食糧危機・食の未来と貧困 =15=

◇◆ 2048年には世界の海で魚が獲れなくなる  ◇◆

 漁業復活の処方箋・小松正之 =7/8= 

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 日本の養殖技術は世界有数だと言われている。 1928年にはブリの養殖に成功し、いまや世界1、2位を争うチリのサケ養殖業の技術は日本の企業が教えたものだ。

近年では、ウナギやクロマグロを卵から人工的に育て、技術的には完全養殖に成功している。 その日本の養殖業がなぜ衰退しているのか。

「日本の場合、経営規模が小さく生産効率が低いことが問題です。 日本のサケの養殖は直径20メートルの生け簀で行われますが、ノルウェーの場合は全長150メートルにもおよぶ。

日本は就労者の年齢も高く個人経営が多いので、生産効率から価格を決めるとしたらノルウェーのサケのほうが断然安くなり、市場にも出回りやすくなります」

2002年に完全養殖に成功したクロマグロは、国際的にも漁獲量が制限されているため注目はされているが、人工ふ化はまだまだ死亡率が高く、技術コストもかかることからやはり大規模化するのは難しい。

いまや日本人が口にする9割以上が養殖のウナギも、資源管理をしないことで稚魚の漁獲量が減り、また養鰻池を保温するための燃料代は増加して養鰻業者の経営を圧迫。 養殖ウナギの生産量は1985年の4万1094トンの半分ほどに落ち込んでいる。

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 しかも、養殖そのものにおいても問題が多いと小松さんは言う。畜産と同じように、栽培するという意味で餌と人間の食料が競合するからだ。 世界では魚も植物性タンパクで育てて生産を増やそうという考え方があり、ノルウェーでは研究が始まっている。

「現在、世界の漁獲量1億5000万トンのうち、2700万トンは魚粉や餌用飼料に利用されています。 もし、食料危機に備えて不足分の7200万トンの魚を養殖で補うとしたら相当量の餌が必要になるでしょう。

それだったら餌となる魚や穀物を直接人間が食べるほうがもっと効率がいいのではないか、とも考えられます。 また、水や石油などの資源も問題です。

飼料用のトウモロコシや大豆を育てるには水が必要です。 ほとんどは河川水ですが、5~15%は地下水を利用します。

1キロの穀物を育てるのに100万倍の水がいるといわれていますから、1リットルを1キロとすれば地下水は5万~15万リットル使っていることになります。 石油は農業機械の燃油として利用するほかに、輸入分の輸送にも大量に消費されています」

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 急成長している中国やベトナムなどアジアの養殖業も、すでに行き詰まりを見せているものもある。

ベトナムではブラックタイガーやバナメイエビの養殖が盛んだが、生産量を拡大するために高密度の養殖を行っているため、土壌や水質の汚染、残留抗生物質の問題が生じ、養殖を持続することは不可能だと言われ始めているのだ。

これでは食料危機を救うものにはなり得ない。 だから小松さんは「養殖も天然のサイクルを利用するべきだ」と言う。

いい例がサケの河川での天然ふ化だ。 一般的なふ化放流は、稚魚を約5グラムの大きさにしてから河川に放流するので天然とは言い難いが、カナダやアメリカでは河川床を天然に近い状態に整備して、そこで産卵をさせる河川床産卵の方法がとられている。

自然の環境にできるだけ近づけることで、より持続的な漁業生産が可能になるのである。  「自然のサイクルを利用した生産は生物学や生態学など、高度な知識と技術が必要で、とてもチャレンジングなことです。 しかし、日本も技術は持っているのだから漁業の衰退を防ぐには古い慣習にとらわれてばかりいないで、先を行く外国の手法や知的なアイデアを取り入れていくべき。

ノルウェーやアイスランドでは、沖で獲れた魚を洋上でオークションにかけています。 資源管理をしていれば、獲れた場所や時間などからどれほどの価値があるか見当がつくからです。 資源も漁獲する量も、市場に出すタイミングも情報管理をして、戦略的に売る。 そうしたITの高度化が不可欠です。 水産業は、未来型の産業になり得る可能性を十分に秘めているのです」

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=== 続く ===

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