河井道とボナー・F・フェラーズ=10=

❢❢❢  天皇を救った男、小泉八雲に誘われ 河井道との交流のなかで・・・・  ❢❢❢

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◇◆ マッカーサーへの意見書 ◆◇

フェラーズの意見書では、冒頭で「彼らの天皇は、祖先の美徳を伝える民族の生ける象徴である」と、ハーンから継承した天皇観から説き始め、次に今回の戦争に関しては、「天皇が自ら起こしたものではないことを立証しうる」と記述している。 続いて、大衆は、裕仁に対して格別に敬慕の念を抱いている。 彼らは、天皇がみずから直接に国民に語りかけることによって、天皇はかつて例がないほど彼らにとって身近になると感じている。

和を求める詔書は、彼らの心を喜びで満たした。 彼らは天皇がけっして傀儡などでないことを知っている。 また、天皇を存置しても、彼らが選びうる最も自由主義的な政府の樹立を妨げることはないと考えている。  最後の一節は、軍国主義を復活させないためには、天皇制を廃止する必要がある、という連合国内の意見に釘を刺したものであった。

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 ☛ ☞   “戦争裁判で天皇を裁けば”

フェラーズの意見書は核心へと筆を運ぶ。 河井道からの助言が確信から信念に変わっていく。 彼が熱心なクエカー教徒であったことがその信念を増幅したのであろう。 彼のマッカーサー進駐総司令官への意見書は綴る、≪無血侵攻を果たすに際いして、われわれは天皇の尽力を要求した。 天皇の命令により、700万人の兵士が武器を放棄し、すみやかに動員解除されつつある。 天皇の措置によって何万何十万もの米国人の死傷が避けられ、戦争は予定よりもはるかに早く終結した。≫

フェラーズは同様の文章を家族の手紙にも書いており、この部分はまさに彼の実感そのままである。     したがって、
≪天皇を大いに利用したにもかかわらず、戦争裁判のかどにより彼を裁くならば、それは、日本国民の目には背信に等しいものであろう。 それのみならず、日本国民は、ポツダム宣言にあらまし示されたとおりの無条件降伏とは、天皇を含む国家統治機構の存続を意味するものと考えている。 もしも天皇が戦争犯罪のかどにより裁判に付されるならば、統治機構は崩壊し、全国民的反乱が避けられないであろう。 国民は、それ以外の屈辱ならばいかなる屈辱にも非を鳴らすことなく耐えるであろう。≫

後半は河井道の「陛下が殺されるようなことがあったら、血なまぐさい反乱が起きるに違いありません」と、フェラーズに語った言葉に基づくもののようだ。 そして「それ以外の屈辱ならばいかなる屈辱にも耐えるであろう」とは、「堪へ難きを堪へ忍ひ難きを忍ひ以て万世の爲に太平を開かむと欲す」という終戦の詔勅を思わせる。 これも終戦の詔勅に関して、「天皇の父親らしい戒めに対して、国民は孝心を明らかにして従順に従ったのであった」と 語った河井の思いが反映しているのだろう。 フェラーズの意見書には、河井を通じて、当時の日本国民の天皇への「敬慕の念」が注ぎ込まれていた。

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 ☛ ☞   “相互の尊敬と信頼と理解”

日本の軍は武装解除されているにせよ、混乱と流血が起こるであろう。 日本を平静な占領体制に移行するには、何万人もの民事行政官とともに大規模な派遣軍を必要とするであろう。 占領期間は延長され、そうなれば、日本国民を疎隔してしまうことになろう。
米国の長期的利益のためには、相互の尊敬と信頼と理解にもとづいて東洋諸国との友好関係を保つことが必要である。 結局のところ、日本に永続的な敵意を抱かせないことが国家的に最も重要である。

意見書はこう結ばれた。「相互の尊敬と信頼と理解」という言葉には、初めて来日した時に「日本は魅惑的で美しい。 神秘に満ちた心温まる国だ」と感じて、河井らとの交友を築いてきたフェラーズの体験が窺われる。 そうした友好関係こそ「米国の長期的利益」となる、というのがフェラーズの信条であった。

2日おいて、10月4日にフェラーズは第2の覚え書きを提出した。 〝ソ連は、日本に革命が起きることを望んでいる。“ 我が国(アメリカ)の政策は、革命を期待しているかのようだ。 革命には、天皇の排除が最も有効なのである。 =当時、ソ連の共産党機関誌「プラウダ」は激しい天皇制批判を繰り返していた。 また日本共産党も「戦争犯罪人追求人民大会」を開き、1600人にのぼる戦犯リストの冒頭に昭和天皇を挙げていた。=
天皇が戦犯裁判で処刑となり、国中に反乱が起きれば、それが共産革命の引き金になり、日本を共産陣営に追い込む結果となりかねない。 フェラーズは危機感を募らせていた。 =10月2日、皇族の梨本宮守正元帥が、そして6日には元首相・近衛文麿、天皇側近の内大臣・木戸幸一と、皇族と側近にまで逮捕の手が伸びていた。=

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 ===== 続く =====

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