ガイ・フォークスの陰謀=06=終節

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○●○死力を尽くした男○●○

 逮捕直後フォークスは身分を明かさず「ジョン・ジョンソン」と偽名を通した。 共謀者をかばい何も喋らなかった。 できるだけ時間を稼ぎ、仲間を逃がしたい一心だったのである。  国王がフォークスと共謀者達をロンドン塔に移送することを命じた。 これは厳しい拷問が待っていることを意味する。 フォークスは真っ暗で立つことも横になることもできないような独房に入れられた。 日中は引きずり出されて拷問を受けるという日が続いた。

それでも口を割らないフォークスに、ロンドン塔で最も恐れられている拷問法が使われた。 仰向けに寝かされた状態で両手両足を逆方向に引っ張られるという拷問だ。 信念の塊のような人物であるフォークスにも、さすがに限界がきていた。 共謀者の名前と知っていた爆破計画の全てを自白し始めた。 フォークスは憔悴しきっていたのである。 自白書に残る署名「Guido」の震えた文字が、それを物語っている。 署名を命じられたがペンを持つのもやっとで、綴り終えるとペンが手からポトリと落ちたという。

フォークスは、主要メンバーのうち4人が実は既に射殺されていたことを聞かされて涙を流した。 リーダーのケイツビー、パーシー、そしてライト兄弟だった。 共謀者の中で最年長だったウィンターは重症を負い、後からロンドン塔に送られて来た。 ウィンターは傷が回復した後、11月の末に事件の全てを告白している。このウィンターの告白内容とフォークスの告白内容が最も信憑性があり、「議事堂爆破陰謀事件」の諸説の基礎となっている。 また、密告犯として疑われたトレシャムもロンドン塔に送られて来た中の1人だったが、牢獄で毒死した時には誰も悲しまなかった。

明くる年の1月27日。
生き残った8人の謀反者の裁判が開始された。 国家に対する反逆の罪を否定する者はなく、全員が死刑を宣告され公開処刑となった。 1月30日にセント・ポール大聖堂の中庭で4人が処刑され、フォークスを含む残りの4人はウェストミンスターのオールド・パレスヤードで処刑された。

厳しい拷問を受けたフォークスの肉体は、絞首台の階段を1人で昇ることができず、刑執行人が手を貸さなければならなかった。 しかし台上に上がるとフォークスは毅然と正面を向いた。 「神のお許しを」と祈りを唱え、胸の前で十字を切った。そして「私は死を恐れない」と告げたのだった。

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○●○ 陰謀事件の遺したもの ○●○ 

議事堂爆破陰謀事件後のイングランドは、事件の話でもちきりだった。 シェイクスピアは陰謀事件に因んで最新作「マクベス」を書き、王の暗殺を描いたと言われている。

=現在知られる内容の『マクベス』の推定執筆年代は1606年頃である。 これについては、バンクォーを祖と考えるステュアート家スコットランドジェームズ6世1603年イングランドの王位を継承(ジェームズ1世)したことが大きく影響している。 さらに、第2幕第3場の門番のセリフが、1605年に発覚した火薬陰謀事件に関与して裁判にかけられたイエズス会士ヘンリー・ガーネット (Henry Garnet) を念頭に書かれているとの推定から、本作の成立を裁判のはじまった1606年の中頃以降と考える説が有力となっている。 また、音詩マクベス》(Macbeth作品23は、リヒャルト・シュトラウスが作曲した最初の交響詩。シェイクスピアの『マクベス』を題材として作曲された。 更には、1908年のJ・スチュアート・ブラックトン監督作品、1948年のオーソン・ウェルズ監督作品、1971年のロマン・ポランスキー監督作品、2006年のジェフリー・ライト監督作品等々映画作品が生まれている。=
フォークスらの処刑後、カトリック教徒の暮らしは、当然の事ながらますます厳しくなった。 フォークスたちが目指した結果とは全く反対に、爆破陰謀事件がカトリック教徒にもたらしたものは、何世紀も続くことになる一層激しい弾圧だった。 新しい法律が作られ、カトリック教徒は弁護士や軍人になることを禁じられた。 ロンドンに住むことも禁止され、選挙権も無かった。 英国国教会に改宗しない限り、死後の埋葬すら許されなかった。 カトリック教徒が、法律上、イングランドで英国国教会の教徒と同等の権利を得るまでに、それから200年以上も待たねばならなかったのである。

