現代の探検家《田邊優貴子》 =56=

◇◆ Great and Grand Japanese_Explorer   ◇◆

“National Geographic Magazine”より

 南極の凍った湖に潜って、原始地球の生態系を追う =田邊優貴子= 

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◇◆ 第25節 特別編「北緯79度なう!」 =2/4= ◇◆

 さて、私がここにきたのは、植物の調査をするため。

ツンドラの植生は、氷河が後退して出来た裸地に植物が侵入・定着して、時間をかけて徐々に発達してきました。 つまり、海側から氷河のある山側に向かって、氷の下から露出した時間の順になっています。 氷河に近くなればなるほど最近になって露出した地点というわけです。 おかげで、氷河の近くに生えている植物はかなりまばらで数少なく、海側に近くなるとフカフカの豊かな植生で埋め尽くされています。

フカフカの植生発達帯には様々な種類の植物がひしめき合っているのですが、氷河近くのまばらな植物たちを観察してみると、ある決まった種ばかりが生えていることが分かります。 そう、彼らはまだ見ぬ土地へと生息範囲を拡大する能力に長けたパイオニアなのです。このパイオニアたちがいち早く入り込んで定着し、徐々に土壌と栄養が蓄積されていって他の種も生育できるような環境に変遷していくのです。

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 特に目立つパイオニアは、ムラサキユキノシタ(学名Saxifraga oppositifolia)という地面に這うように紫の花を咲かせる植物。 次に目立つのが、ムラサキユキノシタほどではありませんが、キョクチヤナギ(学名Salix polaris)。真ん丸でツヤツヤ緑色の葉は直径5mm~1cm、背丈も数mm~1.5cm。これが本当にヤナギ?!木の仲間?!と信じられないほどとても小さいのですが、スヴァールバルのツンドラ生態系の中で一番ハバをきかせている優占種です。

一方、これらに比べてパイオニアにはなれず、植生が発達したエリアで数多く生えている植物の中で、今回調査対象にしたのがArctic Mouse-ear(恐らく和名はつけられていませんが、和訳するとホッキョクミミナグサ?とでも言いましょうか。学名Cerastium arcticum)。ハート形の花びらが5枚並んだ真っ白な花が特徴的。そしてもう一つはタカネマンテマ(もしくはチョウチンマンテマ。学名Silene uralensis)。薄紫の提灯のように膨らんだ萼(がく)、その先端に取って付けたようにポンッと花が咲く、背丈が5cmほどのとってもキュートな植物です。

それにしても、なぜパイオニアの植物はパイオニアになれるのか? これが今回の調査の一番の目的です。
そのために、
◎ 植生の発達していないエリアと発達しているエリアでの環境の違い(温度、湿度、栄養、土壌など)
◎ それぞれのエリアで、植物にとって成長の基礎となる光合成がパイオニア種とそうでない種とでどのように異なるのか
を調べ、環境データと植物の光合成との関係から、種による光合成の違いを導く環境要因を見つけ、パイオニアになれるメカニズムを明らかにしたいと考えています。

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  === 続く ===

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