十字軍とテンプル騎士団=09=

❢❢❢ ソロモン神殿が聖地奪回への貧しき戦士たち = 第一部“十字軍”  ❢❢❢

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◇◆ エルサレム攻囲戦  ◆◇ 

ゴドフロワ、ロベール、タンクレード、ガストンらは3月にアルカに着いたが、レーモンによる包囲戦はまだ続いていた。アルカ市民は、アンティオキアやマアッラで市民が十字軍との戦いの末に辿った悲惨な運命を聞き、二の舞になるまいと死に物狂いの抵抗を行っていた。 アルカで再び合流した諸侯の間では、不仲から来る緊張が高まった。 同時に、聖職者の間でも緊張は高まっていた。 教皇使節アデマールの死後、聖職者の指導者も不在となっていた。 アンティオキア城内でのペトルス・バルトロメオ(前節参照)による幻視と聖槍発見は十字軍の士気を高めたが、一方でこれをインチキではないかと疑う聖職者は多かった。

ついに4月、有力な聖職者のアルヌールがペトルスに対し神明裁判(火の試練、何らかの手段を用いて神意を得ることにより、物事の真偽、正邪を判断する正式な裁判方法)を行ってみよと言った。 ペトルスは真実を証明するために火の中をくぐったが、大火傷を負って12日後に没した。 レーモンの後ろ盾を受けたペトルスの発見した聖槍は、十字軍内のレーモンに対する権威を高めるものでもあった。 そのペトルスが神明裁判に敗れ聖槍も偽物だという話が広まると、レーモンの権威も損なわれて行った。

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 その後、アルカ攻囲戦は5月13日まで続いたが、攻める諸侯の著しい不仲と、守る住民の必死の抵抗で、まったく進展がないまま十字軍は攻囲戦をあきらめ包囲を解いた。 レーモンの軍はここから海へ出て地中海側を南下し、逆にゴドフロワ・ロベール・タンクレードらはエルサレムへの街道をさけるように、内陸に向かいヨルダン川渓谷を南下して行った。

☛ ☞ “聖都への到達” ; スンニ派でチュルク系のセルジューク朝とパレスチナやシリアを争奪していたエジプトのシーア派王朝ファーティマ朝は、対セルジューク朝の同盟を結ぶため十字軍と和平交渉をすべく、アンティオキアやアルカを包囲する十字軍の陣営に再三使者を送ってはシリア分割占領などを持ちかけていた。

その間の1098年夏、ファーティマ朝はアンティオキア陥落によるセルジューク朝の弱体化に乗じ、セルジューク朝系のアルトゥク家からエルサレム市を奪還している。 しかし十字軍はあくまでエルサレムへの進軍を主張し、ファーティマ朝の申し入れを無視した。 ファーティマ朝のエルサレム司令官であったイフティハール・アッ=ダウラ(Iftikhar ad-Daula)はパレスチナへの進軍を再開した十字軍に不安を抱き、十字軍に呼応する恐れのあるキリスト教徒市民の追放、郊外の井戸を十字軍に使わせないための毒物の投入、前年の攻囲戦により破壊された城壁の修理、食料の備蓄などを行っている。

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 5月13日、十字軍のうちレーモンの率いる一団はトリポリに到着し、市の支配者ジャラール・アル=ムルクは馬や食糧などを与えて十字軍を送り出した。 そして、彼はファーティマ朝からエルサレムを取り返してくれたらキリスト教徒に改宗してもよいとまで言ったという。 十字軍は海岸沿いに進み、5月19日にベイルート、5月23日にティール、 更に 歓待を受けながら南下し、ナフル・アル=カラブ(犬の川)を越えてついにファーティマ朝領内に入った。 ヤッファから内陸に折れた後、6月3日には住民が退散して無人となったラムラに入った。十字軍はここでエルサレムに入る前に、ラムラ近くのリッダ生まれの聖人で、十字軍内でも人気の高かった聖ゲオルギウスを記念し、当地の聖ゲオルギウス聖堂でカトリックのラムラ=リッダ司教座を立てている。 一方内陸を進むゴドフロワは6月6日、タンクレードとガストンにベツレヘムを占領するよう指示し、タンクレードは自らの軍旗を征服したベツレヘムの生誕教会に掲げた。

こうして6月7日、十字軍はついにエルサレムに到達した。 兵士らの多くは、長い戦いの旅の末にようやく見ることのできた聖都に涙したという。

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 ===== 続く =====

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