食糧危機・食の未来と貧困 =03=

◇◆ 食糧危機は始まっている  ◇◆

 危機に備える・柴田明夫 =3/8= 

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 新興国の需要拡大、作物の利用方法の多様化、水など環境資源の問題によって海外の食料市場では供給不足が懸念されている。  しかも、2050年には世界人口は90億人になると予測され、その懸念は増すいっぽうだ。いまこそ、日本は食料危機を現実的な問題としてとらえ、食料を安定的に供給できるような体制をつくらねばならない。

そのために必要なことは、「穀物の備蓄を拡大すること」、「輸入先を多角化すること」、そして「国内の農業資源をフル活用すること」の大きく3つが考えられると柴田さんは言う。

「まず穀物の備蓄の拡大ですが、日本の主食である米の備蓄はおよそ90万トンです。 米1トンで1年間養うことのできる人数は大人6~7人と言われていますから、いまの備蓄量ではすぐに底をついてしまいます。

たとえば中国では、すでに絶対的な不足を想定して食料安全保障戦略という政策を進めていて、穀物の備蓄については需要を5億トンとし、そのうち3億トンの備蓄設備を設けて、2億トン以上の穀物を確保している。  日本の場合は、不作など一時的な不足に備えているだけですから、これは早急に見直さなければなりません」

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  なぜ穀物が重要なのかと言うと、栽培が容易、長期保存が可能な点などが挙げられるが、一番の理由は人間のエネルギー源となる炭水化物を多く含むことだ。

およそ400万年といわれる人類の歴史のうち、人口が増えだしたのは小麦など穀物の農耕が始まった1万年前からである。 狩猟と違って安定した収穫が得られて栄養もある穀物は、人間を慢性的な飢餓状態から救う食料であり、それは現在も変わらない。

食料の安全保障という意味では、輸入先の多角化が必要だ。日本の輸入先はトウモロコシの75.5%、小麦52.9%、大豆61.6%(いずれも2012年)とアメリカに大きく依存しているのが現状。 つまりはアメリカが輸出制限をしたりすれば日本はたちまち食料不足となる。

新興国の輸入が拡大している現状では一局集中を避け、ロシアやウクライナ、中南米などに輸入先を広げておく必要があるという。

「輸出国は基本的に国内需要を優先させ、余ったものを輸出します。これに対し、自給できない国は必死で輸入しようとしますから、争奪戦を避ける意味でも輸入先は広げておくべきでしょう。

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  ただ、全体的に供給量が足りなくなると価格は大きく変動します。危機的状況に陥ったときに価格急騰といった荒れた国際マーケットの影響をなるべく受けないようにするためには、国内の自給率を上げることが大事だといえます」

そのために日本の農業を見直し、資源をフルに活用することが必要だと柴田さんは語る。

「そもそも日本の食料事情は少々偏っています。 国内では毎年1000万トンの穀物を生産していますが、うち8割以上を占める米は供給過剰が続いている状況です。  それなのに1970年代以降、トウモロコシをはじめ、小麦や大麦など計3000万トンの穀物を恒常的に輸入しています。 さらに言えば危機意識の低さの表れか、食料品全体で2000万トンは食べ残しや賞味期限切れ、加工の過程で捨てられてムダになっている。これはおかしい」

しかも、現在の日本の食料自給率はたったの39%。アメリカが130%、フランス121%、ドイツ98%、イギリス65%(すべて農林水産省による)と他の先進国と比べても格段に低い。なぜこのような状況になってしまったのか。

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 「原因のひとつに米の減反政策があげられるでしょう。 減反政策とは主食米の価格下落を防ぐために政府が米の生産量を調整し、減反に協力する農家に10aあたり1万5000円の補助金を出すというものです。  1970年に開始されて以来、40年以上にわたって続けられていますが、それが耕作放棄地を増やす結果となってしまったのです」

政策では転作した場合の奨励金を設けていた。  しかし、米は比較的作りやすい農作物であり、小麦などの他の作物に転じるのは技術がいるうえに効果的な生産性も得られなかった。

補助金が出るのなら無理に作る必要はない……農家は米以外の作物への生産意欲を失い、農地を放置するようになったのだ。

さらに、過去に起きた食料危機における対策も影響した。

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=== 続く ===

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