王妃メアリーとエリザベス1世 =07=

❢❢ 王妃メアリーの挫折と苦悩が大英帝国の礎に ❢❢

○◎ 華麗なる二人の女王が一つの国土に戴冠、敵対しつつ時代を築く ◎○

リッチオ殺害

◇◆ ダーンリー卿との再婚と破局 ◆◇

メアリーが帰国した時=1561年8月20日にスコットランドに帰国=の様子を今一度振り返れば、鳴りもの入りで帰国したメアリーを待っていたのは、奇妙な「平和」だった。 実権はすべてメアリーの異母兄のマリ伯ジェームズ・ステュアートが握っていた。 彼は父のジェームス5世が政略上やむおえない理由でフランスから王妃を迎えるために、別れた恋人/アースキン家の姫君との間に産まれた子であった。 そして王妃のメアリー・ド・ギーズも、政略のために幼い息子を置いて異国へ嫁いで来た身であった。 思えば、悲しい運命のカップルだった。 したがって、メアリーもその母親も、マリ伯を差別していなかった。

しかしマリ伯爵は違っていた。 ≪メアリーとその母親さえいなければ・・・父が母と正式に結婚していれば俺が国王になれたはずなのだ≫ その思いが常に黒い淀みとなって胸中に眠っていた。 そうとも知らず、メアリーは政治を兄・マリ伯ジェームズ・ステュアートにまかせ、自身は「象徴女王」として敬われつつ、ゴルフだ、賭け事だと遊びほうけていた。 英国のエリザベス(エリザベス1世、処女王、在位:1558年- 1603年)の向ける敵意も、まだ表面化することもなく、のどかに「お姉様」「妹よ」などど、社交辞令の並んだ文通が続いていたのである。

メアリーは絵にかいたような美しい女王だったというが、フランスの宮廷でちやほやされて、なに不自由なく育ってきた。 わがままなところは、フランスでの生活が増幅させていた。 一目ぼれで恋に落ち、周囲の反対を押し切って結婚したメアリーは夫ダーンリー卿をうとましく思うように成る。 しだいに遠ざけるように成る。 そして、ボスウェル伯とイタリア人の秘書官ダヴィッド・リッチオを側近として重用する。 メアリーはとくにリッチオを頼りにし、いつもそばに置いていたという。 そのため、「リッチオは女王の恋人ではないか?」という噂がたつくらいだった。 このことはいつしかダーンリー卿の耳にも入り、かれの嫉妬心をかきたてることになった。 そして女王とその夫の不仲を利用しようとする貴族たちは、あることないことをダーンリー卿に吹き込み、さらにかれの嫉妬心をあおっていった。

ロバート・ダドリー

 そうこうしているうちに、メアリーの周辺には無気味な事件が起きはじめる。 メアリーと関わった男はことごとく破滅するという宿命の始まりだった。 フランス人詩人のシャトラールは、戯れにメアリーがキスをして以来 ストーカーとなり、二度までも寝室に忍び込んで犯そうとしたため、メアリーの目の前で斬り殺されていた。 また、アラン伯爵はメアリーと結婚するという妄想に取り付かれて発狂し、生涯幽閉されて終わった。

 メアリーが帰国して2年が過ぎ頃に話を戻す。 ある日、メアリーが政治の全てを一任している義兄兄・マリ伯ジェームズ・ステュアートが「そろそろ身を固めたらどうですか?」と、それとなくメアリーに探りを入れてみた。 マリ伯にしてみれば、異母妹がさっさと遠くに嫁いでくれれば厄介払いになる。 メアリー自身はスペイン皇太子との再婚話に少々乗り気であったが、それを聞き付けたエリザベスが、ただちに介入し 話は途絶えた。

その一方でエリザベスは、 「英国との友好が保ちたければ、英国貴族から夫を選びなさい。」と言い、自分の愛人であるロバート・ダッドリーとの縁談を持ちかけた。 エリザベスにしてみれば、メアリーを臣従させることができるのと同時に、長年連れ添いながらも、ついに報いることができなかったダッドリーを「女王の夫」にしてやることができる良い機会であったのだ。 しかし、メアリーはきっぱりと拒絶した。 そのかわり、従兄弟にあたる4歳年下のやんちゃな青年を再婚相手に選んだ。 それがダーンリー卿ヘンリー・ステュアートだった。

Hatfield_H.

 ≪あのヘンリー・ダーンリーとか?≫ エリザベスはその知らせを聞いて眉をしかめた。 ダーンリーは軽薄な青年であったが、メアリーの従兄弟に当たり、英国の王位継承権を持っている。 ≪なんと!これでますますあの女がつけあがるではないか!≫英国王位を窺う敵が、一人から二人に増えてしまったのだ。 ダーンリ-が「逆玉」狙いでメアリーを誘惑したのは見え見えだったので、議会や国民、側近達ですら、この結婚に反対した。
特にマリ伯は、嫉妬もあって口論になるほど激しく反対した。 エリザベスは、ダーンリーと結婚するなら国境線を侵犯する、と脅迫したのである。 それでもメアリーは、この青年のわざとらしい誘惑や我侭が、愛らしくてならなかった。

・-・-・-・-・-・-・

≪目障りだったマリ伯を追い出した。 これで俺の天下だ!≫とばかり、ダーンリーの我侭は加速した。 気に入らなければ大貴族だって 殴る、剣を振り回す、政治を放ったらかしにして遊び回る、泥酔して暴れる。 殴り合い、絶叫、レイプのような夫婦生活。 二人の関係はわずか半年で破滅を迎えた。  にもかかわらず、メアリーは妊娠していた。 最悪だった。

「もう近寄らないで!触らないでちょうだい!」
「なんでだよ。 俺はおまえの亭主だぞ? この国の王なんだぞ?」 酒臭い息を吐きながら、ダーンリーはメアリーを押し倒した。

「私、妊娠しているのよ !!」 メアリーは顔をそむけながら呟いた。
「どうせ俺の子じゃないんだろ? 誰の子なんだよ、おい。」 アル中でいかれたダーンリーの頭には、メアリーのお腹の子が側近 リッチオの子のような気がしてならない、いや、真実自分の子だったとしても、息子ならライバルになりうる。 ≪みんな殺してやる!≫

ジェ-ムス・スチアート

===== 続く =====

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