現代の探検家《小林快次》 =10=

◇◆ Great and Grand Japanese_Explorer   ◇◆

 世界中を飛び回り、恐竜の姿を求める / 小林快次 =10= 

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◇◆ 第五回 恐竜を研究する意味・・・・ =1/3= ◇◆

 いったい何のために恐竜を探し出し、研究をしているのか。 恐竜研究は、どのような形で人のためになっているのか。 どんな人たちのためになっているのか。 そもそも人のためになっているのか・・・。

私はよく自問する。

そのきっかけとなっているのは、父からもらったある教訓だ。 「自己満足の研究になっていないか。 常に人のためになっているかを考えろ」。 これは、私の恐竜研究の後押しになっている。 たまに実家に帰ると、生真面目な性格で、曲がったことの嫌いな父は、いつもこの言葉を発する。 恐竜の研究は話題性があって、華やかかもしれない。 でもそれは、人のためにならなければ意味がないと。

もちろん、その答えは用意しているつもりだった。 「恐竜は子どもたちに夢を与える」「恐竜はサイエンスの楽しさを伝える」「恐竜研究は進化メカニズムの解明につながる」などなど・・・。 父はいまいち納得していなかった。

入り口はアンモナイトの化石

初めて化石採集に行ったのは、中学生の時だ。 理科クラブの活動の一環で、担任の吉澤先生が連れて行ってくれた。 もともと理科は好きだったので、そのクラブに所属したのだ。 私は福井県出身で、高校卒業まで福井で暮らしたが、吉澤先生が「福井県では、アンモナイトや三葉虫の化石が採れます」と教えてくれた。

化石に興味がなかった当時は、「へ〜」というくらいにしか思っていなかった。

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 初めてアンモナイトの化石を採りに行った日のことは、今でも鮮明に覚えている。 周りの人たちは化石をたくさん見つけているのに、自分だけが見つけられない。 悔しかった。 帰り道、吉澤先生に「もう一度連れて行ってください」とお願いした。

後日、同じ発掘地に戻り、必死に探した。

ハンマーでいくら石を割っても、化石が出てこない。 見つからない。 腕に疲れを感じ、自分には才能がないと思いはじめた。 その時、「小林君、割れば割るほど、見つかる可能性は上がりますよ」と、吉澤先生が声をかけてくれた。  なるほど、と思った。 すると、ハンマーを振る力が湧いてきた。

これが、私が化石の世界に足を踏み入れた瞬間だった。 この瞬間の延長線上に、現在の自分があるように思う。あの時諦めていたら、もう一度連れて行ってくださいとお願いしなかったら、今の自分はいなかっただろう。  もしあの時、周りの人たちと同じくらいアンモナイトの化石を見つけられていたら、「こんなもんか」と興味も湧かなかったかもしれない。

恐竜は、老若男女、国籍も問わず、人気がある。 「興味がない」という人はたくさんいるだろうが、「恐竜が大嫌い」という人に出会ったことはない。 そして、たくさんの子どもたちが恐竜に興味をもつ。 「子どもの時、必ず一度は通る道」と言う人もいる。

サイエンスは面白い。 恐竜に限らず面白い。

ある疑問をもつ。 その疑問にいかにアプローチするか作戦を立てて、データを集めていく。 すると、自分なりの仮説が生まれていき、その疑問が明らかになる。 自分の手でだ。これが快感なのである。  一方で、サイエンスにあまり興味のない人々もいる。 それは、サイエンスというものに、十分に足を踏み入れていないからだと思う。 興味のない人々にとってサイエンスとは、「難しい理論や公式であふれ、理解困難なもの」なのだろう。

しかし、そうではないと私は思う。 いったんサイエンスの入り口に足を踏み入れ、自らの手で謎を解く快感を知ると、その面白さのとりこになり、抜け出すことができなくなってくる。 問題を解決したかと思うと、新しい問題が現れる。 興味や探究心は尽きることなく、ぐいぐいとサイエンスという重力に引き込まれていく。

その入り口の一つに「恐竜」があると思う。 恐竜を通して、サイエンスの楽しさや重要性にたどり着いてもらえることを望んでいる。

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=== 続く ===

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