創作; “光の庭”のうたた寝 =081=

❢❢❢ 遼王朝皇族が耶律大石、王朝再興賦 ❢❢❢

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❝ =第一章第5節_14= ; 陰山山脈の南域にて・・・・ ❞

「さて、ウラマーとかマフディー、カーディー・・・とは如何なることですか、チト・・・」と何蕎が問いを発して、耶律康阮と呉用の髭面を交互に見比べている。 一瞬の静寂の後 呉用の髭が動き、野太い声が静かに流れた。 何蕎に説明うるように彼の顔を向け乍ら、「ウラマーとは我らのマニが教えで言う知識人のこと、指導者はイマームと呼び漢土には五名前後であろう。 儂と康阮殿は、・・・・そうだな、マニの法でもって全ての諍いや日々の生活を裁く者。 この権限を統治者から与えられた者を示すのがカーディー。 色恋沙汰に借財、商い等の揉め事への裁判官と言って良いのだが・・・・漢土には20数名だろうか 」と。 そして、

「法的な裁定を行う我等同士は、手指の組み方で相互に認知できる印を持っており、呉用殿は宋江マフディーのカーディー。 マフディーとは教王もしくは宣帥と言えばよいのであろうか統率者のことで漢中に三人居られる。 漢北に耶律大石統帥殿、漢中の呉用統領殿、漢南に朱勾越王翁殿が居られる。 聞くところによれば、西方の天山ウイグル王国ビルゲ可汗国王もマフディーであられるらしい。」

「確かに、欽宇阮殿に警護してもらって蘭州に向かっている史孫勝が言っておったが、ビルゲ可汗マフディー殿は温和で慈悲深い国王だと・・・・ここに二人の鍾馗(ショウキ)殿がおられるが、望夏邑の宿で顔を始めて会わされた折にお互いがカーディーであると認識されたのですか・・・・」

「何蕎殿、それは御想像に任せましょう。 初対面で意気投合できるのは、言葉ではなく言葉を発する人が持つ雰囲気に共鳴するのでしょう。」

「それはそれとして、今 お聞きした史孫勝の隊商隊は義兄の欽宇阮が警護している以上、危険を顧みずに責務を果たそうと向かうであろうし、彼とて棒術の使い手。 西蔵方面に向う以上は腕に自慢の隊員を選んでおりましょう。 セデキさま、他になにか憂いが・・・・・」と何蕎は話を核心に導いていく。

「今朝ほど、我らが李乾順王との会談で、国王は酒泉の事を痛く心配しておられた。 酒泉城塞の事ではなく、城塞近郊のソグドの村邑が吐蕃兵団の襲来で破壊されれば国政に齟齬を来たすと申されたのだ。 ソヅドの民は古来より心魂は勇者、女 子供までも吐蕃の刃に立ち向かうであろう。 されば、自滅か四散か 我が交易の手足がもぎ取られる事に成る。」

「常ならば、西夏の兵団を西に向ければよいのだが、金の呉乞買(ウキツバイ)が宋を南に追い込んでいる今、我が国に正式な外交使者を送り込み 五原の天祚皇帝が動向を探っている。 少数の騎兵でも蘭州や武威方面に動かせば、燕雲十六州を統括する耶律余睹が兵をこちらにむけるであろう。 呉乞買(ウキツバイ)に家族を人質に取られている余睹将軍は遮二無二に功を計るであろう」

「我らが一門であり、高原に居られる大石統帥や楚詞皇子と血が近い皇族である余睹将軍が如何なる思い出おれようと、敵として立ち会わねばならぬお人。 刃を交わしたくはない・・・・・」と耶律康阮が康這に相槌を求めるように横を向く。 そして、目を閉じていた呉用が隣りに座る宋江に向けて、思案顔で口を開いた。

「統領、二人を呼んだのはこの件ですかい、康阮兄を燕雲十六州から遠ざけ、我と燕靑が金と宋の動きを調べ、五原に動きがあれば、金が知る前に西夏が動き 宋との連絡を隔絶する。」

「なるほど、 康阮殿や康這には、バカでのチョンでも一門の統領たる 未だに遼の天祚皇帝と名乗る人物が宋に逃げ込む情報を掴んでも手は出せない。 我らなら、金の雑兵に密告すれば 山中のどこかで暗殺されようと知らぬが半介。」と 燕靑は独り言のように、いや 全員に聞こえるようにと小さい声ながら明確に吐いた。

「流石に、梁山泊の天巧星と呼ばれる燕靑殿。 一昨日 呉用殿とこの興慶に参られ、ゆっくりと話しを交わす時が無かったのに 今 寸時の話で要点を射抜かれた。 康阮殿、実を申せば、宋江殿が来られ、種々のお話を伺っている内に、呉用殿が指摘された策に考え至り その策の実施について、宋江殿に相談したところ 梁山泊のお二人を文にて下向を促されたのです。 ところで、康阮殿は いかが 思われる。 今 申した策は、我が独断専行であるだろうか?・・・・ 大石統帥には 一切知らせていないし、勿論 康這殿にはなのも相談していない。 先般 何蕎を通じて今後の兵糧と密偵は心配無用とだけしか伝えていないのだから・・・・・ 」とセデキが今日に至った経緯を淡々と披歴した。

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=== 続く ===

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