不沈客船タイタニックの悲劇=03=

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 タイタニック号の船底は二重底になっており、船体も喫水線(水面)上までの高さがある防水隔壁16の区画に区分されていた。 そのうちの2区画(船首部では4区画)に浸水しても沈没しない構造になっており、Gデッキより上の隔壁こそ手動であったが、下層デッキの隔壁は船橋(ブリッジ)からの遠隔操作で即時閉鎖できた。 各区画にも手動スイッチが設置されていた他、15cm以上の浸水時には自動的に閉鎖される機能も備わっていた。 そのためタイタニックは「不沈船」として喧伝され、現に現在から見ても本船は極めて安全な船であると言われている。
実際に、1909年に客船リパブリック号が海上で衝突事故を起こし、沈没しているが、沈みきるまでには38時間かかっており、その間にすべての乗員・乗客が救出されている。 まさか不沈のはずのタイタニック号が、わずか2時間40分で海底に姿を消してしまうとは、誰が想像できたであろう。 豪華客船としてとりわけ注目を集めたのは宿泊設備だ。 とくに一等船客用の区画には、目を見張るものがある。

客室は最高級ホテルと同等、もしくはそれ以上に上質な家具や調度品で格調高く飾られ、「洋上の宮殿」と称された。 なかでも2室だけ備えられたスイートルームは専用のプロムナードデッキ付き。 公共施設としては、レストラン、ラウンジのほか、ジム、サウナ、プールなども用意され、さながら海に浮かぶ楽園のようであった。

因みに、先述の通り、タイタニックには1年先立って竣工した姉船・オリンピックと、妹船・ブリタニックが存在した。 これはドル箱航路であり、他社との競争も激しい北大西洋を航海する際に1隻では賄いきれないため、最低2隻を常に交代させる必要があったためである。 予備船を入れての3隻体制は実に合理的な運行体制であった。 客船3隻の先駆けとしてオリンピックの造船が開始され、ほぼ同時期に2番船タイタニックが、少し遅れて3番船ブリタニックの造船が開始された。

= 尚、ブリタニックはタイタニック沈没により大幅に造船が遅れ、安全面も大きく見直され再設計されるものの、第一次世界大戦勃発により病院船として徴用、商船として一度も使われないまま触雷により沈没した。 一方オリンピックは輸送船として徴用されたが、無事戦火を潜り抜け客船として復帰、1935年まで現役を勤めて引退した。=

先立って運航されていた一番船オリンピックの問題面や改善点を受けてタイタニックの設計は多少変更され、外観もオリンピックとは多少異なってきた。 その代表としてAデッキの一等専用プロムナードデッキ(遊歩道)が、オリンピックでは全体が海に対しベランダ状の吹さらしとなっていたのに対し、タイタニックは、中央部分から船首側の前半部分にガラス窓を取り付けサンルーム状の半室内にした。 これは北大西洋の強風や波しぶきから乗客を守るためであり、結果タイタニック号はオリンピック号よりもすっきりとしたスマートな印象になり、外観上で2つの姉妹船を判断する決定的な要素となった。

他にも、オリンピックはBデッキの窓際全体にもプロムナードデッキが設けられていたが、タイタニックからはBデッキのプロムナードデッキが廃止され、代わりに窓際全体に1等船室を新たに設けるように変更された。 その結果、1等船室の数がオリンピックに比べ大幅に増加し、専用のプライベートプロムナードデッキが設けられたスイートルーム(1997年の映画『タイタニック』のヒロインの婚約者の部屋)が2部屋設計され、また後部には豪華絢爛な一等船客専用レストラン、「アラカルト」が設けられることになった。

当初両姉妹船の総トン数は同じになるはずであったが、1等客室の数が増えたために最終的にタイタニックはオリンピック(45,324総トン)よりも1,004総トン大きい46,328総トンになった。 厳密な意味で言えばタイタニックはオリンピックを越し、またオリンピックには存在しないスイートルームの増設など、当時世界最大で豪華な設備を有した客船であった。 しかし、陰に隠れていたタイタニックの知名度が上がるのは皮肉なことに沈没事故の後であった。

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❢❢❢ 不吉な前兆  ❢❢❢

1912年4月10日、水曜日のさわやかに晴れ上がった昼下がり、イギリス、サウサンプトン港から巨大な客船が処女航海に乗り出そうとしていた。 全長268メートル、基準排水量4万6千トン、喫水線から頂上部分までの高さ51メートル、それはどこをとってもこれまでつくられたどの船よりも桁違いに大きく、またどの船よりも一番豪華で目を見張る最新の設備を持っていた。 その巨船の名はタイタニック号。 ホワイト・スターライン社の世界に誇る豪華客船だ。

