創作; “光の庭”のうたた寝 =026=

❢❢❢ 遼王朝皇族が耶律大石、王朝再興賦 ❢❢❢

黄砂ー1

❝ =第一章第2節_12= 陰山・五原 ❞ 

月明かりを突いて、若者が大石の吾妻屋に走り込んできた。 月明かりで視界は明るい。 月が青白く照らすその顔に大石は記憶がある。 安禄明の子飼い、執事の長男であることに気付いた大石は、直ち若者を傍に引き寄せ 《 変事か 》 と質する声を上げた。

「主人、安禄明様からの文に御座います。 尚 書面に無きことながら、『耶律余睹殿は阿骨打殿に妻子を人質として捕らわれ、忠節を誓われた』と伝えよ、との伝言でございます。 片膝を付き、見上げる若者に「そなたの名は・・・・」と 大石が問うた。

「安禄明様の執事・石鵡六(セキ・オムロクが長子 隻也(セキヤ)と申します」と 小身に似ず野太い声で答えている。 彼の眼には力があった。 意志が強そうなで、若者の勝気な雰囲気がある。

「庭は冷える。 庵でもこの月明かり、文は読めよう」と 若者を誘い、大石は今一度 青白き月を仰いで庵内にはいる。 隻也もそれに続いて入り、土間に佇んでいた。 大石が受け取った封筒には二通の書面が納めてあった。 書院として使っている庵内に一室での机に向かい、南京(燕京)の友からの文を開いた。 緊急の知らせは伝鳩が運んでくれる。 石隻也を使いに向けたのには、他の意味合いもあろうと思いつつ大石は二通の文を読んだ。 一通には 皇帝の次男である梁王が病みに伏したこと =見知りの医師が内密に伝えるに 回復は無き事=、大臣・諸将の思惑が絡み、天錫帝の太子だった耶律朮烈(ヤリツ・シュツレチキ、英宗)を擁する動きあること と記し、更に 私見として述べている。

≪ 耶律朮烈は 北遼先皇帝の三男なれど妃の子 また、優柔不断の性との世評、今に至らば、皇太子位が空位の今は 北帰の策は水泡に帰したこと。 時迫り来れば、帝都の崩壊は瞬時のこと、金の阿骨打は入城後 すぐさま 五原に兵を向けるは予想をたがわないこと、五原の皇帝は西夏には向かえまい、なれば 南宋への亡命を策画するであろう。 その折の手土産には大石殿の首が必要に成るであろう。 ≫

・・・・そして 最後に ≪耶律楚詞殿に同行するは、契丹貴族蕭氏・ウイグル族の王族が末裔にて石抹言(セキ・バイゲン)が息女チムギ。 抹言殿は周知のように西夏王国はもとより、西域での勢力は我が家すら凌ぐであろう。 西夏の重臣セデキ・ウルフ殿が楚詞殿とチムギ殿を五原に向かわせた。 同封の書は石抹言殿が親書、西域の諸王への文、事あらば、使われたい≫と追記していのである。 読み終えた大石は、全ての状況を踏まえた上での 禄明の心温まる友への配慮が感じられ、視界が広がるように思えた。

翌朝、日が昇ると共に 耶律大石は耶律時を呼び 安禄明の手紙の内容をすべて話していた。 西からの寒い風が 湖面を渡り、葦原を戦がせている。

「時、あれに居る若者がこの文を届け、新皇帝が死の病の床にあるとの禄明殿からの極秘伝言を伝えてくれた」
「・・・で、その伝言とは・・・・・」

「余賭殿がアボダに屈服した。 もはや、心底から金側の将になったとのことじゃ」
「されば、都は・・・・・」

「石隻也と申すのか、こちらに来るがいい」 突然の大声に驚きながら隻也は大石の傍に立つ耶律時の前に跪いた。

「これ、そなたは安禄明様の使い、大石殿の前に出るが良かろう」
「いえ、昨夜 恩主である安禄明様の私くしめの命令を伝えたところ・・・・」

「時よ、この隻也は以前から そなたに憧れ、そなたの下で働きたくて、禄明殿に直訴したそうだ。 で、禄明殿は『都の明日は知れぬ 算盤が立つそなたなら 大石殿の駒として働けよう』と さらに『帰還は許さぬ』と送り出したもようでのぉ」

葦原ー1
 「して、汝 いつ都を立った・・・・」
「三日前の夜でございます」
「なんと、天狗・・・ これは・・・神の早掛けを致したと申すか」

「いえ、安禄明様のお計らいで、馬を乗継いで参りました。 宿場に着けば、父が書きし証書にて変え馬が得られました。 日夜駆けてまいりました。 この先にて最後の馬がこと切れ、月明かりが幸いしてか やっとの思いで辿り着くことが叶いました」

耶律時は、野太く、朴訥に答える小身の若者・石隻也が気に入ったようすである。 時は、大石のほうに体を向けて、「軍事統師殿・・・」

「時、改まってなにようか 」

「只今より、ここに居る石隻也を我が直属兵士にする事 ご裁断願いたい」
「時よ、もとより そのつもりで 両名を呼んでいる。 弓を教えるがいい」

2015-02-13_6

=== 続く ===

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