民族のソウル・フード探訪 =052=

◇◆ 世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅   ◇◆

【“NATIONA GEOGRAPHIC/日本語版(文=中川明紀・編集者)”に追記補講】

★ ダシは生ハム! スペインの豪快煮込み料理 =1/3= ★

​​​​​​ ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​スペイン料理ー1

   今年は冬季五輪にサッカーW杯と世界的なスポーツイベントが続くので楽しみにしているのだが、そのW杯の優勝候補の一角であるスペインと日本が昨年、交流400周年だったことはご存知だろうか。

FIFA世界ランク1位(2014年1月16日現在)を誇るサッカーのスペイン代表には、「無敵艦隊」という愛称がある。これは16世紀末、スペインがもっとも隆盛していたころの大艦隊に由来する。この大艦隊が実際に無敵だったかというと英国征服に向かって大敗してしまうので、前回のW杯で優勝したときは皮肉が込められた愛称を名実ともに我がものにしたのだなあ、と感動したものだ。

それはさておき、その無敵艦隊の時代から少しくだった1613年、仙台藩主の伊達政宗が当時スペイン領だったメキシコとの直接貿易の許可を求めて、スペインに使節団を派遣した。  これがスペインにおける日本からの初めての正式な使節団であり、スペインとの交流の端緒になった。

そうした経緯で昨年から今年にかけて、日本の各地でスペインの歴史や文化を紹介するさまざまなイベントが開催されている。  当然というべきか料理にまつわるイベントもあるわけで、それならばと、本格的な冬を迎える前、ソウルフードのヒントを求めてあるイベントに出かけたのである。

東京・渋谷区の代々木公園イベント広場で催された「フィエスタ・デ・エスパーニャ」は人であふれかえっていた。スペインの食・音楽・文化を紹介するイベントで、料理のブースには長蛇の列ができ、メインステージでは情熱的なフラメンコに拍手喝采。  寒さを忘れる熱気に包まれながら会場内を歩いていると、とくに長い列ができている料理の店舗が目にとまった。

覗くと美味しそうな生ハムを切っているお兄さんがいる。  小説『ドン・キホーテ』の舞台で有名なスペイン中部のラ・マンチャ地方出身のフェルナンド・ピカソ・サンチェスさんだ。  普段は理化学研究所 脳科学総合研究センターに勤めているが、友人の店を手伝うためにフェスに来たのだという。  手が空く時間を狙ってスペインの料理について伺うことにした。

「いま一番食べたいのは、コシード・マドリレーニョですね」

休憩を利用して話してくれたフェルナンドさんは開口一番こういった。日本でもだいぶ知られるようになったスペイン料理、パエジャ(パエリア)やガスパチョなど有名料理は数々あるが「コシード・マドリレーニョ」というのは初めて耳にした。  コシードとは「煮込み」を意味する言葉だそうで、「コシード・マドリレーニョは首都マドリード発祥の家庭料理なんですよ」とフェルナンドさん。  地方色が強いスペインでは料理も多種多様、煮込み料理も各地にあるが、コシードは全国的に食べられているという。

煮込みだというが具体的にどのような料理なのだろうか。  そう問うと、「ガルバンソ(ひよこ豆)と肉の塊とジャガイモやニンジンを丸ごと入れて煮込みます。肉は家庭によって違いますが、僕のところは豚肉と鶏肉とチョリソを入れますよ」とフェルナンドさんは言う。その言葉に「えっ、いろいろな肉を一緒にいれちゃうの!?」と反応すると、「味付けは塩とオリーブオイルだけ。肉汁のうま味が味の決め手なんです」と笑顔がかえってくる。

「食べるときは具材とスープを分けて食べます。冬の料理で身体がすごく温まるので、寒い季節になるとコシードが待ち遠しくて。  日本のスペイン料理店では見かけないのでいまはなかなか食べられないんです。  母親につくり方を教わったけど、一度にたくさんつくるので一人じゃ食べきれないし。  だから、クリスマスはいつもスペインで過ごすんですが、母のコシードを楽しみに帰るんですよ」

スペイン料理ー2

スペイン料理とはスペイン固有の料理のことであり、イベリア半島の山の幸と地中海の海の幸をよく生かした料理で知られる。 2010年、イタリア料理ギリシア料理モロッコ料理と共に、スペイン料理が、地中海の食事としてユネスコの無形文化財に登録された。

イベリア半島は「ヨーロッパの尾」「アフリカの頭」と言われ、古来から異なる民族・文化・宗教が交差しており、スペインの食文化はイベリア半島の歴史的背景の影響を受けている。 また、スペインは地方によって気候や風土、文化、習慣が異なるため、材料やその調理方法は様々で、事実上スペイン料理として一括りにはできない。

国内全ての地方や社会階級で食べられている「国民料理」に相当する料理は長らくの間存在していなかったが、1960年代の観光産業の発展の結果、各地の郷土料理が「国民料理」に分類されるようになった。 こうした中でカタルーニャバスクガリシアの地域ナショナリズムが抑圧されたフランコ独裁政権では、カスティーリャ地方のコシードが国民料理に据えられ、他地域の全ての煮込み料理がコシードから派生したと喧伝された。

世界一歴史の古いソースと言われるアリオリソースをはじめ、焼いた鶏肉からにじみ出る油を使ったチリンドロンなど、多くのソースが料理に使われている。 特にバスクアラゴンといったスペイン北東部は、特徴的なソースが使われる地域として知られる。 しばしばスペイン料理は香辛料がふんだんに使われている印象をもたれるが、こうした先入観とは裏腹に香辛料はあまり使われない。 しかし、18世紀以前のスペイン料理には過剰とも言われるほどの香辛料が使われていた。

スペインには変わり種のパンは存在していないが、ミガスなどの残り物のパンを生かした多くの料理が生まれている。 固くなってしまったパンは「石」を意味するピエドラと呼ばれるが、「固くなったパンもスープに入れれば美味しくなる」という意味の「石でも煮れば柔らかくなる」という格言が存在する。

スペイン人は食生活に対して保守的な傾向があると言われているが、20世紀末になって珍しい外国の料理を供するレストランが大都市で増加し、若年層を中心に人気を博している。 タパスピンチョスなどの伝統的なスペインのファーストフードとは異なる、ハンバーガーやフライドチキンなどの外来のファーストフードも若年層に好まれているが、児童の肥満の原因がファーストフードにあるという指摘も出されている。

スペイン料理ー3

 === 続く ===

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