不沈客船タイタニックの悲劇=12=

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☛ ☞  事故原因

ホワイト・スター・ラインは当時白熱していた北大西洋航路における「ブルーリボン賞」と呼ばれるスピード競争にはあまり関心を示さず、ゆったりと快適な船旅を売り物としていた会社であった。 したがって、タイタニックもスピードより設備の豪華さに重点を置いて設計されていた。 また、当時としては安全対策にも力が入れられており、防水区画が設けられていた。 特等~1等船室は贅沢な造りであったが、船体下層の客室にはレシプロ蒸気機関の振動が響くなど、快適とは言いがたい環境であった。

沈没にいたるほどの損傷を受けた原因として「側面をかすめるように氷山に衝突したため」とする説もある。また、当時の低い製鋼技術のため不純物として塩化マンガンを多量に含んでおり、船体の鋼鉄が当夜のような低温で特に脆くなる性質だったことが最近のサンプル調査で分かっている。 ただし、現在最も有力視されているのはティム・フェイキやジェニファー・ホーバー・マッカーシーらが唱えた、船体の損傷よりも衝突の衝撃で広い範囲のリベットが抜け落ち、その結果生じた鋼板の隙間から海水が浸水したのが致命的だったという説である。 ハーランド&ウルフ社に残る資料によると、タイタニック号は300万本ものリベットで船体の金属板をつなぐ設計だったが、姉妹船オリンピックと同時注文のためレベル4の鋼鉄製リベットが不足し、船首と船尾はワンランク劣る鉄製のレベル3が使われた上に直径も設計の25ミリより薄かった。

また リベット数自体が設計より間引きされ、熟練工の不足のために不完全な打たれ方のものも少なくなかったという。 このほか、2005年の海底調査による剥離した船底の発見にもとづき、ロジャー・ロムのように衝突の際にタイタニックは水面下で広がった氷山の突起に乗り上げるかたちで船底にも損傷を受け、沈没時に船体が折れる原因になったという説もある。 事故原因をめぐっては、造船技術的な上記のリベットの強度不足を主な原因とする説、鋼板の脆弱性を主な原因とする説等の他にも様々な説がある。 しかし、下記のように人為的な遠因・要因・原因が論及されている。

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※ 操船ミス説

2010年9月に、2等航海士のチャールズ・ハーバート・ライトラー の孫、ルイーズ・パッテンは、イギリスのデーリー・テレグラフに対し、「ミスがなければ、氷山への衝突を避けることは簡単だった。氷山が近くにあるのを見てパニックに陥った操舵手が、間違った方向に舵を切った」と語り、基本的な操舵ミスが原因だったとしている。

記事によるとマードックが氷山を発見したのは衝突の4分前、衝突時に減速がほとんど効いていなかったとされることから氷山との距離は約2700mであったと算出される。 これは十分に停止可能な距離であるが、マードックは操舵のみで回避できると判断しロバート・ヒッチェンズ操舵手に「Hard Starboard!」の号令をかけた。 この号令は帆船時代からの名残で「舵輪を左に回して”舵柄を右に動かし”左へ急速回頭する」の意味で使用されており(Tiller Orders・間接法)、タイタニックでも採用されていた。 しかし蒸気船式の号令(Rudder Orders・直接法)では「舵輪を右に回して舵柄を左へ動かし”右へ急速回頭する”」を意味するため直接法で訓練されていたヒッチェンズ操舵手はパニックに陥り舵輪を右に回してしまう。

操舵手のミスに気付いたマードックは左回頭に修正したが手遅れであった。「後進一杯」が発せられたのはこの修正時と思われる。 同記事には「ブルース・イズメイ社長が船長に微速前進での航行を命令したことにより、船首に水圧がかかり浸水が早まった。 前進していなければカルパチア号到着まで沈むことはなかった」との証言も記載されている。 実際に、衝突直後に計測された現在位置と沈没現場には数海里の誤差がある。
事故後、ライトラーは海運会社の倒産を恐れ、調査でもミスを隠したと説明している。 また、事故当時に見張りについていたフレデリック・フリートは後に自殺、事故後南アフリカのケープ・タウンの港湾長に任じられたヒッチェンズ操舵手は知人のヘンリー・ブラム等に「タイタニック号の事故に関して秘密を守るためにケープ・タウンまで送られた」と告白しているが、関連は不明である。

