連合維持か独立か=1=

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英国の国旗、ユニオン・ジャックはイングランドの旗(白地に赤の十字)、スコットランドの旗(紺地に白の斜め時十字)とアイルランドの旗(白地に赤の斜め十字)を組み合わせたもの。
住民投票の結果によっては、ユニオン・ジャックのデザインを変更する必要が生じるかもしれない…。スコットランドの未来は、霧にかすむエディンバラ城=写真=のように、はっきりと見渡すことが難しい。
因みに、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国は、国旗としてユニオンフラッグ(Union Flag)あるいはユニオンジャック(Union Jack)として知られる王室旗を使用する(ユニオンジャックは「船の国籍を示す旗」を意味するという俗説にもかかわらず、専門的にはどちらの名称も正しい)。

1707年に、スコットランドが
「連合王国」の一員となってから300年あまり。
形の上では対等ながら、
イングランドには常に虐げられてきたという思いを
拭い去れないスコットランド人がほとんどだろう。
独立を果たしたい
これはスコットランド人の悲願といえる。
しかし、現実問題として考えるとなれば話は別だ。
それでも悲願達成を唱える賛成派が勝つか、
自らのために連合王国に残るべきだと主張する反対派が勝つか。
2週間後に迫った運命の日を前に、
今回の住民投票について書いてみることにしたい

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ウェールズの意匠

イギリスを構成する4つの非独立国のうち、ウェールズは13世紀末という早い時期にイングランドに服属し国権の一体化が進んでいたため、国旗の中にウェールズの国旗の意匠が取り入られることがなかった。 その後、政府と議会の成立にまで至ったウェールズの国民意識の復興に伴い、イギリスの国民統合の観点からウェールズのシンボルとなっている「赤い竜」の意匠を取り込むべきとの主張が一部から提起されている。

この主張に対し、ユニオンフラッグがあまりにも定着しすぎていること、他国の国旗の意匠に入っており影響がイギリスのみならず他国に及ぶこと、何よりも3つの十字架と赤い竜ではデザインがあまりにもかけ離れ過ぎているので整合性の取れた国旗を作るのは難しいこと、などが指摘されている。

2007年、『デイリー・テレグラフ』がウェールズの意匠を取り入れた旗の試案を募集したところ、当時の首相ゴードン・ブラウンの顔と竜とを組み合わせたり、欧州連合の旗を組み合わせたりと、英国民からブラックユーモアに富んだ作品が多く投稿された。 英国内だけでなく、日本からも複数の作品が投稿され他の意匠とともに掲載された。 その後の投票によると、1位はノルウェー人からの投稿作品、2位は日本からの投稿作品となったが、そのどちらもが日本のアニメーションを題材(1位の作品には天元突破グレンラガンの「グレン団」の意匠が、2位の作品にはゼロの使い魔の「ルイズ」が描かれている)とした作品だった。

2014年9月18日にスコットランドのイギリス(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)からの独立の是非を問う住民投票が開催されることが決まると、「もしスコットランドが独立すると、イギリスの国旗は変更されるのではないか」ということが現実味を帯びてきた。 もしユニオンフラッグからスコットランドの国旗の部分を外すと赤白青の三色のうち青の部分が消えるために、300年以上親しまれた旗の意匠が大幅な変更となる。スコットランド独立の是非は政治や経済分野での議論もなされているが「国旗の変更」のほうも「ウェールズの旗の緑を入れてはどうか」「黒に金十字の『聖デイヴィッドの十字』を入れたらどうか」など「新国旗案」がイギリスのメディアで取り上げられた。

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独立は貧困を招く

「エコノミスト」誌といえば、国際事情と経済を中心に扱う硬派の刊行物として定評があるのはご承知の通りだろう。1843年創刊、ロンドンを拠点に毎週発行される同誌では様々な特集記事が掲載されるが、2012年4月14日号=左写真=は発行されるや否や、大きな波紋を投げかけた。 「It’ll cost you – the price of Scottish independence」(スコットランド独立は、高くつく)というタイトルの下に、何の変哲もないスコットランドの地図が置かれている…と思いきや、「Scotland」はよく見ると「Skintland」と打ち換えられている。 「skint」とは「文無し」のこと。 つまり、独立後のスコットランドは「文無しの国」になるという、強烈なメッセージがこめられた特製地図だったのだ。

この「Skintland」以外にも、エディンバラが「Edinborrow」になり、ご丁寧にも「アテネと姉妹都市」と注釈が入れられているのをはじめ、グラスゴーは「Glasgone」、アバディーンは「Aberdown」、スコットランド北部のハイランド地方は「Highinterestlands」と置き換えられ、「落ち目になる」「下降線をたどる」「困窮する」といった、マイナスのイメージを連想させる名前にどこも『変形』させられている。

スコットランドのシェトランド諸島に至っては、「Shutland Islands」(leased to Norway)=ノルウェーにレンタル中、と記されるなど、意地悪くも機知に富む英国人(イングランド人)の皮肉好きな性格がいかんなく発揮された表紙となっている。
これに激怒したのが、2011年5月の選挙で、予想外の大勝利をおさめ、スコットランド議会の第一党に躍進した、「SNP(Scottish National Party=スコットランド国民党)」である。 SNPは、2011年の選挙で、「同党が勝ったあかつきには、スコットランド独立の是非を問う、住民投票を行う」ことを公約のひとつに挙げ、有権者の心をつかんだ。

SNPは見事、勝利を手中にし、党首のアレックス・サモンド氏(Alex Salmond)はスコットランド自治政府の第一首相に就任。公約どおり、住民投票を行うことを宣言したのだった。 エコノミスト誌が、独立を選んだ場合のスコットランドの行く末について特集を組んだのは、この宣言を受けてのことだ。

冒頭で説明した表紙どおり、独立推進派にとっては厳しい内容の記事だったが、これが掲載されてから2年あまり。独立推進派と、連合王国にとどまることを求める独立反対派のあいだで、激しいバトルが繰り広げられてきた。 双方の主張について、主なものを記す前に、そもそもなぜスコットランドで独立を熱望する機運がここまで高まったのかを探っておきたい。

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===== 続く =====

*当該地図・地形図を参照下さい

 

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