550年後、目覚めた英国王=20=

❢❢❢ 「忠誠がわれを縛る」 ・ リチャード3世 ❢❢❢

○◎ =“薔薇戦争”の最後を飾る英国王・ヨーク朝の終焉= ◎○

ウエストミンスター宮殿

◇◆ リチャードのクーデター / 敵役として稀代の奸物に描かれる遠因 ③ ◆◇

リチャード3世が以前から王位簒奪を考えていたとしたら、それこそ最初から、リチャード支持の北部の強力な軍隊を引き連れてやってきていただろう。 ノーサンプトンの近くでロンドンに急ぐ新国王一行と面談する必要はない。 しかし、 「ノーサンプトンの近くで反乱があり、新国王がグロスター公の手に落ちた」という知らせが王母エリザベスに届いたのは、その日の夜のことだった。 グロスター公リチャード(リチャード3世)が大軍をひきいてロンドンにのり込んでくる。 身の危険を感じた彼女は、すぐに次男で10歳のヨーク公リチャードと娘のエリザベス・オヴ・ヨークたちを連れて、聖域であるウェストミンスター寺院に入った。

夜が明けると、反乱の知らせがロンドン中を駆けめぐった。 そして情報が入り乱れ、大混乱となった。
「グロスター公が謀反を起こした」
「いや謀反を起こしたのは、リヴァーズ伯とサー・リチャード・グレイだ」
「王母は子供たちをつれて聖域に入ったらしい」
「それでグロスター公はどうなった? リヴァーズ伯は?」
諸侯は敵も味方も、正確な情報をもとめて右往左往した。 どちらにつくか? ここで状況判断を誤ったら身の破滅である。

1483年4月9日にエドワード4世が病没して、エリザベス・ウッドヴィル王太后のウッドヴィル家がエドワード4世の弟グロスター公リチャードと主導権争いを始めると、ウッドヴィル家が擁立するエドワード5世の後見人のはずのバッキンガム公は、真っ先にリチャード支持を表明していた。  エドワード5世が居城のラドロー城からロンドンへ急行中、摂政就任を自任した父方の叔父グロスター公リチャードが、彼の思索の程はともあれ、母方の叔父で父エドワード4世の側近でもあったリヴァース伯アンソニー・ウッドヴィルを逮捕≪翌年6月末、処刑≫していた。

エリザベス・ヨーク

  5月4日の日曜日、新国王エドワード5世は、叔父で摂政のグロスター公リチャードとバッキンガム公にともなわれてロンドンに入った。 大勢はすでに決まっていた。 ロンドンは歓迎ムードでいっぱいだった。 新国王の隊列のうしろには、ウッドヴィル家の紋章のついた武器を満載した荷馬車がつづいた。 ウッドヴィル一族が新国王と摂政にたいして企てた邪悪な謀反の証拠を、ロンドン市民に見せるためだった。

リチャードは母の住むベイナーズ城に入り、エドワード5世はセント・ポールの司教公邸を仮住まいとした。 リチャードは、ロンドンで同情と圧倒的な人気を勝ちとった。 それというのも、市民はこれまでの王室のやり方、それも前王妃エリザベスとその強欲な親族であるウッドヴィル家やグレイ家のやりたい放題に愛想をつかし、うんざりしていたからである。
そしてロンドン市民の目には、歴戦の勇士でありながら、どことなく朴訥とした感じのするリチャードは、新鮮に映った。

シュールズベリー

エドワード5世

 王母エリザベス一派は一掃され、嵐は過ぎ去った。 誰もが新国王のもとでの平和と安定を期待した。 先王エドワード4世に仕えていた諸侯も、摂政リチャードを支持した。 王母エリザベス・ウッドヴィルはウエストミンスター寺院に財宝の全てを運び込んで籠城していた。 少年王を支える摂政の叔父。 これでまたヨーク家に栄光がもどってくる。誰もがそう信じて疑わなかった。 しかし諸侯が見据えていたものは、年若い新国王エドワード5世ではなかった。 そのうしろに立っている、摂政のリチャードだった。

  リチャードはこれまで、ヨーク家の軍事部門を一手に引き受け、兄エドワード4世を支えてきた。 領地での統治能力も、なかなかなのもだという評判だった。 しかし地方ならともかく、中央での政治的手腕は未知数だった。諸侯にとっては、かれが今後どうでてくるかが気がかりだった。 そしてリチャードは、このまま摂政の身に甘んじるだろうか? 口には出さなくても、誰もがそう思っていた。 国王と摂政との力関係が、あまりにも歴然としていたからである。

 リチャードはこれからどう動くか。 誰もが静かにそれを見守っていた。

ウェストミンスター

  ===== 続く =====

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