◇◆ え!! アフリカで米づくり?しかも畑で・・・・ ◇◆
◎ ≪アフリカの稲作指導≫坪井達史 =5/9= ◎
こうして、坪井さんはネリカの技術支援を始めた。 とはいえ、たった1人でのスタートであり、自身もネリカを本格的に栽培するのは初めてのこと。
ネリカには陸稲も水稲もあり、改良がなされて品種は増えている。 その中で、ウガンダの土壌に適した品種はどれか、いつ蒔くのが最も適しているのかなど、栽培技術を模索しながら教えていった。
「教え方にも工夫が必要でした。 ウガンダは陸稲作の未経験者がほとんどで、栽培技術もないため、口で説明するだけでは伝わりません。 幸い気候が安定しているので、時期を考えずに栽培することができます。
そこで、いくつかの畑に少しずつ時期をずらして栽培し、種蒔きから収穫までの流れが一度で見られるようにしました。また、種を蒔く深さは3~4センチを奨励していますが、種蒔きの方法や雑草の処理によって生育状態に差が出ることを、写真を見せて説明します。 そうやって一つひとつ教えていくのです」
こうして研修を受けた農家に、坪井さんは1キロのネリカの種籾を渡している。 もちろん、自分の畑でネリカを栽培してもらうためだが、そのときに行っているのが「倍返しシステム」だ。
「イネのよいところは籾、つまり食べる部分がそのまま種になることです。 研修を終えた参加者に、1キロの種籾を200平方メートルの畑に蒔くように教えます。 そうすれば約50キロの種籾が収穫できます。 これは1ヘクタールの畑で栽培できる量です。 そのなかから利息をつけて2キロの種籾を返してもらうのです」
といっても、坪井さんのもとに返すわけではない。 自分の周囲の農家に渡して、栽培してもらう。そうすることで、技術と栽培面積を同時に広げていくのだという。
「欧米諸国はトウモロコシのハイブリッド種を推奨して高収量によって生産量を増やす援助を行っていますが、トウモロコシは収穫した実を種子にすると遺伝的に分離するので、ハイブリッド種の栽培を継続するためには毎回種子を買わなければいけません。
でも、イネの種籾は劣化しない。日本のコシヒカリなんて60年くらい前に植えられた品種を繰り返し使っているんです。 小規模農家が圧倒的に多いウガンダで我々が普及するのには限界がありますから、その特性はぜひとも生かさねばなりません」
“倍返し”がどこまで行われているかを確認する術はない。
しかし、ウガンダのネリカの作付面積は順調に増えていて、プロジェクトが始まった2004年に8000ヘクタールほどだった耕作面積は、2008年には約5万3000ヘクタールにまで広がり、現在は7万ヘクタールほどと推定される。
「ウガンダに赴任した2004年頃は、ライスがあるレストランは少なかった。でも、いまはほとんどのレストランでライスが食べられますよ」
=== 続く ===
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