民族のソウル・フード探訪 =054=

◇◆ 世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅   ◇◆

【“NATIONA GEOGRAPHIC/日本語版(文=中川明紀・編集者)”に追記補講】

★ ダシは生ハム! スペインの豪快煮込み料理 =3/3= ★

​​​​​​ ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​スペイン料理ー1

 素朴だけど温かい料理をほおばりながら、ふと気づく。肉や野菜、味付けは家庭によって微妙に異なるが、ガルバンソだけは必ず入っている。 それを尋ねると「コシードの主役はガルバンソなんですよ。もともとはユダヤ人の料理なんです」とカルロスさんが教えてくれた。

スペインがあるイベリア半島は大西洋と地中海に面していて、ジブラルタル海峡を挟んで南にアフリカがあり、半島のつけ根にあたる北東部はフランスと接している。 この地理的条件によって古くからさまざまな民族に侵攻・支配されてきた。 それは半島南部にあったイスラム勢力の拠点が陥落する15世紀末まで繰り返され、食文化にも多大な影響を与えている。

「ガルバンソは西アジアや中東が原産と言われています。 イスラム勢力に侵攻されていた時代、スペインは王侯貴族に重用されていたユダヤ人の影響も受けていました。 ユダヤ人は宗教の教えで土曜日に仕事をすることができません。 だから金曜の夜になると、炭火の上に鍋を置いてガルバンソと残り物の肉や野菜を入れ、朝までゆっくりと煮込んで土曜に食べたそうです」

それがコシードの原形となって広まっていったのだとカルロスさんは言う。 宗教上、豚肉を食べず、ほかの肉も適切な処理が必要なユダヤ人にとって、タンパク質が豊富なひよこ豆は貴重な栄養源だったのだろう。

さらに、イスラム勢力からの国土奪回後、キリスト教徒が中心となったスペインでは、ユダヤ教徒は改宗を迫られた。 改宗しても疑惑の目にさらされたユダヤ人たちは、大鍋に豚肉やチョリソを加えたコシードをつくり、まわりの人びとに振る舞ってともに食べ、改宗のアピールをしたという。 いろいろな肉が入っているのはここに由来するのかもしれない。

奇しくもイスラム勢力の拠点陥落と王国の援助を受けたコロンブスが新大陸を発見したのは同じ1492年。 ここからスペインは隆盛していく。そうした背景の中で、コシードはかたちづくられていったのだ。

コシードが全国的に広まっている理由は、20世紀にコシードを国民的料理にしようという動きがあったからだと言われている。  「マドリレーニョ」と首都の名が付くのもそこに理由があるのかもしれない。 それがどのような影響を与えたかはわからないが、「私の一番好きな料理です。 スペインに帰ったら必ず母につくってもらいます」と話すカルロスさんの言葉には、コシードがスペイン人の心にしっかりと根付いている重みがあった。

しかし、これはかなりボリュームのある料理だ。 スペインでは昼に食べるそうだが、こんなに食べたら満腹で眠くならないのだろうか。 ユーロに加盟後、昼に長い休憩をとるスペインのシエスタ文化も薄れつつあるようだが、コシードにはシエスタが必要だ……。 満たされてぽっこり出たお腹をさすりながら、そんなことを考える午後のひとときであった。

スペイン料理ー2

※ 主なスペイン料理の品目

【 スープ 】

ソパ・デ・アホ (sopa de ajo) /  ガスパチョ (gazpacho) /  サルモレッホ (salmorejo) – 完熟トマト・刻みニンニク・乾燥したフランスパン・オリーブオイルをミキサーにかけ、仕上げに塩・酢を加えたもの。

【 豚肉 】

ハモン・セラーノ (jamón serrano) /  ハモン・イベリコ(jamon iberico) /  チョリソ (chorizo)

【 肉料理 】

セゴビア風子豚の丸焼き (cochinillo asado a la segoviana) /  ピンチョ・モルノ串焼き)(pincho moruno)

【 有名な料理 】

トルティージャ (tortilla) /  パエリア (paella) /  レンズ豆の煮込み (lentejas) /  コシード (cocido madrileño)  /  スペイン風サンドイッチ (bocadillo) /  アヒージョ(ajillo)

【 シーフード 】

イカの墨煮 (calamares en su tinta) /  タコのマリネ (pulpo a la vinagreta) /  タコのガリシア風 (pulpo a la gallega) /  エビのにんにく炒め (gambas al ajillo) /  いわしのフライ (Boquerones fritos) /  いわしの酢漬け (Boquerones en vinagre) /  ピントゥス

【 野菜 】

マッシュルームセゴビア風 (champiñones a la segoviana) /  ポテトサラダ (ensaladilla rusa) /  ほうれん草のカタルーニャ風 (espinacas catalanas)

【 菓子類 】

トリハス – スペイン風フレンチトースト – (torrijas) /  アロス・コン・レーチェ – お米のプディング – (Arroz con leche) /  クレマカタラーナ (crema catalana) /  チューロス (churros) /  トゥロン (turrón) /  タルタ・デ・サンティアゴ (tarta de Santiago)

【 飲み物 】

サングリア (sangría) / ワイン (vino) /  シェリー (jerez) /

【 新しい料理 】

エスプーマ

スペイン料理ー3

 === 続く ===

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