現代の探検家《田邊優貴子》 =30=

◇◆ Great and Grand Japanese_Explorer   ◇◆

“National Geographic Magazine”より

 南極の凍った湖に潜って、原始地球の生態系を追う =田邊優貴子= 

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◇◆ 第12回 とにかく湖まで行ってみよう =1/3= ◇◆

  ここ南極リビングストン島のキャンプ地では、毎朝ヨーグルトが出る。 いや、望めばいつだってヨーグルトが食べられる。 スペイン隊が用意した食料には大量のヨーグルトがあったのだ。 無類のヨーグルト好きの私にとって、このバイヤーズ半島キャンプは天国だ。

朝食でシメのヨーグルトを食べ終えた私は、スペイン産の生ハム“ハモン セラーノ”と“イベリコ ベジョータ”を数枚重ねた贅沢サンドイッチをせっせと作り、カモミールティーの入ったテルモス(断熱水筒)とチョコレートとともにザックに入れた。 少し笑みを浮かべながら。  そう、ヨーグルトだけではない、私は生ハム好きなのだ。 しかも日本の生ハムではなくスペインのしっかり熟成されガッチリと食べ応えのある生ハムが大好物である。

バイヤーズ湖沼生態系調査の2日目。 今日は実際に湖を偵察しに行く。

私は豪華サンドイッチの入ったザックに雪かきシャベルを取り付け、ポケットには地図、GPSのスイッチはオン、スノーシューを履いて、午前10時にキャンプ地を出発した。 昨日の午後の日差しでより一層解けつつあるのだろう、重い湿った雪を漕ぐように山を登っていく。  天気はあいにくのどんより曇り空。 地面と空の境界線がわからないくらいぼやけた白い景色が広がっている。

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  バイヤーズ半島のほとんどの湖は、キャンプ地の北側に広がる山の上にある。 今日目指すのは4つの湖。 リムノポーラー湖(Limnopolar)、チェスターコーン湖(Chester Cone)、ミッジ湖(Midge)、アサ湖(Asa)。 この雪の多さでは、キャンプ地から遠いところにある湖の調査をするのは難しいだろうと判断した私たちは、キャンプ地から比較的近いこれらの湖をまずは偵察しに行くことにした。

なぜこの4つを選んだのかというと、比較的水深のある湖だったからだ。 ここで言う“比較的水深のある”というのは、水深2mくらいを意味している。

バイヤーズ半島の湖はどれも最大水深10m以下の浅くて小さなサイズばかりである。 これは昭和基地周辺と似たような状況だ。

昭和基地周辺には最大水深10mよりも深い湖がいくつかあるが、それはかなりレアな存在で、ほとんどの湖は水深10mより浅い。 そして、昭和もバイヤーズも、冬になると湖氷が1〜1.5mくらいの厚さになるので、水深約2mよりも深い湖でなければ湖底に生態系が十分に定着し発達できないのだ。

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=== 続く ===

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