創作; “光の庭”のうたた寝 =091=

❢❢❢ 遼王朝皇族が耶律大石、王朝再興賦 ❢❢❢

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❝ =第一章第5節_24 ; 陰山山脈の南域にて・・・・ ❞

宋江と石隻也が下僕に案内され、回廊を渡って広い庭に出てきた。 先ほど通過したはずなのに、宋江の習癖であろうか 来た折には庭に散在するラクダの数を的確に数え、駱駝の瘤を擬視して それらのラクダの滞在日数を判断したのだが、下僕に急がせられながらも宿舎棟の屋根の構造を駱駝の脇を抜けながら確認している。 向かう前面には 回廊上部の下屋には西向きに鳩小屋が設けられているのを確認している。 下僕はその鳩小屋がある東棟回廊中央部の部屋に二人を導いた。 そして、声をかけることなく、扉を開き 二人を室内に押しやった。

室内の三名は待っていたのであろう、 宋江を紫檀の椅子に手招き、石隻也が忠弁亮とミイ・イムルグに宋江を紹介した。 相互に初見の挨拶を交わした後 燃え盛る炉を囲んで何蕎、宋江、忠弁亮とミイ・イムルグが紫檀の椅子に座した。 隻也は書机用の椅子を引き寄せ何蕎と宋江の間のやや後ろにそれを置き座した。 全員が相互の顔が見える。

燕京の政商・安禄衝は、ソグド人安禄山の末裔である。 安禄山は唐代の軍人であり節度使であった。 唐の玄宗皇帝に対し安禄山の乱を起こし、大燕国の皇帝になった。 本姓はで、康国(サマルカンド)出身のソグド人と突厥との混血であった。 安禄衝は、家祖の康国からの秘伝密宝の妙薬、媚薬、毒薬等を広く漢中で商い財を成していた。 特に、極秘に扱わねばならない取引では、その品を伝書鳩を遣って行い、秘密裏に時間を掛けずに納入していることから同業者の追随を許さず、勢力を確立したと言う。

彼の正嗣、安禄明も鳩を使い、五原に陰住していた親友・耶律大石との交信に用いている。 訓練を受けた伝鳩は飼い主が帯同する移動鳩舎にも舞い戻ったという。 通常は300km以内での通信・運搬等に使われていたようだが、移動する鳩舎に帰巣せしめてその目的を成就するには伝鳩固体の才能を判断して40~50km以内で使用すると言う。 広域な遠隔地へ出向き、交易を行う隊商の引率者は留守宅への通信手段として、この伝鳩は珍重した。 伝鳩通信は元来が中央アジアで発達したものである。 シルクロードの全域で交易を行う酒泉のミイ・イムルグは、西方はクチャに、東方は長安に鳩舎を構えて双方通信を行っていたのであろう。

赤白く燃えて黒い石が炎を立てている。 炎は見つめる人の心を和らげるらしい。 しかし、イムルグは何蕎と宿主の忠弁亮との短い会話から、物静かに炎を見つめる初対面の挨拶を交わした小柄な身躯の宋江をそれとなく伺っている。 彼がこの若さで、この貧相に見える身躯で、目前の小柄な人物が宋王朝を震撼させているとは信じられなかったのである。
また、たった今、耳にした 燕京の安禄衝様との親交の様子、遼の麒麟児と噂が高い耶律大石統帥に会いに行こうとする行為。 また、噂気聞き及ぶ不明で不可思議な行動、西夏の丞相から得たと思われる己に関わると思われるなんらかの情報が彼の口から齎されるに違いないと、ミイ・イムルグは宋江の口元を見つめている。 不安な思いを抱きつつ・・・・・・

「実は、イムルグ殿 いや イムルグさんと呼ぼう。 我等二人が興慶を旅立った五日前に セデキ丞相の下に、蘭州手前の白銀から耶律大石統帥の武将・欽宇阮殿の文が届いた。 欽宇阮殿は耶律大石統帥の智謀の将軍。 また、西夏のウルフ丞相の依頼で ココ・ノール(青海湖)手前の西寧に50頭の駱駝隊を引率する史孫勝を護衛する任に将軍は就いておられた。 20名の部下を率いて。 文によると、史孫勝の隊商が襲われたが、 欽宇阮殿は難なくあぶれ者十数名を取り押えられた。」と、何蕎が切り出した。

「欽宇阮さまが西蔵の地に赴かれていることはセデキ丞相から聴き、大石統帥に伝えてありますが゛・・・・」と石隻也が口を挟むと、瞬時に「隻也、静かに聴いておれ」と柔和な目で隻也を叱咤しながら 宋江が話を継いだ。

「欽宇阮殿が襲った賊の首領から聞き出した話しとして、祁連山脈の南麓にある哈垃湖畔に吐蕃兵が集結。 吐蕃兵団が祁連山脈を縦断して、北に位置する酒泉の城郭を落とし、阿拉善砂漠を北上 西夏のアラシャン王府をも馬の脚で踏みにじる侵略の謀議。 その手先として、吐蕃の彼等が西夏の隊商を襲う陽動作戦に加担している事を知り、欽宇阮殿は急使を興慶走に走らせたのだ」

隊商が旅の途上で襲われるのは茶飯事としても、吐蕃兵が酒泉の城郭を襲うと言う情報にさすがのミイ・イムルグの不安が募った。

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=== 続く ===

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