現代の探検家《田邊優貴子》 =48=

◇◆ Great and Grand Japanese_Explorer   ◇◆

“National Geographic Magazine”より

 南極の凍った湖に潜って、原始地球の生態系を追う =田邊優貴子= 

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◇◆ 第20回 「氷の海で魚釣り」  ◇◆

1月上旬、昭和基地に2泊しました。 例年ならば、南極滞在中は野外調査に出ずっぱりで、途中で昭和基地に入ることなどない私ですが、今回こうやって2泊したのには理由があります。

それは・・・魚釣りをするためです。
あ、でも勘違いしないでくださいね。  釣り=遊びではありません。

前回で紹介した同じパーティーのメンバーである秋吉英雄さんは、魚類など海洋生物の内臓の形態から進化を研究している人です。 そのため、昭和基地がある東オングル島周辺の海から魚類および無脊椎動物を採集することを目的に、短期間ですが昭和基地に滞在したわけです。

南極での釣りは、単に海に出て釣り糸を垂らせばよいという簡単なものではありません。

何よりも大変なのは、まず海氷に穴をあけなければならないこと。さらに釣りだけならまだしも、無脊椎動物を採集するためにはトラップを仕掛ける必要があります。

ワカサギ釣りのように簡単に氷に穴をあけられると思ったら大間違い。この夏の時期、東オングル島周辺の海氷の厚さは約3m。 場所によっては4m以上もあり、さらにその上に厚さ1mほどの雪が積もっている状況です。

一般住宅の2階以上の高さを想像してみてください。そこで、アイスドリルという機械を使って、この分厚い氷に直径25cmの穴をあける作業がかなり大変になってきます。

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 4年前にも同じように分厚い海氷に穴をあけて、依頼されていた魚類サンプリングの作業をしたことがあります(湖沼調査の際にももちろん同じ方法で湖氷に穴をあけますが、氷厚が海氷ほどではありません)。
何人かで釣りをしようと思えば、人数の1.5倍以上の穴をあけなければなりません。さらには直径35cmの網かご型トラップを仕掛けようと思えば、穴を4個以上連結させてくり抜かねばなりません。

それはそれは、とても骨の折れる作業です。

今回の釣りポイントは東オングル島の西側にある「西の浦」という湾。半日かけてアイスドリルでの穴あけ作業をし、無脊椎動物を採集するためのトラップを仕掛け、魚釣り大作戦が始まりました。

初日の釣り大会に私は参加できませんでしたが、6人がかりで収穫は3匹だったとのことでした。

翌日、満を持して私も釣り大会に参加。気温はマイナス5℃、しかも南極大陸氷床から吹き下ろすカタバ風(斜面を滑降してくる風)が強く、寒い中での釣りとなりました。

この寒い中で魚を釣り上げてそのままにすると、エラが凍ってすぐに死んでしまい、試料として使えなくなってしまいますので、かなり注意が必要です。

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 1日目は3匹しか釣れなかったのですが、この日、そんな寒さも忘れるほどに豊漁となりました!
5~6人がかりで、なんと16匹もの魚を釣り上げることができたのです。

ん?私の戦績?
聞いて驚くなかれ、ドドーンと小さめの魚が1匹ほど・・・。

ええ、ホントに驚きのたったの1匹でした・・・が、少し寂しいものの、なんとか面目は保たれたような気がしました。みな最低1匹は釣り上げている中、もしも収穫ゼロだったら私はしばらく落ち込んで、南極で引きこもりになっていたに違いありません。

この周辺の魚はほとんどがノトセニア亜目の仲間。
今回2日間で釣れたのは、ショウワギス、ボウズハゲギス、ウロコギス、キバゴチ、謎のショウワギスもどきの魚でした。
仕掛けたトラップには、ヒモムシとクモヒトデが引っかかっていました。

それにしても南極海の水温は年間とおして、なんとマイナス1.8℃。
いやはや、彼らがそんな氷点下の冷たい水温でも生きていけるなんて、本当に驚きですよね。

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=== 続く ===

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