現代の探検家《田邊優貴子》 =34=

◇◆ Great and Grand Japanese_Explorer   ◇◆

“National Geographic Magazine”より

 南極の凍った湖に潜って、原始地球の生態系を追う =田邊優貴子= 

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◇◆ 第13回 エビが泳ぐ湖、ここはトロピカル南極 =2/3= ◇◆

 今回のバイヤーズ半島調査ではモロモロの理由で(機材の輸送やスペイン極地委員会への許可取得とか)私たちが実際に潜ることができなかったので、かわりに水中カメラ潜入撮影大作戦の決行を企んでいた。 もちろん、多項目水質計で水深ごとの水質を測定したり、光スペクトル計で水中の光環境を測定したりと、いつものように水中環境データも得るのだが、やはり視覚的な情報も欲しかった。 なんとかして湖の中の様子を見てみたかったのだ。

そんなわけで私たちは秘密兵器を投入することにした。 と大げさに言ったが、単なる『GoPro+ボートフック』という、Amazonで購入ボタンをクリックすればわずか数万円でそろう道具立てである。 ちなみに、知っている人も多いとは思うが、GoPro(型式:HERO4)はタバコ箱ほどのサイズの小型ビデオカメラのことで、画質4Kで広角のムービーと写真を撮影でき、標準装備の水中ハウジングに入れると水深40mまで使用できる。 また、ボートフックというのは、ボートをひっかけて引っ張るために使用するポールのこと。 今回持ち込んだのはグラスファイバー製の軽量なもので、1本1.2m長だがジョイントしてどんどん長くできるので、一家に一台あると非常に便利なシロモノだ。

カメラをボートフックに取り付け、湖面に開けた穴からゆっくりと水中に降ろす。 湖底に到達したのを手の感触で確かめ、そこからちょっとだけ上に上げたところで止めて、しばらく撮影した。 撮れた映像を確認するのはキャンプに戻ってからのお楽しみだ。

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  ミッジ湖での観測と撮影を終えると次はチェスターコーン湖。同じように水中カメラ撮影をしようとしたときのことだった。 水面にオレンジ色の何ものかが浮いている。

「ん?!なんだ?!」
「エビだ!!」

なんと体長1.5~2cmほどの小さなエビが泳いでいたのだ。 正式名称はホウネンエビ。 南極の湖で実際にエビが泳いでいるところを見るなんて衝撃的。記録に残さなければ。 咄嗟に、持っていた防水コンパクトデジカメを水中に入れ、シャッターを押した。 ブレブレの画像であったが、証拠を残せて私は満足だった。

興奮したのもつかの間、湖水を採集してまた驚いた。 水中に沈めたボトルを引き上げると、そこには大量の真っ赤なカイアシ類(動物プランクトンの一種で、体長は2~3mm)がぴょんぴょんと泳いでいたのである。

なんてことだ!! こんなにもいるなんて! と私たちはいちいちワーワー言いながら調査を進め、最後のリムノポーラー湖でも同じような作業をしてキャンプ地へと帰っていった。

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=== 続く ===

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