに気づいた。古生物学にはアート、旅行、冒険、科学のすべての要素が詰まっている。総合的な学問なんだとね」。

  化石の発掘には芸術的センスも必要だとセレノは言う。

 「土の中から突き出ている物があったら、“これは何か”、“見えない部分はどうなっているか”と想像しなければならない。芸術家のような想像力が必要だ」。

 その後、コロンビア大学で地質学の博士号を取得。 1987年からシカゴ大学で古生物学、進化論と解剖学の教授として教鞭を執りながら、数々の調査プロジェクトを 指揮してきた。

ポール・セノンー8-

 “月の谷”再び: エオラプトル発見と後日談

 1988年のヘレラサウルス全身骨格発見後、90年の過酷なニジェール遠征をはさんで、91年に2度目のアルゼンチン遠征を行う。

 前回と同じイスキグアラスト累層から、最も“原始的”と言われる体長約1メートルの小さな恐竜エオラプトルの骨格化石を発見した。

 恐竜時代の最初期に存在したことから「夜明けの泥棒」を意味するエオラプトルとセレノは命名した。 二足歩行であることやノコギリのような歯などから、ヘレラサウルスと同じ獣脚類に分類した。

 「恐竜時代の極めて初期、まだ動物の中でも日陰の存在だった頃に、エオラプトルは最も恐竜らしい姿をしていた。 当時の動物界で最大でも支配的でもなかったが、まぎれもない恐竜だ。 隆盛時代の前兆のような存在だったと言える」。

 2011年に入り、セレノは2億3000万年前のアルゼンチンに生息していた新種の獣脚類「エオドロマエウス」に関する調査結果を発表した。

 エオドロマエウスの化石は1996年、イスキグアラスト累層でアルゼンチン・サンフアン国立大学のリカルド・マルティネスと環境保護団体「アースウォッチ」のジム・マーフィーが発見した。

 夜明けの泥棒、エオラプトルとの類似点が多かったため、当初は同じ獣脚類の近縁種と考えられた。 しかし、その後の研究に加わったセレノがマルティネスらとともに科学誌「サイエンス」に発表した内容は、初期恐竜進化史を書き換えることになった。

 同じ地層から過去に見つかった化石の再分析を進めた結果、エオラプトルは肉食の獣脚類ではなく、竜脚類であるとの結論に達したのだ。

ポール・セノンー9-

 ジュラ紀から白亜紀まで栄えた竜脚類は、アパトサウルスやブラキオサウルスなど、四足歩行で首と尾が長い大型の草食恐竜である。

 「これだから恐竜の起源は面白い」とセレノ氏は驚きを示す。

 「2億3000万年前、草原を走るこの2種は見分けがつかないほどそっくりだったはずだ。 獣脚類と竜脚類は、見かけも食性も著しく異なる。 最初期は差が少なかった体重4.5~7キロほどの2種が、一方は巨大なディプロドクスに、一方は凶暴なティラノサウルスに進化したと誰が予測できただろうか」。

ポール・セノンー10-

※;エオラプトル (Eoraptor) は中生代三畳紀後期(約2億2,800万年前)に生息していた最古の恐竜のひとつ。 現在知られている恐竜の中でも最も原始的だと考えられ、恐竜に含めない研究者もいる。  恐竜時代の黎明期に存在したことから名前は夜明けの泥棒という意味を持つ。

体長約1メートル。 小型で軽量な体躯。 既に中空の骨を持っていた。 頭骨は細長く、顎には多数の歯があった。 歯の形態は特殊化しており、顎の前方の歯は古竜脚類とよく似た木の葉形、後方の歯は獣脚類特有のカーブした形になっていた。

前肢は短く、指は五本あった。 しかし、このうち2本は退縮しつつある。 原始的な獣脚類に含まれると見なされてきた傾向が強かったが、外鼻孔や前肢の指の形態から原始的な竜脚形類の仲間ではないかと近年になって提唱されはじめている。

※;ジュラ紀(Jurassic period)は現在から約1億9960万年前にはじまり、約1億4550万年前まで続く地質時代である。 三畳紀の次で白亜紀の一つ前にあたる中生代の中心時代、あるいは恐竜の時代と言える。

ジュラ紀の名前は、フランス東部からスイス西部に広がるジュラ山脈において広範囲に分布する石灰岩層にちなみ、1829年にアレクサンドル・ブロンニャールにより提唱された。 その後、1962年と1967年に開かれた国際ジュラ系層序小委員会により、11の階(期)の区分が確立された。 漢字では当て字で「侏羅紀」と書く。

白亜紀(Cretaceous period)とは、地球の地質時代のひとつで、およそ1億4550万年前から6550万年前を指す。 ジュラ紀に続く時代であり中生代の終わりの時代でもある。  次の時代は新生代古第三紀の暁新世である。

白堊の堊(アク/ア)は粘土質な土、則ち石灰岩のことであり、石灰岩の地層から設定された地質年代のため白堊紀の名がついた。 白堊を白亜とするのは常用漢字にないからで、亜(亞)には土の意味は無い。

白亜紀は温暖な気候と高海水準で特徴付けられる時代である。 他の地質時代と同様に白亜紀の開始と終了の地層には際立った特徴があるものの、正確な年代については、数百万年程度の誤差が見受けられる。

白亜紀の終わりを示すK-T境界においては、イリジウムが大量に含まれた粘土層が世界中に見つかっている。これは、6,568万年前にユカタン半島およびメキシコ湾にある巨大なチクシュルーブ・クレーターを作った隕石の衝突によりその破片が地上に降り積もった物と考えられている。

この隕石の落下が引き起こした気候変動が、白亜紀末の大量絶滅に関係あるという学説は、現在では地質学者、古生物学者らの間で広く支持されている。

ポール・セノンー4-

・・・・・・続く・・・・・・

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