食糧危機・食の未来と貧困 =36=

◇◆ 食べ物と日本人の進化 :  馬場悠男 =2/9=   ◇◆

 第1回 農耕以前から私たちは炭水化物をたくさん食べていた=中節= 

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   いっぽう動物性タンパク質は身近にとれるものを食べていたらしい。 海洋の動物は貝や魚といった魚介類からアザラシ・オットセイなどの海獣類まで、陸上動物であればシカ・イノシシなどを捕まえて食料とした。  そのほか、山菜やキノコも食べたし、縄文人はその時々に手に入る山海の資源を上手に利用して暮らしていたそうだ。

「魚や獣がいつも獲れるとは限りませんから、動物性タンパク質だけで生活をするのは難しかったでしょう。 また、人骨の成分から同じ縄文人でも生活している地域によって食べているものがずいぶん違っていたことがわかっています」

これについては東京大学教授の米田穣さんたちが、人骨に含まれる炭素と窒素の安定同位体比から、縄文人がどのような食物からタンパク質を摂っていたか(タンパク質依存率)を遺跡ごとに割り出している。

たとえば、北海道の遺跡ではオットセイやイルカなど海獣類や魚介類へのタンパク質依存率が極めて高いので、植物に含まれるタンパク質の割合が動物に比べて遙かに低いことを考慮しても、タンパク質だけでなく摂取カロリーも動物の肉に多くを依存していたことがわかる。

それ以外の地域では、動物へのタンパク質依存が半分以下なので、摂取カロリーに関しては植物への依存率が圧倒的に高く、肉への依存率は低かった。   一般にはイモや堅果類に大きく依存し、それに加えて、内陸部ではシカやイノシシなどの陸獣、海岸部では魚介類を食べていたらしい。 つまり、北海道以外は決して動物性食品が中心ではなかった。

縄文人の食事は想像以上にバラエティに富んでいた。 そして、この食生活の構成は弥生時代に入っても変わっていないと馬場さんは言う。 なんと、弥生時代といえば大陸から稲作が伝わり、米ばかりを食べるような生活に変化していったのだと思っていたが……。

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   「一般的には、そう思っている人たちが多いようですね。 炭水化物源の多くがイモや堅果類から米になったのは確かです。  だからといって、魚介や肉を食べなくなったわけではなく、地域で得られるものを中心にした食生活を送っていたのは縄文時代と同じです。  しかも、稲作をしていたのは本土だけで、北海道は寒冷で米が作れなかったし、沖縄を含む南西諸島では珊瑚礁の魚介が豊富で、また低湿地の平野が少なかったため、稲作が普及しませんでした。 これらも米田さんたちの研究で判明していることです」

北海道で稲作が行われるようになったのは近代に入ってからだ。 北海道に籾が持ち込まれたのは江戸時代中期とされ、本格的な稲作に成功したのは明治初期。沖縄においても、稲作の痕跡が確認されているのは8世紀頃が最古である。

いずれにせよ、農耕技術が伝わることで食べ物の種類に米が加わっただけで、栄養源という点では縄文も弥生も同じだったのである。

「骨を見ればその人の年齢はもちろん、怪我や病気の有無もわかります。縄文人と弥生人の差はもちろん、それぞれの地域においても寿命や健康状態に大きな違いはありませんでした。 食べるものの構成が変わったからといって病気が増えるなどということはなかったでしょう」

こうした状況は、縄文時代から第二次世界大戦後まで基本的には大きくは変わっていないと馬場さんは言う。

つまり、北海道以外はずっと炭水化物を多く摂ってきても健康状態に差はなかったのだから、人類が炭水化物の摂取に適応していないということはないし、いまさら糖質制限をして農耕文化以前の食事に戻せば健康になるという考え方も間違っていることになる。

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 ・・・・・続く

=== 続く ===

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