民族のソウル・フード探訪 =035=

◇◆ 世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅   ◇◆

【“NATIONA GEOGRAPHIC/日本語版(文=中川明紀・編集者)”に追記補講】

★ ハイジで見た憧れのチーズ料理 =2/3 = ★

スイス料理ー4

 寺町の中にハーブに囲まれたスイスの山小屋が現れるという不思議な光景。そんなスイスカフェ「シャレー スイス ミニ」で休憩すると長距離を歩いてきた疲れは吹き飛び、心身の隅々まで癒された。以来、私は密かにこの高台を東京のアルプスと呼んでいるのだ。

そしてまた日暮里界隈をふらふらしているうちに迷ってしまったのだった。坂道を上ってようやくカフェにたどり着くと、昔と変わりないログハウスの入り口でスイス人のパッシュ・デニーさんが出迎えてくれた。来日20年以上というデニーさんは、1998年からこのカフェを営んでいる。さっそく、ハイジの食べ物について尋ねると、デニーさんはすぐにピンときたようで、こう教えてくれた。

「ラクレットですね」

 フランス語で「削る」という意味の「ラクレ」に由来しているんですよ、とデニーさん。「チーズの断面を温めて溶けた部分を削り落とし、食材にからめて食べる料理です。パンよりジャガイモの方が一般的で、生ハムなどのときもある。スイスでは全国どこでも日常的に食べられていますよ」

国土の4割が海抜1300mを超える山岳地帯であるスイスは、古くから放牧を中心とした山岳農業が中心で、チーズの生産も古代ローマ時代にはすでに行われていた。スイス南西部のヴァレー州を発祥の地とするラクレットは、山岳地帯で生活するハイジのような牧童たちが焚き火のそばに石を置いて表面のチーズをとかして食べたのがはじまりという、スイス人にとってごく身近な家庭料理なのだ。

「昔はハイジのように暖炉などであぶっていたけれど、今は専用のラクレットグリルがあります。2人用や6人用、パーティー用など大きさや形もさまざまで、スイスの8割以上の家にはあるんじゃないかな」と、デニーさんは6人用グリルに電源を入れて、カットしたチーズを金属製のヘラに乗せる。

「ラクレットチーズはこの料理専用に生産されているチーズです。でも作っている場所によって味は違います。牧草の種類で乳製品の味は変わりますからね。だから、スイスには乳製品を専門に置く店があるけど、みんなお気に入りの店を持っているんです。日本には少ししか輸入されていないから、スイス人は美味しいラクレットチーズを見つけるのにとても苦労しますね」

スイス料理ー5

スイス料理・フランス語圏のレシピ

  • パペ・ヴォードワ(Papet vaudois):ネギとジャガイモで作る料理であり、ヴォール州が地元である(そのため「ヴォードワ」という)。ソスィス・オ・シェ(Ssaucisse au chou’、キャベツソーセージ)と共に供される。
  • Carac:チョコレートで作るスイスの菓子。
  • フォンデュ:最も有名と思われるスイス料理。溶かしたチーズで作る。一口大のパンやジャガイモを溶かしたチーズに浸して食べる。
  • メレンゲ:グリュイエール地方の名物で、ダブルクリームと一緒に食べる。
  • ラクレット:熱したチーズをジャガイモにかけ、小キュウリ、タマネギのピクルス等を添えて供される。

スイス料理・ドイツ語圏のレシピ

  • アルプラーマグロネン(Älplermagronen、アルペンの牧夫のマカロニ):アルペンの小屋で牧夫が手元にある質素な食材、マカロニ、ジャガイモ、タマネギ、ベーコン細切れ、溶かしたチーズで作った質素な一品料理。伝統的に、野菜やサラダの替わりにアップルソースを添えて供される。
  • ツーリッヒャー・ゲシュネッツェルテス(Zürcher Geschnetzeltes、チューリッヒ風薄切り肉):この料理はレシュティを添えて供される。
  • エメンタール・アプフェル・レシュティ:日常の食材を使い簡単に調理できるため、大変人気がある料理である。このレシピは、エメンタールチーズの原産で有名なベルン州エメンタール(エメン渓谷)で考案された。
  • Fotzel:この料理の名前の由来は不詳である。Fotzelの意味は引き裂いた紙片であるが、バーゼルの方言で不審人物を意味する。固くなったパンを使うことができるため、パンを捨てない習慣の主婦に最適のレシピである。
  • バーヒャーミューズリーBirchermüesli):オーガニック、自然食品の先駆者である医師マクシミリヤン(1867-1939)が発明した。
  • Riz Casimir:カレーソースのライスと豚挽き肉と、パイナップル、バナナ等のトロピカルフルーツ、サクランボ、時に干しブドウを添えた料理。1952年に最初にモーベンピック ホテル&リゾートの国際チェーンにより供された。
  • レシュティ:ハッシュブラウンに似た、この簡単な料理は、伝統的にドイツ語圏スイスのお気に入りとされている。スイスのドイツ語圏とフランス語圏の境界に仮想的境界を「レシュティ溝」と呼ぶが、フランス語圏でも食べられている。
  • Tirggel:チューリッヒの伝統的なクリスマスビスケット。 小麦粉と蜂蜜で作る、薄く、固く、甘い菓子である。

スイス料理ー6

 === 続く ===

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