民族のソウル・フード探訪 =057=

◇◆ 世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅   ◇◆

【“NATIONA GEOGRAPHIC/日本語版(文=中川明紀・編集者)”に追記補講】

★ ボルシチ上手は良妻の証!! =3/3= ★

​​​​​​ ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ロシア料理ー1

ニシンがコートを着ている料理!?

「ビーツはロシアでは本当によく食べるんです。今日のメニューにあるシューバにも使われていますよ」とクリコフさん。シューバという料理は初めて耳にした。クリコフさんいわく、「シューバとはロシア語で『外套(コート)』という意味。酢漬けニシンが外套を着ているんです」とのこと。 ますますわからないので料理を取りに行って、合点がいった。ニシンが包まれているかのように、ジャガイモやニンジン、ビーツと層を成しているのだ。

「今日のようなクリスマスとか誕生日のパーティーでよく食べるんですよ」とクリコフさん。 たしかに、素材が細かく切ってあって手が込んでいるし、ビーツの赤や卵の黄色が華やかでおめでたい印象を受ける。

食べてみるとニシンはしっかり漬けてあって酸味が強い。 そこにマヨネーズとヨーグルトを使ったマイルドなソースやジャガイモ、ニンジンを合わせることでまろやかさが出て、ほどよいバランスが生まれている。  それから驚いたのはビーツ。ニンジンよりも甘い。ボルシチにどこかやさしさを感じたのはこの甘さだ。ビーツがロシア人に愛されている理由がわかったような気がした。

私が「ボルシチもシューバもロシアの国民的な料理なんですね」と言うと、予想外の言葉が返ってきた。 「実はボルシチはウクライナ発祥の料理なんですよ」。そう話してくれたのはクリコフさんの友人でウクライナ南部の都市ミコライフ出身のミシャク・マンドリイさんだ。  「ウクライナでボルシチは母の味。ボルシチがつくれないとお嫁に行けないのはロシアと同じですけどね」と笑う。

実はウラクイナ生まれのボルシチ

そこで会場にいたほかのウクライナ人にも聞いてみた。 ドネツィクという都市出身の松野スベタラーナさんだ。 「そうそう、ボルシチはウクライナ料理です。ウクライナ人はみんなボルシチが大好き。家族4人だと、朝に20リットル分くらいつくりますが、一日で食べてしまいますね。冬は毎日のようにつくります。ロシアより味が濃くてパプリカを入れるのが違いでしょうか」

「ボルシチ」はもともとウクライナ語で「草」を意味し、転じて「薬草の煮汁」を表す。  ロシアで食べられるようになったのは18世紀からのようだ。  当時はロシア帝国時代(1721年~1917年)で、ウクライナはロシア領だった。 さらに1922年から91年まではソビエト社会主義共和国連邦を構成する国のひとつ。そういえば、タチヤーナさんが言っていた。「私はロシアで生まれたけれど、いまは両親はウクライナ国籍なんです。ソ連が崩壊する前にウクライナに移住したから」と。 こうした人びとの移動、交差によって、ボルシチはロシアの国民的料理となっていったのだ。

ちなみに、ソチでとくに期待している選手を聞くと、多くの人が男子フィギュアスケートで3大会連続メダルを獲得しているエフゲニー・ヴィクトロヴィチ・プルシェンコの名を挙げた。  31歳というフィギュア界ではピークを過ぎたとされる年齢で、怪我や手術を繰り返してきたにもかかわらず、ロシアのたった1枠の出場権を勝ち取ったプルシェンコ。 きっと彼もボルシチを食べて育ったんだよなあ。そう思いながら、風邪で弱った身体に活力を与えるべく、食べかけだったボルシチを平らげた。

ロシア料理ー2

※ ロシアの有名な料理

【 スープ 】 シチー – キャベツのアウープ  / ボルシチテーブルビート(スヴョークラ)、キャベツなどの野菜と肉を煮込み各種調味料で味付けしたウクライナ料理のスープ。ロシアでもよく食される  / ウハー – 魚スープ  / オクローシカ – 野菜と肉を刻み、クワスを加えた冷たいスープ  / セリャンカ – 肉や魚のスープ  / ラッソーリニク – ピクルスのスープ

【 肉・魚料理 ビーフストロガノフ牛肉の薄切りをスメタナのソースで和えた料理  / コトレータ – カツレツ  / シャシリク – 肉の串焼き(中央アジアの諸民族の伝統料理)  / フォルシュマーク – 刻みニシンにマッシュポテト・タマネギのみじん切りを加えて焼いた料理  / キシュカ – 血や穀物を用いたソーセイジ

【 野菜料理 】 ガルブツィー – ロールキャベツ  / サラートオリヴィエ – ポテトサラダ  /

 パン・粉物料理 】  ピロシキ – 小型のパイ/ チェブレキ – 揚げたミートパイ(クリミア・タタール人の伝統料理)  / ペリメニ – 水餃子に似たダンプリング(シベリア起源)  / ブリヌイ(ブリン) – クレープ  / カーシャ – 粥

【 飲み物 】 ウォッカ(ヴォトカ) – ライ麦その他から製造される蒸留酒  / クワス – ライ麦と麦芽を発酵させてつくる微アルコール性飲料  / キセリ – 葛湯の様なとろみのある果汁ジュース  / バルチカ – ロシアビール

【 デザート 】 ババ – 菓子パン  / シャルロートカ – ロシア風シャルロット  / パスハ – フレッシュチーズで作る復活大祭の菓子  / クリーチ  / プリャーニクジンジャーブレッドの一種

ロシア料理ー3

=== 続く ===

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