不沈客船タイタニックの悲劇=02=

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❢❢❢ 大西洋に浮かぶ楽園のごとき『不沈船』 ❢❢❢

タイタニックは、イギリスホワイト・スター・ライン社が北大西洋航路用に計画した、3隻のオリンピック級客船の2番船であった。
タイタニック号の造船計画は、20世紀初頭に造船業としての勢力を保っていたハーランド・アンド・ウルフの会長・ウィリアム・ピリーが、1907年ロンドンのメイフェアの夕食会でホワイト・スター・ラインのジョセフ·ブルース·イズメイJ. Bruce Ismay)社長に大型客船3隻の造船計画を発案したことに始まる。

姉妹船にオリンピック、のちに病院船として運航されたブリタニックがある。 主任設計技師はアレキサンダー・カーライル(Alexander Carlisle)で、沈没時に運命を共にしたことで有名なトーマス・アンドリューズホワイト・スター・ラインと折り合いの悪かったカーライルが辞任したのちに主任設計技師として計画に参加し、タイタニックの設計図面を完成させた。

北アイルランドのベルファストにあるハーランド・アンド・ウルフ造船所で建造された、当時世界最大の豪華客船である。 タイタニックの正式名称「RMS(Royal Mail ShipまたはSteamer)Titanic」のRMSは郵便船(英国郵便汽船)を意味する艦船接頭辞であり、船上でステーショナリーを買ったり、手紙を投函することもできた。

細部にまで徹底的にこだわって建造されたこの豪華客船は、造船を手がけたハーランド・アンド・ウルフ社(Harland and Wolff)にとってまさに最高傑作であった。 当時にしては画期的な巨船で、全長269メートル、幅28.2メートル、総トン数4万6329トン。 キュナード・ライン社の同サイズ級の2客船ルシタニア号、モレタニア号と比べても、長さ約29メートル、幅約1.2メートル、総トン数にいたっては、およそ1万4500トンも上回った。

ホワイト・スター・ラインは当時白熱していた北大西洋航路における「ブルーリボン賞」と呼ばれるスピード競争にはあまり関心を示さず、ゆったりと快適な船旅を売り物としていた会社であった。 したがって、タイタニックもスピードより設備の豪華さに重点を置いて設計されていた。 また、当時としては安全対策にも力が入れられており、防水区画が設けられていた。
特等~1等船室は贅沢な造りであったが、船体下層の客室にはレシプロ蒸気機関の振動が響くなど、快適とは言いがたい環境であった。 船底は二重底になっており、船体も喫水線(水面)上までの高さがある防水隔壁で16の区画に区分されていた。 そのうちの2区画(船首部では4区画)に浸水しても沈没しない構造になっており、Gデッキより上の隔壁こそ手動であったが、下層デッキの隔壁は船橋(ブリッジ)からの遠隔操作で即時閉鎖できた。

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 各区画にも手動スイッチが設置されていた他、15cm以上の浸水時には自動的に閉鎖される機能も備わっていた。 そのためタイタニックは「不沈船」として喧伝され、現に現在から見ても本船は極めて安全な船であると言われている。

煙突は4本あるが、ボイラーと接続されているのは3本で、4本目は厨房の換気や蒸気タービンの換気のみに使用された。 したがって4本目の煙突からは航行中黒煙は排出されずダミー的なものであった。 これは船の外観を重視したためである。 また、実際に「4本目の煙突はダミー、伊達であり、この4本目の煙突は、乗客が持ち込んだペットを預かるスペースとして使用されていた」という調査・証言もある。

ボイラー室は6つあり、合計29基の石炭ボイラーが設置されていた。 その後方には巨大な複式機関(3段膨張4気筒レシプロ蒸気機関)が2基あり、左右2軸のスクリューを駆動した。 レシプロ蒸気機関の更に後方には蒸気タービンが1基設置されていた。 これはレシプロ蒸気機関を通過したものの、まだ十分な圧力と温度を保った蒸気を再利用するもので、中央のスクリューを回転させ燃費を改善する目的があった。
しかし減速ギアを持たない直結タービンだったので、タービン回転数が低く、十分な出力は得られなかった。そのため中央のスクリューは、左右のレシプロ蒸気機関で駆動されるスクリューより若干直径が小さめに造られていた。

