創作; “光の庭”のうたた寝 =089=

❢❢❢ 遼王朝皇族が耶律大石、王朝再興賦 ❢❢❢

=089=1

❝ =第一章第5節_22 ; 陰山山脈の南域にて・・・・ ❞

何蕎は中庭から建物間の回廊を戻り、5、6頭を一塊として50数余頭の駱駝が両膝を屈して砂上に寝ている広場に再び出た。 東側の回廊を西日が照らしている。 先ほど繋ぎ止めた三頭の馬の脇を通り、ただ 首から上部のみを持ち上げているラクダが群れの中を横切り、東側の事務棟中央部の回廊に立つ。 事務室の北側は寄り集まりのサロンである。 南側の倉庫棟側は上質の客の宿泊室が三部屋並んでいる。 回廊に立つ何蕎の背後から西日が腰の高さまで照らし、両開きの扉に影を落としていた。 何蕎はその扉に声をかけた。 「忠弁亮殿、おられますかな、何蕎です。 興慶から参りました。 忠弁亮殿・・・・」 扉は直ちに内側に開かれた。

開かれた扉の傍に初老と思われる恰幅がよい人物が笑みを浮かべて、何蕎を室内に誘った。 絨毯が敷かれた部屋である。 奥の隅に書机があり、周囲の壁の前には長椅子が回されている。 部屋の中央には平石を並べた上に四脚の鉄製の炉があり、その炉に黒い石が赤く燃えている。 この隊商宿の主人である忠弁亮が更なる黒い石を継ぎ足しながら、「何蕎さま、よく来られました。 先ほど、下僕が『何蕎さまが客人を伴われて、奥に行かれた』と報告にきたが、火種が弱くなっていたので出迎える前にと・・・・」と親しげに言いつつ歩み寄り、大きく手を広げて何蕎を抱きしめた。

「いや、公務ではないにですから わざわざ・・・・・、」と何蕎もそれに答えて抱擁する。 炉の周囲には黒檀であろうか 重厚な小型添机を持つ椅子が四脚配されている。 忠弁亮はその一つに何蕎を導き、今一度 燃える石が煙を立てていないか確認した後に、扉の傍に佇む見事な、艶のある白い顎鬚を蓄えている人物を手招きした。

「して こちらの御仁は、・・・・」

「自己紹介いたしましょう、酒泉のイムルグ、ミイ・イムルグです。 何蕎さまですね。 先ほど あなた様が西夏の丞相 セデキ・ウルフ殿の信任厚き忠臣で、今は 遼の皇族であられる耶律大石殿に仕えておられると伺ったところです。 久方ぶりに ラクダを引いてこの地に参り、 今日で五日に成りましょうか」

「今、酒泉といわれましたな、イムルグさん 気に成る事がございます。 それは、後ほどにお話するとして、弁亮どの 今日は旧主が命じた仕事ではなく、北の耶律大石統帥さまの下へ 客人を案内する途上に一夜をお世話願いたく、立ち寄ったのですが・・・・」

「同行の客人はセデキさまの・・・・・」

「いや、南京(燕京)の安禄衝の文を携えて、興慶に参られ セデキさまに大石統帥へ安全な面会を依頼された方なのです」

「お話の途中、 誠に失礼ですが 何蕎どの、今 燕京の安禄衝様のお名前を口にされましたな。 禄衝様は我等が総代で在られる大尽方、北が商圏とする忠弁亮どのも聞き知っておられるはず。 シルクロードの我等には神に等しきお方の文を携えて、西夏の丞相にお会いされたのちに北に向かわれるとのこと、如何なるお方か 土産話に聞かせてくれませんか 」

「聞かせるも何もない、イムルグさん 日の暮れる前に お会いし、お知恵を借りなさい」
「・・・・・とは、何蕎さま、 なにか ございましたか・・・・・、 申し遅れましたがイムルグさんは酒泉城郭の郊外に入植地を開き、その交易邑地の長を勤めているのだが・・・、」

=089=2

=== 続く ===

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