現代の探検家《田邊優貴子》 =53=

◇◆ Great and Grand Japanese_Explorer   ◇◆

“National Geographic Magazine”より

 南極の凍った湖に潜って、原始地球の生態系を追う =田邊優貴子= 

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◇◆ 第23回 「南極の湖に、いざ潜入!」 =2/2= ◇◆

 わずか水深10m。 ひとたび水中に入れば、こんなにも近い距離に、こんなにも信じられない世界が存在していることに私は心から感動を覚えたのでした。 なまず池には、湖底堆積物内に長さ2mの地温計(5個の温度ロガーが組み込まれている)を埋設しました。 長池の水中ビデオシステムと同様、2年後に回収する計画です。 また、アクリル製のチューブを用いて、湖底植物群集もいくつか採取しました。 これらの試料は帰国後にさまざまな分析・測定をする予定です。

長池となまず池の潜水調査を実施した日、昼間でも気温はそれぞれマイナス4℃とマイナス6℃でしたが、水温はどちらの湖も約3℃。 水中のほうが温かい世界というわけです。 と言ってもまぁ、3℃ですが・・・。

気温が氷点下になると、さまざまな問題が出てくるもので、今回は潜水しながら映像をおさめるべく持ち込んだ水中ビデオカメラが作動しなくなってしまいました。 2年前と全く同じものを使用したのですが、前回の潜水調査日は気温がプラスだったので、何の問題もなく作動していたのです。

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 おかげで今回、作業風景や水中の様子の映像は撮影できず、一眼レフでの写真撮影だけとなってしまいました。 もちろん動かなくなるのは機械だけではありません。 寒さに強いことでおなじみの私ですが(え?!知らない?)、さすがに1時間も潜っていると指先はかじかんで動かなくなってきます。 陸に上がってからも、手袋を自力で脱げないほど手に力が入らない状態になってしまいます。

さらに、これはたいしたことではありませんが、湖から上がって潜水用のフードを脱いだ瞬間に髪の毛はパリッパリに凍ります。
これはきっと、世に言うところの「南極あるある」ですね。 もし私が湖から上がった直後に、髪の毛が束になって四方八方を向いていたとしても、それは寝癖でもお洒落を気取ったヘアスタイルでもなんでもなく、ただ凍っているだけなので、そっとしておいてあげてください。

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 さて、これで今回の南極での野外調査はすべて終了。 早いもので、野外入りしてから52日間が過ぎていました。 このところ、日々急激に気温が低下し、1週間前に降り積もった雪ももはや融けなくなってしまいました。 小屋の周りは白い風景が広がっています。

今日が、このSea Side Terraceきざはし最後の夜。 名残惜しいですが、明日にはここを撤収して昭和基地へ戻ります。

 === 続く ===%e5%8d%97%e6%a5%b5%e9%80%9a%e4%bf%a1%ef%bd%b035

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