創作; “光の庭”のうたた寝 =067=

❢❢❢ 遼王朝皇族が耶律大石、王朝再興賦 ❢❢❢

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❝ =第一章第4節_18= 可敦城 遊牧民との協調 ❞

1125年の早春、遼の天祚帝耶律延禧が治世に使用された元号では保大5年の三月、春の息吹は未だに陰山山脈南麓は訪れていない。 五原の天祚帝は信任する耶律撒八がもたらした報告で、西夏への亡命がウイグル族の策動で立ち行かなくなったと知った。 燕雲十六州が金の勢力下に入り、西夏が金に歩み寄る政策を余儀なくされていると知った。 また、宋の支配地が揚子江の南へと後退し、燕雲十六州一帯に在住する遼の皇族が金になびき沈黙していると言う。 宋に亡命するには燕雲十六州を通過せねばならない。 天祚帝は起こさなければならない行動に迫られていた。

五十名の騎馬武者を引率して、凍結する黄河を渡り オルドス東部を南下した耶律康阮は隊を東方に向け、楡林から大原に至る燕雲十六州南部の幹線路に将兵を分配していた。 この地帯は金と宋の国境であり、緩和地帯として東西に延びていた。 楡林の商人宿を連絡基地として散在していた。 他方、遅れて五原を出立した耶律康這の四十数騎はオルドス西南部で長城を越え、黄河東岸の昊忠に入って長城沿いに宋と西夏の動向を探る任務に就いていた。 康阮と康這の兄弟はオルドス東南の長城脇の望夏邑の商人宿で連絡を取り合っていた。 康這が居る昊忠から黄河の流れに沿って下流に北上すれば、一日で興慶 二日で鳥海にいたる。 また、南下すれば広陽、威陽、を抜けて長安(西安)に至り 南宋の城郭に繋がる重要な地点であった。

厳冬期の北庭都護府・可敦城に200余名の騎馬兵が準備も無く集結して越冬する事の困難さを配慮した大石総師の策ではあるが、兄弟の任務は重い。 天祚皇帝が向かう先は西夏への亡命は、総師と石抹胡呂の策動が西夏の要人であるセデキ・ウルフを動かし、潰えたであろうと思われる。 今 天祚帝が連絡を取り、延命を託せるのは宋である。 しかし、宋は金に攻め込まれて燕雲十六州の支配権を奪われ、金と西夏の関係も怪しくなっている。 その緩衝地帯に彼らが滞在し、三者の動きを偵察しているのである。

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 鳥海の商人・忠弁亮がバイカル湖の南域 南面する山丘の麓の窪みで冬の野営を営むキルギス族の村落を回り、可敦城に戻って来たのは厳冬の厳しさが緩み始めた1125年の早春、高原は未だに茶褐色の死の世界で、よく見れば 青き息吹が目覚め始めたと知れる。 120余頭のラクダを曳く忠弁亮に着き従いように古参の多郁が城門を潜り、最後尾を畢厳劉が二十名も騎兵を従え帰還してきた。 一週間前にタタルの動きを探ってきた耶律楚詞と石隻也が耶律大石の執務室で話し込んでいる折に、彼等が帰って来た。 畢厳劉と忠弁亮が前後を互いに譲りながらその部屋に入り来て短い報告をした後に二人して退室していった。

時を置かずに、中央広場で駱駝を纏めるよう指示している忠弁亮の背後に石隻也が近づき、『総師さまが北の話が聞きたい、明日の出立など考えずに都合が良ければ二三日付き合って下され』との伝言を伝えに来た。 彼は返事も待たずに多郁を探しに北側棟の小部屋に入って行った。 忠弁亮の随行人15名の寝床と駱駝を繋ぐ場所の設営を依頼する為である。

忠弁亮が率いるラクダ隊が北方での商いを終えて可敦城に立ち寄り、護衛の為に同行した畢厳劉がその任を解かれた三日後の早朝。 朝日が東の空を赤く染める草原を、120余頭のラクダ隊の先頭に連銭葦毛に跨る耶律楚詞の左右を忠弁亮と石隻也が騎馬にて並び鳥海への隊商路を南下していた。 彼等の背後に続く忠弁亮の随行人15名はそれぞれに7,8頭の駱駝を綱で連結して曳いている。 駱駝の背には羊の皮、貂や野鹿、狼等の毛皮が満載されていた。 耶律楚詞と石隻也は陰山山脈南麓の先遣来隊基地に向かっていたのである。 陰山山脈西方の隊商路を辿って山脈南麓に出れば、二人は忠弁亮と分かれるのではあるが・・・・・・・・

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