食糧危機・食の未来と貧困 =42=

◇◆ 食べ物と日本人の進化 :  馬場悠男 =8/9=   ◇◆

 第三回 「病気を生む顔」になる食べ物とは =前節= 

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食べ物による顔の変化が病気を生む。 なんとも恐ろしい話だが、馬場さんによると明治以降も顔や身長を含めた体つきは、江戸時代とほとんど同じで、がらりと変わるのは昭和、それも第二次世界大戦後だという。

「戦後になってまず、急速に身長が伸びました」

1950年に成人男性160.3cm、成人女性148.9cmだった平均身長は、2010年には男性171.5cm、女性158.3cmとなっている。 それまではゆるやかに変化していた身長が、たった60年で約10cmも伸びてしまったのだ。 その理由として挙げられるのは、充分なカロリーと動物性タンパク質の摂取によるものである。

「明治に入って仏教思想の観点から表向きは禁止されていた肉食が解禁となり、西洋食が普及します。 とはいえ、魚を食べていたのが少し肉に変わった程度。 それも上流階級の話で、庶民の食事はそれほど変わっていません。昭和20年生まれの私にとっても、動物性タンパク質はご馳走でしたよ。 魚肉ソーセージだってうれしかったものです。それが日常食となったのはごく最近のことです」

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戦後の経済発展にともなって食料が豊かになり、また政府も国民も栄養に対する知識を深めるようになって食生活が急速に変化していったのだ。

まず昭和20年代、戦争の影響もあって日本では深刻なカロリー不足が問題とされた。 成人の1日の摂取カロリーの目安は2000kcal前後と言われているが昭和21年は1448kcalであり、国は食料難から脱することに努めた。

20年代後半になって摂取カロリーが2000kcalを超え、食料が安定してくると、良質なタンパク質やビタミンなどの不足が騒がれ始める。 昭和33年には当時の厚生省が、タンパク質、カルシウム、カロチン(ビタミンA)、ビタミンC、糖質、脂肪の6つの栄養素を含む「6つの基礎食品」を普及させる運動を開始。 第一製薬の商品CMで「タンパク質が足りないよ~」というフレーズが流行し、昭和39年の東京オリンピックで活躍する外国人選手の体格を目の当たりにして、タンパク質摂取の重要性が説かれた。

「昭和40年代半ばには、ケンタッキーフライドチキンやマクドナルドなどのファストフードが日本へ上陸しました。 普及にともなって懸念されるようになったのがカロリー過剰です。 また、食品が多様化して穀類の摂取が減ったことによる食物繊維の不足が話題になりました」 実際、昭和25年に20g以上摂取していた食物繊維は、昭和末期になると15gを切っている。

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こうしたさまざまな課題に直面しながらも、カロリーと動物性タンパク質を充分に摂ることで日本人の身長は急速に伸びた。 ただし、それは遺伝的な変化を伴う進化ではなく、食生活という環境に対する一時的変化にすぎず、栄養状態が悪くなれば、身長は再び低くなると馬場さんは言う。 いずれにせよ、体格が良くなったのは悪いことではない。

「戦後の食生活の変化がもたらした問題は、ファストフードのハンバーガーやフライドポテトに代表されるような、やわらかい食べ物が増えたことです。 それが原因で、昭和50年代頃から歯並びの悪い子どもが増えてきているんです」

料理技術が発達し、かたい食材は潰したりするなどの加工がなされるようになった。また食料がいつでも簡単に手に入るようになり、冷えてかたくなった米を食べるようなこともない。 子どもにはかたいもの、大きいものは食べにくいからと、やわらかく調理して一口サイズに切って与える。 こうした食事を食べ続けていることで顎が発達せず、細くなって歯並びが悪くなってしまっているというのだ。

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=== 続く ===

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