創作; “光の庭”のうたた寝 =087=

❢❢❢ 遼王朝皇族が耶律大石、王朝再興賦 ❢❢❢

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❝ =第一章第5節_20 ; 陰山山脈の南域にて・・・・ ❞

耶律康阮たちが飛び立った興慶の城下、朝餉を終えた宋江と何蕎が西の大門を潜り抜けた。 宋江は多弁であり、小男と言えるが風格が身躯を大きく見せる。 文人の装いであった。 武人の服装で轡を並べる何蕎はウイグルの血を引くのか眼孔は深く、いかにも 見識が広いようで寡黙であった。 それぞれ、二頭の控え馬を曳いている。 馬の背には大きな荷物が積まれていた。 急ぐ旅ではない。 ただ、寒さは厳しい。 宋江は四辺を見渡し、馬上から凍てつく風景に、「何蕎、あれは何だ、あそこハ・・・・・」と問い、何蕎が答えている。

石嘴山で暖かい昼餉を取り、寒さに追われるように 黄河に並行する交易路をやや急いで北上し行く。 興慶から鳥海の区間の交易路には黄河を渡れる場所が二ヵ所ある。 鄂爾多斯(オルドス)地方に踏み込む箇所である。 また、交易路を離れて川床を進むことが出来と何蕎がその度に説明しながら馬の背に揺られて北上する二人。 宋江は四辺が見渡せる交易路が良いと街道を選ぶ。 石嘴山から鳥海までは4時間も必要としないのだが、冬の日は短い。

鳥海は緩やかに流れる黄河がやや左方に屈折して取り残された右岸の、太古からであろう 広大な河原にできたようで、全体が砂っぽい。 その町の中心街に忠弁亮の商人宿がある。 蘭州から北上する交易路は西夏の都・興慶(現在の銀川)を経由して蒙古高原の至るのであるが、ここ鳥海は西夏国第一の商都として賑わっている。

鳥海は幹線の交易路が十字に交わる場所。 この地を境に、南は農耕民の生産物が 北は遊牧民の生産物が分布し、交易される。 また、幹線道を西に向かえば、西夏第二の行政府・アラシャン王府、そして 東の鄂爾多斯を超えれば燕雲十六州に至る要地である。 鳥海の中心街に交易商・忠弁亮の商人宿がある。 彼の店は東西に走る広い街道(公道)に接し、土塀で広い庭と街道は仕切られ、宿泊棟がコの字状に三面を塞いでいるのである。 この広い庭にて、シルクロードの物品や漢中の農産物、蒙古高原の狩猟産物が集まり、交易される。 また 中継されているのであろう。

忠弁亮は、鳥海一の商人である。 買い付けた物品を各地に売り歩く隊商を組織し、また 帰路に買い付けてくる。 蒙古高原が彼の商圏であり、南の物品を北の遊牧民に売り捌く。 北の狩猟産品や牧畜産品を買い付けて帰り、鳥海に参集する仲間に転売するのである。 したがって、彼の店には西域や華中の交易商が来訪し、泊まり込む。 自然と情報の交換が行われ、商いに関係する世評はもとより 交易路の安全や各地の城郭支配者の性格などが話題に成った。

何時しか 太陽が傾き始めたころ、二人は鳥海城郭内の中央部に位置する忠弁亮の商人宿の門前に到達していた。 商人宿は公路であろう大通りに面し、土塀の中央に大門が設けてある。 しかし、門は解放されていた。 大通りから中庭が見渡せる。 日没とともに大門は閉ざされるのであろう。 大きな庇で覆わる回廊が三面、コの字状に建屋が建っており土塀が敷地と大通りをくぎっている様子が見渡せる。 門を入るとそこは広場であり、駱駝が二三十頭繋がれていた。

商人宿を兼ねているからであろうか開放的な雰囲気に宋江は、無遠慮に四辺を見渡しながら何蕎と歩む。 何蕎は、我が家のように ずけずけと下馬することなく広場の奥に進み、行き当たりの場所で宋江を促して馬を降りた。 そして、四頭の馬を門型の繋木に手綱を結わえた後に宋江を誘って建物の隅にある通路を奥に進んで行く。

忠弁亮が道普請に必要とされる資材を陰山南麓のダルハン砦に送り込んだのは昨日の事であった。 苞力強が突貫作業で陰山縦断の間道を拓いている。 そのための資材や備蓄用の兵糧を忠弁亮が請け負っていた。 ダルハン砦は忠弁亮が居住する鳥海から黄河沿いに隊商路を北上し、バヤンノールの 臨河村落から陰山山脈山麓を東に向かうのであるが、隊商が襲われるような場所ではない。 遊牧民が、時折 羊を追うゴビ砂漠と禿山である陰山山麓を縫う道とは思えぬ間道を縫って、駱駝を連ねて運び込むのである。 約一か月の内に三度、定期的に忠弁亮は30頭のラクダ隊を五名の部下に託し、砦を預かる耶律巖と苞力強の下に送ってきたのである。 何蕎と宋江が忠弁亮の商人宿に現れた前日に送り出した荷が最終であったという。

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=== 続く ===

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