『光の剣』_闘争の系譜 Ⅰ_03

ネイズビーの戦い

17世紀はアイルランド史のなかで最も血塗られた時代である。 17世紀中期 キルケニー同盟が蜂起したアイルランド革命(1641年)に端を発するアイルランド同盟戦争(1641年 – 53年)が発生していた。 この戦争によりカトリック教徒はアイルランドの支配権を取り戻したが、1649年植民地主義的なイングランドの侵略が始まる、いわゆるアイルランド遠征が国土を蹂躙した。 この侵略でアイルランドの人口の3分の1が死亡するか亡命した。 また、1641年の反乱への懲罰として、ほぼ全てのカトリック地主の土地が没収され、イングランド人入植者へと与えられた。 アイルランド人の地主たちはコノート地方へと移住させられ、カトリックに対する刑罰法によってカトリックの地主階級が凋落し、差別が固定化する事になった。

=アイルランド遠征; イングランド・スコットランド・アイルランドで起きた内戦・革命である三王国戦争(清教徒革命またはピューリタン革命)のさなか、オリヴァー・クロムウェルによって率いられたイングランド議会軍によるアイルランド再占領。 1649年にイングランド議会に代わってアイルランドを再占領するため上陸したクロムウェルはアイルランド東部と南部を落とし1650年に去った。 結果として、50%以上もの人口減少を起こしたと主張する少数派もいる=

1689年、アイルランドは名誉革命の舞台となった。 カトリック教徒であるジェームズ2世がイングランド議会により廃位され、オランダ総督・オラニエ公ウィレム3世がウィリアム3世として即位すると、アイルランドのカトリックはジェームズを支援してイングランド王位に復位させようと試みた。 このウィリアマイト戦争でアイルランドはカトリックとプロテスタントに二分して相争ったが、1690年にボインの戦いでジェームズ軍が敗れると、アイルランドでもプロテスタント支配が強化され、カトリック刑罰法も以前に増して厳しく施行されるようになった。

アイルランド人のイングランドへの不満は植民地支配により経済情勢が悪化するにつれ激しさを増していった。 適当な地主の不在により農業生産は輸出品中心となり、国内消費に必要な農産物は不足した。 1740年代には2年にわたる寒波がアイルランドを襲い、アイルランド大飢饉と呼ばれる飢饉により40万人もの農民が死亡した。 イングランドの貿易法によってアイルランドの輸出物が関税をかけられるのに対して、イングランドの製品は無関税でアイルランドに流入した。

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18世紀になると、プロテスタントの特権階級の間でアイルランド人としての意識が芽生え始めた。さらに1775年に勃発したアメリカ独立戦争の対処に追われたイギリスは、アイルランドに対して強硬策がとれなくなった。 こうした中、ヘンリー・グラタンにより率いられた党派は、イギリスとの貿易不均衡の改善やアイルランド議会の尊重を訴え、事実上立法権を回復させるなど、アイルランド議会の地位を向上させた。

しかしながら、アイルランド人の結束が一枚岩であったわけではない。 当時のアイルランド議会はプロテスタント系地主が中心であり、多くの人々はカトリック教徒の政治参加など一層の議会改革を求めていた。 1789年にフランス革命が勃発すると、アイルランドにおいても革命政権との連携を通じて急進的改革を図ろうとする動きがあり、革命の波及を恐れた英首相ウィリアム・ピットまでが、カトリック教徒の政治参加に理解を示す妥協的姿勢をみせた。

このような背景で、アイルランド議会のプロテスタント勢力は孤立し、イギリスへの完全併合をむしろ必要とするようになった。 一方1791年にはウルフ・トーンによって、信教の自由とイギリス支配からの独立を掲げるユナイテッド・アイリッシュメンが設立された。 この活動は1798年の反乱により頂点を迎えたが、タラの丘での戦闘などでイギリス軍により鎮圧された。

アイルランドで高まったフランス革命への共感は、フランスと対立するイギリス政府の大きな懸念材料となり、その解決策としてアイルランド併合が指向された。 カトリック教徒解放という公約を示した上で、1800年にイングランド議会とアイルランド議会で連合法が可決され、翌1801年にグレートブリテンおよびアイルランド連合王国が成立し、アイルランドは国外植民地としての自主性も失い、完全にイギリスに併合された。 しかし、国王ジョージ3世の強硬な反対などもあり、カトリック教徒解放の公約は留保され続けた。

Drogheda

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===== 続く =====

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