食糧危機・食の未来と貧困 =13=

◇◆ 2048年には世界の海で魚が獲れなくなる  ◇◆

 漁業復活の処方箋・小松正之 =5/8= 

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「新潟方式」が日本の天然漁業を救う

日本の漁業界を衰退に導く漁業資源の管理方式と悪しき補助金。 この状況を切り開くには、それらが誤りだと気付かせるだけの新しい方法、そして結果が必要だ。

そこで小松さんは、新潟県でIQ方式に取り組み始めた。 きっかけは2008年に新潟で開催された「豊かな海づくり大会」。 水産業の知識と海の環境保全に対する意識を深めるために、毎年開催地を変えて行われるイベントである。

「大会の後に泉田裕彦知事が、新潟も漁業の衰退がひどいので回復をしなければならない、アイスランドやノルウェーの方式を学びたいと連絡をくださいました。私はすぐに会いに行って知事と話し、新潟でIQ方式の取り組みを始めましょうと知事から指示を得ました。 そこで委員会を立ち上げ、2011年から日本初のIQ方式のモデル事業を開始したのです」

対象の魚種は、一般的に「甘エビ」と言われる「ホッコクアカエビ」。北太平洋に広く分布していて、日本海では北海道から鳥取県あたりまでの沖で獲れ、北海道が約半数、次いで石川・福井・新潟の漁獲量が多い。

新潟県では1972年に1250トンを記録したが、その後は減少して2013年には400トン超となっている。

「ホッコクアカエビは新潟にとって重要な水産資源です。 そのうえ、エビは卵からふ化しても広範囲に回遊しないといわれているため、資源管理が比較的容易なのです。 高額商品であるためデータも多く、経済的な価値も高い。対象種に選んだ理由はここにあります」

新潟のホッコクアカエビ漁は底引き網漁とかご漁があるが、より管理がしやすいことから、モデル事業は佐渡の赤泊地区のかご漁を対象としている。

先にも少し触れたが、IQによる成果はおもに3つあるという。 まず、最大の成果として資源が回復することだ。 TACを漁業者に振り分けることによって、取り締まりがしやすく乱獲がなくなるために、魚が育って繁殖可能な親魚が増えるのである。

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「2011年に大型のエビは全体の40%でしたが、2012年には50%に増えています。 エビは産卵するほどの大きさになるまで7年かかるので、明確な成果を出すのはもう少し先になりますが、さっそく効果が出始めていると言えます」

2つめは収入が上がること。 オリンピック方式では競って漁をするため、小さな魚であっても、市場が冷え込んでいるときでも獲らなければならないし、獲ったものは売らないと儲けにならない。

結果、商品単価も上がらない。 しかし、IQ方式であれば市場を見ながら漁を行って売ることができる。

「従来はホッコクアカエビ漁は夏に禁漁していました。 しかし、調べてみると産卵期などの自然に配慮していたわけではなく、昔は冷蔵設備がなくて保存ができなかったからだと推測されました。 夏は観光や帰省のシーズンなので価格が上がります。 IQなら1年の漁獲量が個別に決まっているので夏に獲っても問題ないと解禁しました。 そうしたら、大型で30%、中型は28%、全体の平均でも17.7%も単価が上がったのです。 これを見習いたいと近隣の地区にIQの検討の芽がみられます」

そして、3つめは投資の合理化だ。

「佐渡のかご漁では船1隻あたりのかごの数が1050個に制限されていますが、IQなら1人当たりの漁獲数が決まっているのだから、かごや漁船の制限は必要ありません。 だから上限をなくそうとしましたが、漁場には古くからの慣習があり無理にはできない。 そこで妥協案として1隻あたり2100個のかごを使えるようにしました。

現状で2100個のかごを使うためには2隻の船が必要で、1隻建造するのに1億円かかることを考えれば、単純計算で1億円のコストカットです。 漁獲枠に見合った漁業者それぞれの投資が可能になるのです」

これらに加えて、我先にと無理をして操業する必要がなくなるため、安全操業で自由に休めるから家族も喜ぶ。

そうした効果がIQにはあるのだと小松さんは言う。

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=== 続く ===

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