民族のソウル・フード探訪 =055=

◇◆ 世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅   ◇◆

【“NATIONA GEOGRAPHIC/日本語版(文=中川明紀・編集者)”に追記補講】

★ ボルシチ上手は良妻の証!! =1/3= ★

​​​​​​ ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ロシア料理ー1

 ソチオリンピックが始まった。  2月7日(予選の一部は6日)から23日まで、7競技98種目が行われる冬のスポーツの祭典だ。ウィンタースポーツは無知なのだが、連日テレビや雑誌で特集が組まれているので興味が湧かないわけはない。

開催都市のソチはロシア南西部、黒海に面したロシア随一の保養地。  ソビエト連邦時代に整備され、スターリンをはじめ、歴代指導者の別荘があるという。プーチン現大統領の別荘もあり、彼はソチを開催地に選んだのは自分だと、その強い思い入れを語っている。

ロシアといえばスポーツ大国である。いままでの冬季オリンピックのメダル数はソビエト時代193、ロシア時代が91(AFP調べ)で、合わせると1位のノルウェーに次ぐ2位の獲得数となる(ちなみに、夏季も米国に次ぐ2位)。  これは社会主義時代に培われた英才教育の賜物なのだろうが、力の源はやっぱり「食」。きっと、ロシア人のパワーを支える食べ物があるに違いないと、今回のソウルフード探しの旅が始まった。

正月早々引いた風邪がようやくおさまった1月19日、横浜市の桜木町駅に降り立った。  この日、市内のある施設で開催される「ヨールカ祭」に参加するためである。  ロシアのソウルフードについて調べを進めていたところ、「ヨールカ祭というロシアのクリスマスを祝うパーティーに、ロシアの料理もいろいろ出ますよ」と、パーティーを主催するNPO法人神奈川県日本ユーラシア協会の副理事長・関戸真哉さんにご招待いただいたのだ。

「国民の多くがロシア正教を信仰するロシアでは、旧暦(ユリウス歴)の12月25日をキリストの降誕した日と捉えているんです。  それが現在の暦では1月7日にあたるので、この日にクリスマスを祝うんですよ」と関戸さん。  日本と旧ソビエト連邦の国々との交流を目的に設立された神奈川県日本ユーラシア協会では毎年ヨールカ祭を開催しているが、7日が日本では正月休み明けになるため日にちをずらしているそうだ。

「正月の後にクリスマスというのも不思議な気分だなあ」と思いながら会場に足を踏み入れると、150席ほどある席はすでにほとんど埋まっていた。  ロシア系の人が半分弱くらいいるだろうか。  食事はビュッフェ形式のようで、会場の一角にサラダやスープ、肉料理、餃子のようなものなどが並んでいる。  料理をじっくり見ようとしたらパーティーも始まったようで、みなが一斉に食事を取りに動き出した。

人の流れに飲み込まれて出遅れてしまった。  料理の前にはすでに人だかり……って、よく見るとひとつの料理だけ長蛇の列ができている。  「なんだこの人気ぶりは!?」と驚いて、近くにいた女性に尋ねてみる。

「ボルシチですよ」

そう教えてくれたのは、タチヤーナ・クジコーヴァさん。  ロシア、ウラル山脈の麓にあるペリルという町の出身で、いまは横浜市内でロシア料理を教えているという。

「ロシアでもっともよく食べられている料理です。  冬にボルシチを食べると身体がすごく温まるんですよ」とタチヤーナさん。

「ボルシチ」は日本でも有名なスープだが、列ができるほどの支持を得ているのか。  そう問うと、タチヤーナさんが教えてくれた。

ロシア料理ー2

※ ロシア料理とは、ウラル山脈以西の伝統料理を元にして発達した、ロシアの伝統料理である。

ロシア古来の農民料理は、ロシアの気候や風土や素朴な農民文化を反映し、全体としては保存食を多用した煮込み料理、炙り焼き料理、スープが多いが、今日のロシア料理は多面的な側面を持っている。  ロシア料理が豊穣かつ多様な性格をもつのは、ロシアそのものが帝国として広範かつ多様な文化を包含してきたからである。

ロシア料理の基礎は、しばしば極めて厳しくなる気候風土に暮らす農村住民のあいだから生まれた、農民の料理である。  それは豊富に手元にあった魚、家禽、野生の鳥獣の肉(ジビエ)、キノコベリーや蜂蜜を組み合わせたものだった。  またライムギ、小麦、大麦、キビ等の穀物は、パン、パンケーキ、粥、クワス、ビールそしてヴォトカの原材料を提供した。  風味豊かなスープやシチューは、旬の、あるいは貯蔵可能な食材、魚、そして肉を中心としたものである。

冬が長く厳しいため、様々な野菜のピクルスや果物のジャムなど多くの保存食料が作り出された。  ロシアの伝統的なオープンには焜炉が無かったため、調理法はロースト、パン、鍋にふたをしてオーブンで加熱した煮込み料理など、オーブンを使った焼き物が主であり、この全き土着料理は、20世紀に至ってさえなおロシア人の大多数にとり主食であり続けた。

ロシアに信徒が多いロシア正教会では大斎の際に食事制限が存在するが、ヒマワリの種子は禁止リストになかったため、ロシアでは教会法と矛盾なく食用可能なヒマワリ種子を常食とする習慣が発達し、19世紀半ばにはロシアは食用ヒマワリ生産の先進国となった。  またこの経緯からロシアではソ連時代からヒマワリを国花としている。  また同様の理由からカトリックやプロテスタントに忌避されるイカやタコに抵抗がなく沿岸部で肴として食されている。

ロシア料理ー3

 === 続く ===

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