創作; “光の庭”のうたた寝 =068=

❢❢❢ 遼王朝皇族が耶律大石、王朝再興賦 ❢❢❢

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❝ =第一章第5節_01= ; 陰山山脈の南域にて・・・・ ❞

楡林から大原に至る燕雲十六州南部の幹線路には、金の動向を主眼に宋の暗躍と天祚帝の宋への繋ぎを探索する任務を帯びる五十名の将兵が配置されていた。 その指揮官が耶律康阮であり、かれは街道筋に幾多の定宿を設けて将兵たちの間を徘徊している。 今も、いつもの経路を経て来たのであろう、情報収集を終えた康阮が望夏邑の商人宿に入った。 オルドスの地から長安に向かう南北の交易幹線路が西夏の昊忠から楡林・大原と繋がる東西の幹線公路と十字に交差する村落が望夏邑である。 二重に構築されている長城がやや離れて南北にあり、望夏邑はその南北線のほぼ中間に位置している。 この時期には街道を東西に、また南北に隊商を組んで行き交う商人はすかないが、春から秋にかけての街道は獣馬が立てる音が絶えない。 康阮は馬を繋ぐと周囲を一瞥することなく目当ての商人宿に入って行った。 使い慣れている様子である。 その商人宿には耶律康這が二日前から待っている。

五原の天祚帝が王庭を離れて はや二月は過ぎた頃である。 彼らの兵糧が心もとなくなって来たころである。 康這はオルドス西南端の昊忠を活動拠点として西夏と宋の動向を探っている。 黄河の左岸に位置する昊忠から北上する黄河に沿って北に向かえば、一日の道程で西夏の都・興慶に至る。 更に二日で鳥海に至る。 康這は五日前に興慶に赴き、何蕎に会っていた。 今日は特別の日ではない。 耶律康阮と康這の兄弟はオルドスに潜伏して以来 この二ヶ月の間、15日ごとの定期にこの商人宿で落ち合い、情報交換を行っているのである。

長城が東西に二重、三重に重なって築かれている中間部の荒れ地の小川沿いに望夏邑がある。 春は未だに感じる事はなく、冬の商人宿は活気がない。 それでも、さすがに東西南北の幹線公路が交わる邑、商人宿は十指以上と思われる。 しかし、街道に賑いを感じられないのは、冬が未だに終わっていないだけではなく、金と宋 また 金と西夏の関係が険悪である事を如実に示しているのであろう。 この西夏・金・宋のさまが、冬の暗さに染めているのであろう。 望夏邑の外れにある門構えの大きな宿の部屋で、康這が一人の人物を伴って待っていた。 部屋には炉が置かれ、その小部屋は温かかった。 二人が談笑している。 馴染みに成った店番に案内された耶律康阮がその部屋に足を入れ、談笑している弟の話し相手に強い視線むけて口を開いた。 その人物は、見るからに風采のあがらない小男、だが 身に付けている衣服から子柄でも漢南の地主の息子か、裕福な家で育ったと思わせる落ち着きと風貌を持っていた。

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 「兄者、急に呼び出して申し訳ない。 約束の会合には早いのだが、五日前に興慶に向かい 今後の兵糧につき 何蕎殿の知恵を借りに行って来た。 興慶では欽宇阮殿には会えなかったが、何蕎殿の計らいでセデキ・ウルフ殿に見まえ、西夏国の策とする我々への支援を伺った。 この支援を受けるか否かは兄者の決断なのだが、ここに居られる宋江殿を紹介され、宋江殿の意向にてこの邑にまで案内して来た。 この邑に二日前に到達し、連絡を走らせたのだ」

二人だけなら、長舌の説明など必要はないのであろうにと 交互に二人を見つつ、兄と呼ばれた巨漢に向き直って、「まずは、自己紹介をいたそう。 身どもは、山東は青州の地主の次男で県の胥吏 小役人を務めておりました宋江。 行きがかり上で、人を殺めてしまったことから逃亡を余儀なくされ、各地を流転し、その間数多くの人物と出会って友の契りを結び事になった。 また 縁が在ったのか 彼らの梁山泊入りへの案内人を務めているしだいです」

「さて、梁山泊の宋江殿とは・・・・・山泊の天魁星殿でしたか。 これはこれは・・・・・先年、幾度も宋軍の後背を梁山泊の豪傑諸将を率いて攪乱し、わが遼帝国軍事統帥耶律大石を支援して頂いたと聞いております」

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 === 続く ===

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