創作; “光の庭”のうたた寝 =043=

❢❢❢ 遼王朝皇族が耶律大石、王朝再興賦 ❢❢❢

黄河流域

 

❝ =第一章第3_12 五原脱出

日が落ち、満天の星 その輝きが寒さを一層強め、静寂の中で酷寒の寒さが全てを凍らせていた。 駱駝ですら凍死するという。 黄河が湾曲している鳥加河の河原は広い。 堤らしきものはなく、周辺には樹木はない。 低木が散在しているが葦原である。 荒涼とした河原に大きな篝火が燃やされ、兵士たちが暖を取っている。 流木を集めて燃やしているのであろうが、凍りついた地で 流木の入手は簡単ではない。 黄河下流の包頭(パオトウ)近郊で産する燃える黒い石を携えて来ているのであろう。 近隣の村で入れた一頭の羊が解体され、全員に供するには小量ながらも供された肉を焼きながら談笑している兵士の顔は淡い炎で照らされている。 顔に笑みを浮かばせ彼らは夕餉を取っていた。 一団の中央に欽宇阮(コン・ウゲン)と何蕎(カ・キョウ)が居た。 すこし離れて石隻也は羊の骨を砕き、その髄を啜っている。

「欽兄 王庭を離れて、はや 三っ日が過ぎた。 統師さまはいかがされておられようか・・・・」 と隻也が骨の残骸を捨てて声を掛けた。 欽宇阮は物思いに耽っていたようすで、炎から目を離して隻也を視なおし、何蕎に視線を移している。

「師さまに付きしたがって五年の歳月。 今日ほどうれしく思う日は無い、思い切り働けるんじゃ、それと、儂は統師さまが北の草原から小興安嶺山脈に向かわれるとは どうしても思えン。 我らが牙城より東には進まれないと思う。 西に向かわれるはずじゃ 明日からの事を思えば自然と、ここがいきり立ってくる。 何蕎殿、西方のおなごは美形ぞろいじゃと言うが どうじゃ・・・・・」

「儂にはようわからんが、欽兄が言ったうれしい思いは同じじゃ、名前だけの将軍や王子など 糞くらいだが 明日から 楚詞王子と統師さまの身近で働けると思えば元気もりもり、欽兄以上にじゃ だが、おなごはチムギさまを見守っているだけで十分・・・・契丹のおなごは知らぬが、西方に移住したウイグルは天山や葱嶺の美形と交わり、東方のウイグル以上の美形揃いと聞くが・・・・ 何蕎さま、いかがですか・・・・・ 」

「欽宇阮さま、石隻也殿 私くしを殿扱いはお止め下さい。 チムギさまの下僕と言え、今は統師さまの兵と自戒しております。 されば、呼び捨てでお願いします。 また、隻也殿 いや、私くしが年配者の様子ゆえ、隻也弟と呼ぼうが故に、蕎兄と・・・・」と 欽宇阮に向けていた視線を隻也に移した何蕎の言動には、西夏丞相の執事としての経験に裏付けられた人の和を重んじる話術が伺える。 彼は若さに似合わず、何時も柔和な話しぶりである。

「そうよ なー・・・ チムギ殿は西蔵のラマが言う 観音菩薩かも知れん、だが 夜回りのとき、一度 観音菩薩様が長剣を振っておられるのを見た。 隙の無い動きをされていたが ウイグルのおなごは恐ろしいかも知れんなー 」と 宇阮が物思いから我に返ったのか呟いた。 そして、石隻也を見据えて「話は違うが、楚詞王子の拳法は並ではないらしい、五台山の免許皆伝 嵩山少林寺の正統。 隻也よ、一つ 正式の弟子入りしてみてはどうかのー 24時間 王子殿の身近でお世話できるという この上もない機会ものだが・・・・」

「それは 耳寄りな話。 時さまより弓矢の手ほどきを受けた上に、嵩山少林寺の正統拳法を身に付ければ・・・・・しかし、欽兄、楚詞王子に直接お願いの頭を下げる訳にはいかず・・・・ 」
「よし、話は決まった。 統師さまにそれとなく耳打ちをしておくが、隻也よ おぬしは時殿に頭を下げてお願いしろ。 時殿のこと、ひと肌もふた肌もぬいでくだされよう 」

「あのー 欽殿・・・ 私の名前も ソノー 時殿にお願いできませんか・・・・ 」

 

黄河
「これは つい、隻也と話し込み、失礼いたした。 先ほどの話、明日からの事は 全て蕎殿の指示に従えば成就するでしょうから、大いに安堵しておりまあす。 今ほどの拳法を身に着けたいとのお話、楚詞王子に限って拒まれることはないでしょう。 隻也と競われるはお互いに修得の早道かも知れん。 それに、天狗党の総統を辞任されている時殿の事、喜ばれないことは決してありますまい」「それは 嬉しい 私は西夏にぐずぐずせずに 欽殿の責務の目鼻が立てば、直ちに西夏の興慶を離れ、時殿が帰還される前に我々の可敦城に入りましょう。 隻也弟よ お願いしますよ 」

「明日も 早立ち 隻也よ、一時会えぬが無理をするなよ いや、楚詞王子のお傍なら・・・いやいや、お傍に居るから おまえの張り切りすぎが心配になる・・・・お開きにしよう。 蕎殿 明日から よろしく 願います。 」
「殿はよしてください、・・・・・・」

星が天空に煌々と在り、取り囲む周囲は生命の息吹が感じられない冬の荒野。 黄河流域のである鳥加河の河原は寒風が吹きぬける場所である。 その夜も寒風すさび 星が天空に煌々と在った。 しかしながら、寒風を避けられるような一画に、羊の鞣革を縫い合わせた大きな皮布の中心に支え棒を立てる簡易天幕が設けられている。 その数は10張り、五十名前後の将兵が漢風の下で仮眠するパオである。 個々のパオは円形に近接して設けられている。 その中心部に4ヶ所に竃があり、燃える黒い石が燻ぶっていた。 その陣形の外側には数珠つながりに繋がれた馬60頭が 星の明るさの下で休んでいたのである。

この川原で野営を始めて四日目の朝、日はすでに昇ったのであろう、東方の地平に太陽が赤く染める帯状の薄い雲が在った。 左手には薄明りの中に陰山が低い地形で横たわり、右手の南方には灌木らしき遮蔽の奥にオルドスの丘陵が覗えた。 三々五々に目覚めた将兵が、眠気眼を擦りながら人目を避けるように河原に消えて行く頃・・・・・

 

葦原ー1

2015-02-14_1

=== 続く ===

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