※ 陰謀説

「船を所有していたホワイト・スター・ライン社が財政難になっており、タイタニックの保険金を得るために故意に沈めた」とする、つまり陰謀だったとする「陰謀説」がある。 説の「根拠」として、タイタニック号を管理していたのはホワイト・スター・ライン社であったが、その事実上の所有者はホワイト・スター・ライン社に出資していた国際海運商事の社長であるジョン・モルガンであった。 そのモルガンはタイタニック号のスイートルームに乗船予定だったが、直前に病気を理由にキャンセルし、代わりに別の大富豪の夫妻が乗船することになったが、この夫妻もキャンセルし、結局ホワイト・スター・ライン社の社長であるブルース・イズメイがこの部屋に収まった。

しかし、病気のはずのモルガンは、同時期に北アフリカからフランスにかけて旅行をしていたことが後になって判明しており、イタリアでは愛人にも会っている。 しかも、キャンセルした客の中にモルガンと非常に深いつながりがある人々が数名いることも判明しているため、「モルガンはこの処女航海中に何か起こることを知っていたのではないか」とするものである。
また、モルガンはタイタニック号で運ぶはずだった私的な貨物も、直前に運ぶことをキャンセルしている。 しかし本人が乗船をキャンセルしたこともあり、それに伴い私的な貨物を同時にキャンセルするのは当然であるという意見もある。 また、乗船キャンセルの原因となった「旅行」の目的自体が何であったかは明らかになっていない上、この事故は不注意な運航による予知しようのないものであったし、仮に航海士たちが巨額の資金で買収され、わざと氷山に衝突させたのなら航海士に死人は出ないはずであり、やはりこの「陰謀説」は「説」の域を出ないものである。

※ 船体すり替え説

タイタニックには、姉妹船として「オリンピック」がタイタニックより1年程早く、北米航路に投入されていた。 オリンピックは、タイタニックが就航する前に、2回事故を起こしている。

  • 1911年9月30日、サウサンプトン沖合いでイギリス海軍防護巡洋艦「ホーク」と接触、船尾大破。 この事故はイギリス海軍査問会にて審理され、オリンピック側のミスと認定され、海難保険は一切降りなかった。
  • 1912年2月24日、大西洋を航海中に海中の障害物に乗り上げてしまい、スクリューブレード一枚を欠損する事故を起こす。この欠損以外にも、船体のキールに歪みが出る程の被害を負ってしまい、長期修理を余儀なくされる。

この2つの事故を鑑みて、「オリンピックが近い将来に破棄される船だったのではないか」と言うのが、船すり替え説の論拠となっている。 つまり、廃棄寸前だったオリンピックを、内装や若干の仕様を変更させて「タイタニック」に仕立て上げて、故意に氷山にぶつかったというのである。

※ ミイラの呪い説

他にも「運んでいたミイラによる呪い説」の書籍も出版されており、この中でミイラの呪いかという点に言及されている。 しかし、このミイラは、1990年と2007年に海外に貸し出された以外に大英博物館を出たことはなく、1912年にタイタニック号に積まれた事実は無い。 なぜタイタニック号に載せられたという伝説が生まれたのかについては定かではないが、乗船客の中にこのミイラを知る者がいて長旅の暇つぶしに他の客たちに話したのが、話を聞いた者が生き残って尾ひれを付けて広めたのではないかとされる。
購入者はイギリス人の旅行者で、購入後に様々な不幸を体験したとされる。 その結果、人手を渡り大英博物館に収められることになったのだが、大英博物館の公式記録では最終的な寄贈者しか記録されておらず、それ以前の経緯はツタンカーメンの呪いと同じく噂の域を出ない。  「不幸のミイラ」は現在も大英博物館に収蔵されており、その詳細なデータについては大英博物館のサイトで確認することが出来る。

また、生存した船員が『船長はいつもと違い氷山の警告を無視した。 性格も変貌し、船のスピードアップに躍起だった』と、スミス船長に異常があったことを証言しているが、これについては「ミイラの呪い」との関連性を証明するものは何もない。 また、スミス船長の態度がいつもとは違ったのは、「処女航海で大西洋横断のスピード記録(ブルーリボン賞)を出すためであった」という説がある。

※ ブルーリボン賞説

タイタニックが氷山に衝突したのは、大西洋最速横断記録(ブルーリボン賞)を獲得しようと無理な航行を強行したことが事故の遠因になったという説があり、根強く支持されている。 しかし、1912年当時のブルーリボン賞を保持していたのは西回り/東回り共にモーリタニアであり、その平均速度は26ノット近いものであった。両船の要目を比較すると、

