食糧危機・食の未来と貧困 =02=

◇◆ 食糧危機は始まっている  ◇◆

 危機に備える・柴田明夫 =2/8= 

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  今では世界の豚肉消費量1億トンの半分、5000万トンが中国で消費されている。つまり、世界の豚の半分を中国人が食べているのです」

豚を1kg太らせるのに7kgの飼料が必要だと言われている。もともと中国はアメリカに次ぐトウモロコシの生産国で、世界全体の約2割にあたる約2億トン(2012年度)を生産しているほどだが、2009年からは自国の生産量だけでは足りず、輸入に踏み切った。輸入量は年々増加し、米国農務省が出した試算では2013年度で500万トンだ。

生産量からみると少なく感じるかもしれないが、この数字は日本、韓国に次ぎ世界3位である。

柴田さんの話では、中国では豚肉の価格上昇はCPI(消費者物価指数・物価変動の指標)を押し上げてインフレを起こすほどの影響力があり、「中国ではCPIを『チャイナ・ピッグ・インデックス』というほど」なのだという。加えて、中国の米の輸入量は世界1位(8%)で小麦が2位(6%)、大豆にいたっては世界の貿易量の約7割を輸入している。

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 需要拡大が特に目立つのは中国だが、もちろんそれだけではない。人口約2億5000万人のインドネシアではやはり人口増加と経済発展にともなって砂糖の消費量が増え、生産量を上げながらも輸入を拡大している。

インドネシアの砂糖輸入量は世界第4位だ。こうした新興国、なかでも人口大国がマーケットに入ってくると、日本のような食料を輸入に頼っている国が多大な影響を受けるのは目に見えている。

さらに、作物の燃料としての需要が高まっていることも影響していると柴田さんは言う。

「原油の価格が高騰すると大型機械を使う近代農業のコストも上がってしまいます。そのうえ、化石燃料は温室効果ガスを排出する。そこで導入され始めているのがバイオ燃料です。バイオエタノールに積極的に取り組むブラジルでは、サトウキビの生産が急増しています」

原油の使用を抑え、地球温暖化の対策にもなるのだからいいのではないかと素人目には見えてしまうが、作物の需要に供給が追いつかなければ結局、価格は上昇する。しかも、いままで食料として消費されてきた作物が燃料に取られてしまうのだから、貧困層を中心に食料不足へとつながることも懸念される。

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 また、資源という意味では水の問題も深刻化している。

「水は循環する資源ですが地域的な偏りがあります。2011年のタイの大洪水が記憶に新しいですが、東南アジアなどでは異常気象によって雨期は洪水、乾期は水不足で農作物に影響を与えていますし、中国、インドなど工業化が急進している国では水質汚染が問題になっている。

インドは基本的に食料を自国で賄っていますが、地下水が枯渇してきていて水位の低下や塩害が起こっています。そうすると慢性的な水不足を解消するために、農作物の生産を調整して輸入に動く可能性も考えられるのです」

こうしたさまざまな問題が複雑に絡んだ結果、食料の価格が上昇しているのだ。裏を返せば、食料に対する人びとの危機感が価格を押し上げているといえる。

人口増、経済発展による需要拡大に供給がともなっていない今、食料は限りある資源である。もし、輸出国が食料を戦略物資とみなせば争奪戦が起きないとも限らない。

「実際に世界的な食料危機が起こったら、日本は非常に深刻な状況に陥ります。食料自給率(カロリーベース 以下同)が39%しかありませんからとうてい国民を養えませんし、輸入に頼っているトウモロコシや小麦が入ってこなくなれば、それを飼料とする畜産農家が廃業します。

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  耕作放棄地で再び作物をつくるにしてもすぐには無理。日本は食料危機に備えて早急に対策を立てる必要があります」 現実にも、リーマン・ショックから3年たった2011年には再び海外市場の価格は高騰している。

今度は穀物だけにとどまらず、砂糖や菜種など多くの食料が値上がりした。ただし、当時は80円を切るほどの円高だったため、日本では輸入価格が緩和されて価格上昇そのものは目立たなかった。

しかし、東日本大震災が起こったことで生じた食料や電力の不足に危機意識を持った人は少なくないはずだ。さらに、震災によって東北を中心に製造業の業績が落ち込むいっぽうで、原子力に代わる液化天然ガスなどの輸入が高じて、日本は31年ぶりに貿易赤字に陥った。以来、2013年まで3年連続で赤字が続いている。

いまこそ日本、そして私たちは現実を受け止め、近い将来やってくる危機に備えなければならない。では、具体的にはどうすればよいのだろうか。

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=== 続く ===

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