創作; “光の庭”のうたた寝 =084=

❢❢❢ 遼王朝皇族が耶律大石、王朝再興賦 ❢❢❢

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 ❝ =第一章第5節_17= ; 陰山山脈の南域にて・・・・ ❞

苞力強は脆い山肌に道を拓いていた。 ゴビ砂漠を南北に断ち割っている陰山山脈が東西に横たわる中間部であろう。 山脈の幅が広い場所で、小さな山並みが東西に三層並ぶ。 苞力強は五原北東にあるダルハンの水場に設けた先遣隊支援砦から北東に延びる枯れ沢の川床を遡行して陰山山脈の懐に分け入り、蒙古高原へ続く間道を切り開いていたのである。 陰山山脈の南側は黒い地肌がむき出しであるが、最南の岩稜地帯を乗り越せば東西に連なる谷筋に出る。 更に、北側にある岩が露出するなだらかな斜面を登り、再び谷筋に下れば低木が茂る谷筋である。 この谷筋よく北側に斜面を登り、東西に走る山波の峠らしき箇所を踏破すれば目前に蒙古高原へと連なる緩やかな斜面が待っている。 蒙古高原側から遊牧民が山中の草を求めて羊を追う道があり、その道は陰山山中を東西にはしり、網の目のように広がっている事を力強は知っていた。

陰山山脈を遮二無二に真北へと縦断する最短の間道を開拓しても、進んで行った北側にはゴビ砂漠が横たわっている。 陰山山脈はゴビ砂漠を南北に分けているのである。 それは、あたかも砂漠の海に突き出ている半島のように。 西部より東部に突きており、北庭都護府・可敦城は半島の付け根の北側に位置していた。 五原は付け根の南側に当たる。 支援砦から北東に延びる枯れ沢の川床を遡行して陰山の前衛山脈を超えた後に、東西に走る谷筋を西に向かって進み、中央の山波の脆い山肌の斜面を登り下りて北側の谷筋を再び西に向かう。 この辺りから、遊牧民の踏み跡があるのだが、今一度 陰山山脈後衛の山並みを越さねばならない。

力強が切り開こうとしている間道は、北庭都護府・可敦城と張家口を直線に沿って屈曲する陰山の間道と成るであろう。 力強には、遊牧民の地理感覚以上の方向感覚が備わっているようであった。 陰山山脈後衛の山並みを北側に抜け切れれば、蒙古草原を東西に走る交易幹線道のマンラン邑に至るはずであった。 金の侵攻で陰山南山麓の遊牧民は四散してしまい、山に分け入る民はいない。 まして、冬季に羊を追う遊牧民などは皆無である。 力強には道案内になる人も情報の無かったのである。 陰山山脈の西部域で北に抜ければ、そこは蒙古高原である。 力強の故郷である。

ただ、苞力強には苦い記憶があった。 彼が、成人の儀式に臨む少年最後の日にタタル族に父を殺された。 その折、父の親友であり、後見人になるはずのケレイトの長が、ゴビ南の遼に向かい 燕京に居られる耶律将軍に縋れと、道を教えてくれた。 遼の力でタタルの一派への指弾を また 父の仇を取るために燕京に向かったのである。 陰山山脈を南に抜けた経験は一度きりであった。 彼が必死で踏破した道は、今 振り返れば、その道は山脈東方の二連浩特から鳥蘭祭布に南下した後、張家口から燕京に至る交易の幹道であった。 官票を持つ交易商や武人、公人には安易な公道であるが、苞力強には夜陰にまぎれて踏破した苦き思い出の道であった。

・・・・・・・・
耶律時は、万里の長城に於ける裏の第一門と言われ、重要な大境門の北側に基地を設けて、金の動向を探っていた。 彼の基地は張家口城郭の北、馬足で半日の距離にあるこの大境門城郭が覗える谷間にあった。 長城北側を長城に沿って走る間道に近接している基地に、20騎の精鋭を配し、日夜東西へと巡回の偵察を行っていた。 また、 定期的に陰山山麓に設けたダルハン砦に帰還しては、苞力強や耶律巖と種々の状況分析と指示を与えていた。 大境門城郭からダルハン砦まではゴビ砂漠縦断の三日の旅程、時は二日で踏破していた。

時の指示を仰いで徘徊する勇者20騎は四つの班に分かれて、東方は砂漠東端の錫林郭靭まで巡回しいている。 この場所から東方に大草原が広がり 何時しか 大興安山脈山麓に連なる契丹族の故郷に行き着くのだが、この地より南に転じて赤峰、承徳から長城に沿って戻る。 燕京の北域を偵察している。 そして、西部の巡回は、鳥蘭察布から呼和浩特までの地域を巡る。 燕雲十六州の北域地帯で南の金軍勢と北西の五原、天祚帝の動向を探っている。 時折、オルドス北辺の包頭城郭や羅農邑に潜伏している間諜からの情報を集めて来る。

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=== 続く ===

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