  • モーリタニア:総トン数31,938トン,機関 蒸気タービン4基/4軸,機関出力68,000馬力,巡航速力26ノット(最高速力28ノット)
  • タイタニック:総トン数46,328トン,機関 蒸気レシプロ2基,蒸気タービン1基/3軸,機関出力46,000馬力,巡航速力22ノット(最高速力24ノット)

 であり、機関の性能から見て、タイタニックはブルーリボン賞を獲得できるような能力を持っていない。

当時、ブルーリボン賞の獲得を目指したモーリタニアのような高速船は、その莫大な運航費用(燃料費)を輸送する人員や貨物だけでは賄えず、政府からの補助金によって運航が維持されていた。 しかし、タイタニックを含めたオリンピッククラス客船は、豪華さを売りにし、また総トン数を上げ輸送力増大や機関出力を抑えての燃料費の低減など、補助金無しで採算が取れる運航ができるように設計された船であった。 このことから、ブルーリボン賞を獲得しようとして事故を起こしたという説の根拠は薄い。

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❢❢❢ 沈没後のタイタニック  ❢❢❢

1985年9月1日、海洋地質学者ロバート・バラード (Robert Ballard) 率いるウッズホール海洋研究所およびフランス海洋探査協会の調査団は海底3,650mに沈没したタイタニックを発見した。 2004年6月、バラードとNOAAはタイタニックの損傷状態を調査する目的で探査プロジェクトを行った。 その後、バラードの呼びかけにより「タイタニック国際保護条約」がまとまり、同年6月18日、アメリカ合衆国が条約に署名した。 この条約はタイタニックを保存対象に指定し、遺物の劣化を防ぎ、違法な遺品回収行為から守ることを内容としている。

海底のタイタニックは横転などはしておらず、船底を下にして沈んでいる。 第3煙突の真下当たりで引き千切れており、海上で船体が2つに折れたという説が初めて確実に立証された。 深海では通常バクテリアの活動が弱い為に船体の保存状況は良く、多くの木彫り内装が残っていると思われていたが、運悪くこの地点は他の深海に比べ水温が高い為にバクテリアの活動が活発で船の傷みは予想以上であった。
当初船体は叩きつけられるように海底に落下し、船内の備品はもとより甲板の小さな部品や窓ガラス全てが粉々に吹き飛んだと思われていたが、船首部分にはいまだ手摺が残り、航海士室の窓ガラスも完璧な状態で残っていた。 また船内にはシャンデリアを始め多くの備品が未だ存在し、Dデッキのダイニングルームには豪華な装飾で飾られた大窓が未だ割れずに何枚も輝いていた。

客室の一室の洗面台に備え付けられていた水差しとコップ、食器棚に収められた皿、ストラウス夫妻の客室の暖炉に置かれていた置時計は沈没時の衝撃に耐え、現在でも沈没前と全く同じ場所に置かれている。 この事から船首部分は海底に叩きつけられたのでは無く、船首の先端から滑る様に海底に接地したと思われる。一方船尾部分は海底に叩きつけられ、大きく吹き飛び見る影も無い。

なお、現在のタイタニックは鉄を消費するバクテリアにより既に鉄材の20%が酸化され、2100年頃までに自重に耐え切れず崩壊する見込みである。 それらのバクテリアのうち、好塩性細菌の一つであるハロモナス属に属する新種の細菌が2010年になって発見され、タイタニックにちなんでハロモナス・ティタニカエ (Halomonas titanicae) と命名された。 また、海底のタイタニックには度々潜水探査船による調査が行われ、特にタイタニック (1997年の映画)では、2台の潜水調査船やリモートコントロール探査機が使用され、詳細な画像が収録された。 一方で、無断で海底の遺品を収拾する行為も広く行われ、一部の遺品は利益目的に販売されるなどされ、非難を集めている。

蛇足ながら、別記ブログ【壺公夢想】にて、“ロバート・バラード博士=タイタニック号の発見=”を記載済み参照 ;
https://thubokou.wordpress.com/2013/07/13/%E6%8E%A2%E6%A4%9C%E5%AE%B6%E3%83%BB%E5%86%92%E9%99%BA%E5%AE%B6%EF%BC%91-%E2%91%A0%E3%80%80/

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===== 続く =====

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