地中海で戦った日本・特務艦隊=04=

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❢❢❢ 英海軍も絶賛した勇気 ❢❢❢

第二特務艦隊は、地中海中央部、イタリア・シチリア島の南93kmほどのところにあるマルタに到着の翌々日から、対潜水艦作戦の任務を開始した。 連合軍の作戦本部はマルタに置かれていた。マルタ島の面積は246㎢、最高標高点は253m。 世界で初めて海水から生活用水を生み出した島でもある。 マルタ共和国内の島であり、同国内で最も大きな島であり、最も大きな都市でもあるバレッタが政経の中心 首都である。 島の東部にあり、今日 市街は世界遺産となっている。 海岸沿いのいりくんだ入り江は美しい港の景観を創りだし、密集した人家の風景は高台のある丘が特徴的である。

1917年5月3日夕刻、駆逐艦「松」と「榊」は英兵運送船「トランシルヴァニア」号の護送任務を受け、出航した。トランシルヴァニア号は、3300名の陸兵や船員と大砲などの兵器を満載してマルセイユからアレキサンドリアへ赴く作戦計画であった。松と榊は途中のメシナで護送を英国の駆逐艦に引継ぎ、マルタに帰還することになっていた。

雲が低く垂れこめ、冷たい雨が降る翌4日の午前10時20分頃 サヴォナ沖にて 松、榊が前方で護衛に当たっていたその時、トランシルヴァニア号の左舵後方に魚雷が命中してしまったのである。トランシルヴァニアは爆焔をあげ、左側に傾斜しながら減速 弧を描き ついには停止してしまった。松は全速力で輸送船・トランシルヴァニアの左舷に横付けした。直ちに乗員の救助に当たる。榊は付近の警戒に勤めたがドイツの潜水艦を発見する事が出来なかった。潜水艦はすでにその航路を変更して追撃を狙っていたらしい。そして、二度目の魚雷が放たれた。

この魚雷は「松」を狙って発射されたものだった。 乗り込んでいた片岡覚太郎中主計は『日本海軍地中海遠征記』に中で≪一条の航跡を残して、敵の魚雷が真一文字に疾走してきているではないか。 後看板からの観測では、ちょうど松の艦橋下位を狙っているように思われて、到底命中は避けがたいものと観念の眼を瞑った≫と記している。 しかし、魚雷は「松」の10メートル前方を掠めて直進、輸送船・トランシルヴァニア号の左舷中央部に命中。 これによって、トランシルヴァニア号は沈没を免れない事態に陥った。

不幸中の幸いになったが、至近距離にいた「松」は輸送船爆発の影響をもろに受けては破船、浸水が始まり 負傷者もでた。 すでに、800名ほどの英兵を救助していた「松」はこの時点で横付けを解き、敵潜水艦の攻撃に移った。 変わって、輸送船の右舷に横付けした「榊」は、ほんの5分間で1000名の英軍乗員を救出した。とてつもない迅速さである。傾き、沈み行く トランシルヴァニア号からの救助である。「榊」は≪桃を盛ったように、上甲板は人の黒山≫で埋め尽くされたと報道された。

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 その後、イタリアの駆逐艦も駆けつけ溺者の救助に当たるなどし、松・榊の両艦が救出した者と その他の特務船や漁船が救い上げた者との合計が3000名に及んでいる。 トランシルヴァニア号が沈んでしまったものの、全乗員の9割強の生命が救助されたのである。第二特務艦隊が救援作業の中心で奮闘したのである。被害は最小限度に押さえ込まれたといえる。

当時、イギリス海軍ではUボートによって被害を受けても救助活動をしてはならないと言う規定があった。 と言うのは、撃沈された英艦船を助けに救援に向かった二隻が追撃を受け=ドイツの水中に潜んでの待ち伏せ戦術= 3隻もろとも沈没した。 その結果、6500名もの死者を出すという悲劇が、北海での戦線で起きていたからである。

それだけに、追撃を覚悟した上での日本海軍の第二特務艦隊「松・榊」の決死の救出行動は この上もない勇敢な事として大英帝国海軍司令部を驚かせた。 “武士道精神”を目前で示されたのである。

しかも、救助した英軍兵士を最寄港のサヴォナまで送り届ける間、両艦の乗組員たちは戦闘による疲弊をもろともせず、自分の衣類、寝場所、食料や水などを命ぜられることなく提供していた。 サヴァナに停泊している間、多くの英国兵士たちからの握手が止まず、賛辞を受け続けている。 また、両駆逐艦がいよいよ任務を遂行する為にサヴァナを出航する際には、「救助された英国の陸兵が黒山のように岸壁に集まって別れを惜しんむ」とその美談が報道された。

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===== 続く =====
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