その巨大さにもかかわらず、船首から船尾へと流れる、緩やかにカーブしたボディラインはうっとりするほど優美で、等間隔で並んだ4本の煙突は、船を堂々と力強く感じさせた。また、安全性も十分に考慮されているという触れ込みだった。 浸水が起こった場合にそれを食い止める15の防水隔壁を設置。 それらによって、船底は16の区画に仕切られていた。

この時代、たとえ衝突が起こったとしても2区画以上が壊れることは考えられなかったが、タイタニック号ではさらに万全を期し、4区画に浸水した場合でも浮かんでいることができるように設計されていた。 隔壁は喫水線から少なくとも3メートルの高さまで設けられ、中央部に他の船が衝突したとしても、この高さであれば隔壁を越えて水が隣の区間に流れ込むことはあり得ない、と設計者らは胸を張った。
隔壁には防水扉があり、緊急時はブリッジ(船長が指揮を執る部屋)からでもスイッチひとつで閉鎖可能。 15センチ以上浸水した場合は、自動で閉じる仕組みにもなっていた。 この防水システムが実によくできていたため、各メディアが「タイタニックは実質的に不沈だ」と喧伝。

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 こうして、「安全で絶対に沈まない船」と世界中にその名が広まっていくことになる。 しかし、非常用に備えられた救命ボートは20艘だった。 この数だと全員合わせても1178人しか乗ることができず、タイタニック号の定員3300人からすれば明らかに少ない。

だが、当時の英国では、1万トン以上の船は最低16艘の救命ボートを積んでいればよしとされていた。 救命ボートは避難のためではなく、本船から救助船への移動手段とされていたのである。 もし船に損傷が生じても、数十時間、あるいは数日間にもおよび沈没せずに浮いていることが可能とされる豪華客船ならなおさらだ。
 ☛ ☞  タイタニックの事故を予知した人々! 其の2/5

他にも惨事を予感した人びとがいた。とくに乗組員の妻たちは、何人かが不吉な予感にとらわれ、夫に不安を打ち明けている。そのなかのひとりに、ガッディ夫人がいた。夫のルイジ・ガッディは、船内の高級レストランの支配人だった。 ガッディ夫人は、航海が決まってからというもの、妙な胸騒ぎに襲われていた。なぜかはわからない不安や恐れなどを感じ、夫に船に乗ることをやめるよう、いいつづけていたのである。しかし、レストランの支配人が乗らないわけにはいかない。心配する夫人をなだめ、ガッディはタイタニックに乗りこんだ。ガッディは運よく助かり、生還した。生きて戻ってから夫人の言葉を思い出し、的中した夫人の予言を終生忘れることがなかったという。

旅客係として乗船しようとしていたアーサー・ルイスは、制服の胸に付いた銀の星がいきなり粉々に割れるのを目の当たリにした。これを見た妻は、夫が船に乗らないよう懇願したくらいだ。しかし、乗船間際の時点で家に引き返すわけにはいかない、大丈夫さ、と言ってタイタニックに乗り込んだルイスだったが、もちろん事故に遭遇してしまった。しかし彼の場合、奇跡的に助かった。彼は「やはり星が割れたのは、不吉な前兆だったのでしょう」と後になって語っている。

乗組員自身にも”嫌な感じ”を訴える人びとがいた。タイタニックの航海士長を務めたのは、H・T・ワイルドであった。ワイルドは、なかなかタイタニック号に乗ろうとしなかった。出航日である4月10日の朝までに乗ればよい、ということになってはいたものの、皆それよりも早く乗っており、スミス船長ですら6日から乗りこんでいた。ワイルドが船に乗ったのは、出航前日の9日になってからだった。そして、大西洋に出て一日目に、イギリスにいる妹に向けて次のような手紙を書いている。「どうもこの船は好きになれない。言葉では言えないような、いやな感じがする」。最後の寄港地であるクイーンズ・タウンでこの手紙を出し、ワイルドは航海へと旅立っていった。この手紙を受け取った妹は、タイタニックが氷山と衝突した夜一睡もできなかったという。

せっかく受けていた忠告が、むだになった人もいた。エディス・エヴァンスは遭難し、迫りくる海水を前にして思い出した言葉があった。それは、以前に見てもらった占い師の「水に気をつけなさい」という忠告だった。たいして気にもとめていなかった言葉が、悲劇に直面したそのときに蘇ったのである。それは、あまりにも遅すぎたといえる。

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===== 続く =====

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