その巨大な船体を動かすためのスクリューは3つあった。 左右のスクリューはとりわけ巨大で40トンもあり、一枚の羽の長さだけでも3、5メートルもあった。 それを29基もあるボイラーの巨大な炉で、ニューヨークまで四六時中、6千トンの石炭を燃焼させるのである。 それによって得られるパワーは5万馬力にもなり、常時最大23ノットの速度をつくり出した。 耐水構造も完璧で船底は2重構造に補強されており、その上、船体は16区画に仕切られていた。 しかも、それぞれの通路には自動開閉する防水扉を備え、1度に4区画まで浸水しても沈まないように設計されていた。

また、豪華さにかけても海に浮かぶ宮殿の名を欲しいままにしていた。世界で初めてのプール付きの船であり、冷却室やサウナ室まで完備されていた。 各部屋はそれぞれテーマがあって個性的につくられており、例えば寝室ともなると、ジョージア王朝風だとかチューダー王朝風だとかで雰囲気も異なり、仕上げから木の材質まで違っていた。 当時考えうる最高の技術と巨額の費用を惜し気もなく投入されてつくられたとてつもなく贅沢な船。 これがタイタニック号であった。

一等の大広間に続く優雅な大階段、手前のブロンズ製の彫像、正面の大時計は有名。 その船にはいろいろな思いを込めて、たくさんの人々が乗り込んでいた。 新天地で一攫千金を夢みていた人、新しい仕事に希望を託す人、一旗あげようともくろんでいる人、まさに人々の永遠の期待と望みを乗せた船だったのである。 そうした願いから、タイタニック号は人々から夢の船とも呼ばれた。

ボーッ!ボーッ!雄叫びのような汽笛がうなる。いよいよ、ニューヨーク目指して、一路大海原をひたすら進む時が来た。 大勢の大歓声に送られ、ゆっくり波止場を離れたタイタニック号は大西洋に滑り出していく。 快調なスタートだ。 港がどんどんと小さくなってゆく。天気晴朗にして波穏やか・・・運命の神でさえこの船の航海を祝福しているようである。

サウサンプトン港から処女航海に旅立つタイタニック号=20世紀フォックス映画タイタニック より=だが、果たしてそうだったのだろうか・・・タイタニック号が動き出した時、大波に翻弄されて一隻の汽船の係留ロープが切れ、もう少しで衝突しそうになりかけたことがあった。 かろうじて事故は回避されたものの、今にして思えば、それは不吉な前兆とも思えなくもなかったのである。

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☛ ☞  タイタニックの事故を予知した人々! 其の3/5

夢で惨事の光景を見た、という人もいる。海に沈む船のようすを見た女の子は、その夢を家族に話した。叔父が三等航海士としてタイタニックに乗っていたのである。夢は現実のものとなり、叔父は二度と戻ることはなかった。

事故の起きた4月14日の前夜、レバノン移民のバート・ジョンは悪夢を見る。彼をアメリカまで運んでくれるこの新造の大型船に、重大事が発生していた。彼も気づいたのだが、船が沈没しかかっていたのだ。ところが、いつの間にやらジョンは棺の中に入れられて、下甲板から救命ボートのおいてある上甲板まで、わざわざ運ばれていた。そこで、棺桶の外へ出ようと懸命にもがいた結果、やっとのことでジョンは脱出に成功したが、次の瞬間、破れかぶれの勢いがあまって甲板から飛び出し、救命ボートに落ちてしまった。ちょうどそこで夢から覚めた。24時間後、現実にジョンは甲板の手すりを飛び越え、おりていく救命ボートに身を躍らせて助かることとなるのである。

1912年4月10日、イギリス南岸沖に浮かぶワイト島に住むマーシャル一家が、家の屋根に登って遠くの海を行くタイタニックを見ていた。その時である。ブランシェ・マーシャルが急に大声で泣きはじめた。夫や子供が心配してわけを訊くと、タイタニックが沈み、乗客たちが冷たい水の中に放り込まれる光景が浮かんだというのである。血縁者や知人がタイタニックに乗っていたわけでもないが、後に事故を知った家族は言葉を失った。どうやらブランシェには予知能力があったようで、タイタニック事故の三年後にも、ラスタニア号の遭難を予言し、家族を救っている。一家が乗船のキャンセルをしたラスタニア号は、魚雷による攻撃を受け、多くの乗員乗客と共に海中に没したのである。

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===== 続く =====

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