現代の探検家《田邊優貴子》 =33=

◇◆ Great and Grand Japanese_Explorer   ◇◆

“National Geographic Magazine”より

 南極の凍った湖に潜って、原始地球の生態系を追う =田邊優貴子= 

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◇◆ 第13回 エビが泳ぐ湖、ここはトロピカル南極 =1/3= ◇◆

 どうやらここ南極リビングストン島は、基本的に天気が悪いようだ。 滅多に青空が出ることはなく、風が吹いて、どんより低い雲が立ちこめ、しょっちゅう雨が降る。 おかげで湿度が高くジメジメしている。 青空が多くてものすごく乾燥している大陸南極(の夏)とは大違いだった。 南緯62度、暴風圏の真っ只中に位置するのだから仕方がない。 ザーーッとどしゃぶりの雨が降ると、なんだか私は熱帯に来ているんじゃないかという気持ちになってしまう。

バイヤーズ半島に到着して5日目。 ついに湖に張った氷に穴を開けに行ける日がやってきた。

今にも雨が降りそうな薄暗い天気の中、ミッジ湖のおよそ真ん中までたどり着いた私たちは、湖面に積もる雪をシャベルで取り除き、モーター式のアイスドリルを橇から取り出した。 私と共同研究者の工藤さんの二人で両サイドのアームをつかみ、スイッチを押す。

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ガガガガガガガーーー

みるみるうちに氷が削れていく。 時々ドリルを穴から上げて、氷の削り屑を放出する。当初の想定通り、このモータードリルだけでは氷を貫通させられなかったので、ハンドドリルとの合わせ技で調査用の穴を開けていく。

作業を始めてから40分。 なんとかエクマンバージ採泥器(湖底サンプリング用の器材)を水中に降ろせる45cm四方くらいの穴が完成した。 大陸南極のアンターセー湖のような固い氷ではないので、ドリルはスムーズに氷を削ってくれるし、氷の厚さも1.25mと、アンターセー湖の厚さ4mの氷に穴を開ける労力とは全く比べ物にならなかった。

ただこの日は、チェスターコーン湖、リムノポーラー湖でも同じように穴開け作業をしなければならなかった。 何せ、穴を開けられるのは今日1日だけ。

キャンプにたった1個しかないアイスドリルを、マノロ達のグループに融通してもらい、今日だけ使えるようにしてもらったのだ。 今日を逃せばあと5日は使えないので、とにかくひたすら穴開けに没頭し、すべての湖に調査用の穴を完成させることにした。 途中、幸いにもわずかに青空が見えたことが気持ちを明るくしてくれた。 やはり天気がずっと陰鬱としているとなんとなく気持ちも暗くなってしまうのだ。

翌日は信じられないような青空が広がっていた。 風は強いが青空というだけでスキップでもしてしまいそうな気分。無事にすべての穴を開け終えたので、いよいよ水中調査だ。 いつものようにスノーシューを履いて調査機材を担ぎ、一番遠いミッジ湖まで歩いた。

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=== 続く ===

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