創作; “光の庭”のうたた寝 =057=

❢❢❢ 遼王朝皇族が耶律大石、王朝再興賦 ❢❢❢

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❝ =第一章第4節_08= 可敦城 遊牧民との協調 ❞

緊急に必要とする資材の打ち合わせは済んでいたのであろう。 翌日の早朝には何亨理が10名の兵と共に、早駆で南西に向かって行った。 馬の吐く息が白い。 馬上の将兵は毛皮の防寒衣で身を包み、近くからでも個々の判別などできない状態で離れて行った。 耶律遥は耶律磨魯古が指揮する20名の若者に混じり、大声で激を飛ばし、木材の片付けを始めている。 体を動かさなければ寒さに耐え切れないようだ。 全員が生き生きと、汗を流し始めた。 曹舜と畢厳劉は城内の縄張り(敷地の区画割り)を行っている。 砦内の木材を仕分けて整理が終われば、縄張りに従って凍てつく表土を掘り起している。 掘り起こしたブロック状の表土の塊は、一か所に集められていく。 凍土で擁壁を築くのであろう。 外敵を想定した擁壁の構築作業は砦内の片づけと使用可能な木材の算段が出来てから取り掛かるのであろう。 活気づいた城内を一巡した大石は楚詞とチムギを伴い、遠駆けに出た。 周辺の地形を調べ、確認する目的である。

日増しに城内は整備され、 掘り起こした凍土で西側の壁が高くなって行った。 積み上げれば崩落の心配はない。 堅牢であり、掘り下げられた場所は馬の繋ぎ場に成っていく。 穏やかな日が続いた。 作業は捗り、砦の活気は一段と増して行った。 時折、 大石は長と話し合っている。 長の名はボインバット。 娘と息子が三人いた。 先日の羊の頭を捧げ持ってきた子供は末っ子であろう。 羊の肉塊りを満載にした籠を搬入してきた若者二人は長男と次男。 長男は結婚しており、乳飲み子がいた。 聞けば、嫁いでいる娘が一人いるとのことである。 彼女は馬駆け15日の北に住んでおり、勇者の誉れ高き主人との間に子供が三人いるとの話である。 この砦には他に、夫婦もの四組が住んでいる。 独身の若者は長の次男と長に仕える牧童だけだった。 二人の若者はすぐに兵士に溶け込み、作業に精を出すようになっている。 長の長男の夫人が中心となって五名の女性が大石たちの食事を作ってくれるようになっていた。

大石は遠駆けを日課のように出かけている。 その前後にはチムギと楚詞が赴くままに馬を操る姿があった。 燕京で育ったチムギは馬と一体となって疾走する喜悦が解り出したのであろう、戯れるように楚詞と競い、一人で駆け、あるいは 楚詞と共歩している。 大石はそれを楽しそうに眺めていた。 二人は、大石と離れて夕刻に帰ることが多くなっている。

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  何亨理が10名の兵と共に、鳥海(五原と銀川*興慶*の中間)に向かって二週間。

可敦城の西側の城壁は凍りついた土壁が南北100メートルの長さで南の建屋と北側建屋西端側の城門と繋がっていた。 櫛状に広場側に3メートル間隔で5メートルの袖壁が作られ、外柵に使われていた木材が梁や母屋材に流用されて、片流れ屋根の骨組みになっている。 兵馬を西から吹き付ける寒風に晒さず保育する繋舎として屋根材を張れば万全であろう。 何亨理たちが帰還するであろうと思われる日から 大石は頭上に太陽が来る前には遠駆けから戻るようにしていた。 何亨理たちの予定はややずれているが、大石は何かを待ち望んでいるようであった。 今日も朝の早や駆けから戻った大石は事務所に使っている部屋の外回廊にチムギと楚詞を相手に談笑していた。 多くの諸兵が西側の外壁構築作業に汗を流していた。

陰山山脈北面の緩やかな傾斜が雪の平原と変わり、可敦城を包み込んでいる。 厳冬期にも関わらず雪は深くない。 外回廊の前面には燃える石が燃やされている。 諸兵が休息時の為であるが、諸兵が自由に飲める蒙古茶の大鍋が四つ据えられている。 大石たち三人はこの火を囲んで話し合っていたのである。

その時、毛皮の外衣を羽織った蒙古族と思われる二人が城内に入ってきた。 馬上の二人は壮健な若者に視える。 外衣は狼の毛皮であろうか、一人は馬が小さく見えるような巨体であった。 中央広場の奥、北側建屋の中央部の大部屋廊下に移動できる竃を据えて燃える黒い石を燃やして囲むように椅子を置き、暖を取りながら談笑していた大石、チムギ、楚詞に気が付いた巨体の若者が、城門を潜った辺りで 馬の側腹を両足の踵で軽く突き、広場を真直ぐ横切り三人の前に馬を走らて来た。 瞬時の出来事である。 彼は躊躇することなく三人の真近で下馬していた。

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 === 続く ===

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