現代の探検家《田邊優貴子》 =26=

◇◆ Great and Grand Japanese_Explorer   ◇◆

“National Geographic Magazine”より

 南極の凍った湖に潜って、原始地球の生態系を追う =田邊優貴子= 

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◇◆ 第10回 雪に閉ざされたバオヤーズ半島 =2/3= ◇◆

 驚いている間にヘリコプターから荷物が下ろされ、もっと離れて伏せろという合図があった。 強いダウンウォッシュ(吹き降ろしの風)が来て、ヘリコプターは再度飛び上がり轟音をたてて去って行った。急に静けさがおとずれ、キャンプ地のほうから2つの人影がこちらに近づいてくるのが見えた。

2人はスペイン人のフィールドアシスタントだった。 スノーシューを履いて橇を引っ張ってきたのがイニャキ、スキーを履いて橇を引っ張ってきたのがクロ。2人とも普段はスペインとフランスの国境にあるピレネー山脈で山岳ガイドをしているとのことだった。彼らの橇で荷物を運んでもらいながら、私たちは後ろをついて歩いた。湿って重い雪に膝下まで埋まる中を歩くこと500m、キャンプ地に到着した。

イモムシ形の小さな建物(正式名称は“メロンハット”)は、一つが食堂小屋、もう一つが研究用小屋。その隣にテントが9張り組み立てられていた。私たちの居住テントだ。剥き出しになった周囲の地面を何気なく見ていると、私にとって驚きの光景が目に飛び込んできた。

「ナンキョクコメススキ!!」

そう、足元にはその名の植物が生い茂っていたのだ。南極と言えば草も木もないイメージだろう。確かに木はないのだが、実は高等植物(根、茎、葉に分かれた「高等」な植物)が暮らしている。 “ナンキョクコメススキ”と“ナンキョクミドリナデシコ”という名の高等植物だ。この2種だけしか生えていない。しかも南極半島エリアに分布しているだけで、大陸性南極には存在しないのだ。

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 この2つの高等植物が南極半島に生育していることはもちろん知っていたが、この目で直接見るのは初めてだったうえに、こんなに簡単にキャンプ地の地面で見つけられるとは思ってもいなかった。もっとひっそりとごくわずかに生えていて、知る人ぞ知るポイントへ行かなければ見ることはできないものと勝手に想像していたのだ。光合成をする生き物と言えば、シアノバクテリア、藻類、地衣類、コケだけの大陸性南極しか知らない私にとって、南極に来たのに高等植物が生い茂っている足元の光景はあまりにも衝撃的だったのである。

他の研究者たちはちょうど調査に出かける直前だった。3人組の湖沼学者マノロ(本名Manuel Toro)、微生物学者のアントニオとアルベルト。2人組の地形学者ミゲルと環境学者カイアタナ。全員スペイン人で、その中でカイアタナだけが女性だった。アンターセー湖に続き、またも女性は2人となった。

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・・・・・ 南極点到達競争 =壮絶な英国隊・スコットの遭難= ・・・・・・・

=== 続く ===

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