現代の探検家《小林快次》 =19=

◇◆ Great and Grand Japanese_Explorer   ◇◆

 世界中を飛び回り、恐竜の姿を求める / 小林快次 =19= 

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◇◆ 第八回 アラスカは待つていた、美しい花と足跡化石 =1/3= ◇◆

 米国アラスカ州に初めて調査に入ったのは、2007年の夏。州中部にある、マッキンリー山がそびえ立つデナリ国立公園だった。 当初は「1年で終わる調査」と思っていたが、それ以来毎年調査に入り、いつの間にか今年で9年目となる。

この間、デナリ国立公園に加え、ランゲル=セントエライアス国立公園やユーコン=チャーリー・リバーズ国立保護区も調査で訪れた。 今となっては、アラスカが私の調査の中心の1つになっているのは間違いない。どれも記憶に残る調査だ。

今年の調査は、恒例のデナリ国立公園。 そして、まだ恐竜調査が行われたことのないスロープ・マウンテンに狙いを定めている。 スロープ・マウンテンは、州北部にある標高1200メートルと低くなだらかな山だ。

アラスカを縦断するダルトン・ハイウエー沿いにあり、北極圏の扉国立公園・保護区(Gates of the Arctic National Park and Preserve)と、北極圏国立野生生物保護区(Arctic National Wildlife Refuge)の間を抜けたところにある。 ここはもう、北極圏の中だ。

観光客と同じバスで調査地へ

2015年7月、私はデナリ国立公園に再び戻ってきた。

この公園にやってくると、まだ肌寒いにもかかわらず、「夏がやってきたな」と思う。 今年は許可の関係で、実際の調査は日帰りでたったの2日間。 しかも、観光客と一緒にバスで調査地に入ることになった。 いつもはヘリコプターで調査に入るが、バスに乗るのは初めて。 なかなか貴重な体験である。

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 「ここに並んでていいのかな?」

私と一緒に調査に入る、ペロー自然科学博物館のアントニー・フィオリロ博士(通称トニー)は、そう言って観光客の後ろに並ぶ。 みんな軽装なのに比べ、私たちは明らかにバックカントリー(へき地) に入るべく、重装備だ。 日帰りではあるが、調査に備え、それなりの装備を整えた。

ハンマー、フィールドノート、GPSユニット、ブラントンコンパス(方位磁針、水準器、鏡、照尺などを組み合わせた小型の測量測角器具で、クリノメーター機能も備える)、ルーペ、筆記用具といった調査用具はもちろんのこと、雨具、ランチ、水筒、浄水器、予備のジャケットもバックパックに詰め込んだ。

デナリ国立公園では恐竜の足跡化石が多産しているので、型を採るために数キロのシリコンを持っていく。 そして、忘れてはいけないのが、クマよけスプレーだ。

これらをすべて詰め込むと、バックパックはかなり重くなる。 そのため、私はトレッキングポールを使って歩く。 トニーは「トレッキングポールを使うなんて情けない」などと冗談めかして言うことがあるが、確かに「情けない」理由があるのだ。

以前、トレッキングポールなしで調査を行った際、何度か足を痛めてしまった。 中足骨頭部(足の裏)と膝のじん帯を痛めている。 さらに、これまでに2度、肋骨も骨折しているため、足への負担軽減を第1に考え、トレッキングポールを使うことにしたのだ。

「タトラー・クリークまで」と運転手に降りる場所を伝え、私たちはバスに乗り込んだ。

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=== 続く ===

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