事件以後、「11月5日」という日はイギリスにおいて、特別な意味をもって記憶されることとなった。 1606年1月、議会は11月5日を「命を救い給うたことを神に感謝する日」として、法定の祝日と定めた。 この制度は1859年に廃止されるまで、2世紀半にわたって続いた。

また名誉革命(1688年)の際には、カトリック信仰を奉ずるジェームズ2世を廃してイングランドの新国王となるべく決起したオラニエ公ウィレム3世(のちのウィリアム3世)は、イングランドのトーベイへの上陸日を11月5日に設定した。 この事件は新旧両教派間の深刻な対立構造を改めて示したが、これがのちの北アイルランド紛争を惹起する原因の1つとなったといわれる。  事件を契機に、毎年国会の開院式前には、赤い制服を身にまとった王衛兵 (Yeomen of the Guard)が議場をはじめ王宮一帯をくまなく点検する儀式が行われているが、紛争とそれに伴い頻発したIRAのテロ事件を背景として、現在では単なる行事の域を遥かに超えた大規模なものとなっている。

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 そして400年経った今日も、爆破陰謀事件は、導火線をポケットに隠し、火薬点火の瞬間を待っていたところを逮捕されたフォークスに因んで「ガイ・フォークス・ナイト」として人々の間に語り継がれている。 また、国会議事堂では陰謀事件以降、毎年欠かさず議会開催日の前夜に実施されていることがある。 次なる爆破計画を未然に防ぐために、衛兵が議事堂地下室を見廻ることになっているのだ。 こうした慣わしが、400年、変わらず続けられている事実が、この陰謀事件がイングランドに与えた衝撃の大きさを如実に伝えているといえる。

今年も、11月5日がやってくる。 また、イングランド中で、冬の花火が夜空を焦がすことだろう。

Remember, remember the Fifth of November,
The Gunpowder Treason and Plot,
I know of no reason, Why the Gunpowder Treason should ever be forgot.
Guy Fawkes, Guy Fawkes, t’as his intent
To blow up the King and Parli’ent….

覚えておこう、覚えておこう、11月5日を。
「ガンパウダー・トゥリーズン・アンド・プロット」
(爆薬と反逆と陰謀の事件)の日を。
「ガンパウダー・トゥリーズン」事件が
忘れ去られるべきだという理由はどこにも無いはずだ。
ガイ・フォークス、ガイ・フォークス、
国王と国会を爆破しようとした男。

ガイ・フォークス・ナイト ; イギリスでは、11月5日(ただしグレゴリオ暦)は「ガイ・フォークス・ナイト」と呼ばれている。 毎年この日には、「ガイ (guy) 」と呼ばれるフォークスを表す人形を市中に曳き回したのちに篝火で焼く行事が各地で行われた。 現在では、専ら打ち上げ花火を楽しむ祭りとなっている。

ガイフォークス!ロンドンの花火大会

https://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=biyXEuhTmpk
https://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=LKU8ojS6fOM

 異説 ; Scholastic社刊のThe Slimy Stuarts(ISBN 9780590134828)によれば、これはそもそもジェームズ国王がしくんだ偽の事件であるという説がある。 箇条書きで簡単に書かれているが、これが事実であるという書き方になっている。 翻訳すると次のようになる。 ≪ジェームズはイングランドに到着当初あまり人気がなく、人気取りのためにこの事件をしくんだ。 やり方は、まず敵を作る(カトリックが望ましい)、次にその中に紛れ込ませた手下に「国王と大臣全てを吹き飛ばす」計画を吹き込み、計画実行直前に逮捕する。 ・・・・・≫

2015.04.25_4

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===== 続く =====

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