民族のソウル・フード探訪 =036=

◇◆ 世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅   ◇◆

【“NATIONA GEOGRAPHIC/日本語版(文=中川明紀・編集者)”に追記補講】

★ ハイジで見た憧れのチーズ料理 =3/3 = ★ 

スイス料理ー7

   デニーさんの話を聞いているうちにラクレットチーズが溶けてきたようだ。  チーズの芳醇な香りが辺りを漂いはじめる。 「チーズの溶け具合は目と耳で確認して。 グツグツと音を立てて、表面にツブツブが出るくらい溶けた時が一番美味しいから」。

香りに誘われてフライングしそうになる私をデニスさんの言葉が抑える。 スイスの子どもたちもそんな風に親に言われながら、チーズが溶けるのを待っているのだとデニーさんは笑う。

「さあ、食べ頃だ」とデニーさんが茹でたジャガイモにトロトロのチーズをヘラから削るように落とし、ペッパーなどが入った専用スパイスをふりかけた。 これで出来上がり。 アニメの中同様、非常にシンプルだ。

熱々のチーズは、クセはそれほどないものの深みがある。 そして、その味わい深さがジャガイモの甘みと絶妙に絡み合う。 ラクレットは食事の中ではメイン料理に位置するというが、サイドメニューになりがちなジャガイモを主役にしてしまうのはチーズの力なのか。 「白ワインと食べるのが最高!」とデニーさんは言う。

「スイスは昼食を一番大事にしています。 昼食の時間になると子どもは学校から、大人も職場から家に帰ってきてみんなで食事をするんです。 私もスイスにいた頃はそうでした。 でもお昼は時間が限られるでしょう。短い時間の中で、ラクレットは手軽で食べやすいんです。 それにみんなでグリルを囲むから会話も弾む。 学校で起こったこととか、他愛のない話をして笑いながら食べるのがすごく楽しかった」

8人兄弟の7番目だったというデニーさん。 3歳まで祖父母の家で育てられ、実家に戻っても物心ついた頃には上の兄弟はすでに働いていて家にいなかったというから、家族が揃う時間の大切さをより深く知っているのだろう。 日本は学校も職場も遠いし、忙しいからなかなか一緒に食事ができないね、とデニーさんは少し寂しげに言う。

「毎日食べるものではないけど、そのぶん食卓に出ると嬉しかったですね。 日本の天ぷらのような感じでしょうか、日常食だけど少し特別感がある。ラクレットは家族の食卓を豊かにしてくれるんです」。 いまは年に一度くらいしかスイスに帰れないというが、そのときは親や兄弟と食卓を囲み、近況を話しながらラクレットを食べるそうだ。

「スイス料理で最初に名が上がるのはチーズ・フォンデュだと思いますが、あの料理はスイスにほど近いフランスのサヴォワ地方が発祥なんです。 今ではどちらも同じくらいよく食べられているけれど、本当の意味でスイス人が自国の料理だと誇るのはラクレットかな」とデニーさん。

おじいさんが作るラクレットを嬉しそうに眺めて待つハイジの姿は、時代が移り道具が発展しても変わらないスイスの家族の食卓を、そのままに映し出しているのだ。

スイス料理ー8

スイス料理・イタリア語圏のレシピ

  • ピッツォッケリソバ粉で作る短いタリアテッレで野菜と角切りジャガイモと共に調理する。
  • ポレンタ:何世紀もの間、ポレンタは貧民の食事と考えられていた。トウモロコシが現在のティチーノ州南部に17世紀頭に伝わり、この単調な料理に変化をもたらした。しかし、ポレンタが(まず混ぜた穀粉で作られ、後にトウモロコシ粉のみとなり)この地域の主食となるまで、更に200年を要した。
  • サフランリゾット:スイス最南の州、ティチーノ州の料理である。

スイス料理・グラウビュンデン州のレシピ

  • ビュンドナー・ヌストルテ:クルミ入りケーキには数種類のレシピあるが、グラウビュンデン州の渓谷、エンガディン地方のものが最も有名である。
  • クールミートパイ:スイス東南のグラウビュンデン州で人気の料理。
  • ビュンドナーゲルシュテンズッペ(Bündner Gerstensuppe、グラウビュンデンの大麦スープ):グラウビュンデン州発祥の最も有名なスープ。
  • Bizoccals cun ravitscha(クラウトピツォケル、Krautpizokel):キャベツ添えピツォケル。ピツォケルは様々な方法で供される。ある地域ではピツォケルだけを食べることをロマンシュ語の「bizochels bluts」(禿げたピツォケル)と呼ぶ。行儀正しく料理の少しを残すことを、エンガディン地方では「far sco quel dal bizoccal」(「ピツォケルを残す」とほぼ同じ意味)と呼ぶ。

スイス料理の飲料品

ラクトースの炭酸飲料、リベラ (Rivella) がスイスで最も人気の飲み物である。 リンゴジュースは、炭酸入りと炭酸なしの両方とも、スイスの多くの地域で人気であり、リンゴシードルもまた生産されている。 チョコレート飲料のオボマルチンOvomaltine、オバルチン)はスイス発祥であり、特に若者に安定して人気である。 飲み物として以外にも、バターを塗ったパンにオボマルチンの粉末をふりかけて食べる。

ワインはスイスの多くの地域、特にヴァ―レー州、ウォー州、およびチューリッヒ州で生産される。 リースリング×シルバーナはドイツ語圏で生産される人気の白ワインであり、一方、シャスラはフランス語圏で生産される最も人気の白ワインである。 ピノ・ノワールはフランス語圏とドイツ語圏の両方で最も人気ある赤ブドウである一方、イタリア語圏ではメルローがその地位についている。

スイス料理ー9

 === 続く ===

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