民族のソウル・フード探訪 =063=

◇◆ 世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅   ◇◆

【“NATIONA GEOGRAPHIC/日本語版(文=中川明紀・編集者)”に追記補講】

★ カラフルすぎるリトアニアのお味噌汁 =3/3= ★

​​​​​​ ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​リトアニア料理ー1

 リトアニアはロシアと隣接し、ロシア帝国時代とソビエト連邦時代の2度にわたってロシアの属国となっている。 いっぽう、ボルシチはウクライナ発祥だが、同じようにロシア領になる中でウクライナからロシアに伝わって国を代表する料理になった。ボルシチの「シチ」は「スープ」という意味。 シャルティ・バルシチェイもロシアと歴史を交錯する中で「冷たいボルシチ」と言われるようになったのかもしれない。 ただ、大臣はきっぱりとこう言った。

「シャルティ・バルシチェイはリトアニア発祥の自慢の料理です」

それにしても、日本と感覚が似ているというのは具体的にどこなのだろうか。 それについては、ガリナさんのご主人で駐日特命全権大使のエギディユス・メイルーナスさんが教えてくれた。

「リトアニアはバルト海に面したとても自然豊かな国です。 いまはカトリックですがもともと自然崇拝が強く、日本の神道とメンタリティや考え方がとても近いんですよ。たとえば、日本人は褒められると『いえいえ』と謙遜しますよね。 ヨーロッパは『褒められて当然』と自己主張が強い人がほとんどですが、リトアニアは日本と同じで前に出たがらない国民性なんです」

そうした奥ゆかしさに親近感がわくという。 さらに、日本人を特別な存在にしたのが第二次世界大戦中にリトアニアの日本領事館で副領事をしていた杉原千畝。 ナチスの迫害から逃れてきた難民にビザを発行して6000人の命を救ったという「日本のシンドラー」とも呼ばれる人物だ。 「彼の功績はとても評価されていて、リトアニアではヒーローです。 彼の行い、考え方は日本人の心根に通じる部分ではないかと私たちは関心を持っているのです」

大使は今回、玉木さんたち日本人の協力のもと、東京マラソンの会場でシャルティ・バルシチェイを紹介できることがとてもうれしいと言う。 「リトアニアではいま寿司が大人気なんです。 僕も寿司が好きだし、味噌汁も好きです。 それと同じように、私たちにとって味噌汁のようなシャルティ・バルシチェイを日本の人たちが喜んで食べてくれて幸せに思います」

リトアニアの人たちの日本への思いを聞いて、シャルティ・バルシチェイの味がよりやさしく感じられた。 ただひとつ、立春が過ぎたとはいえまだまだ冬。 しかも東京マラソンのゴール地点は寒風吹きすさぶ臨海エリアだ。 心は温かくなったけど身体は正直なもので……。 「シャルティ・バルシチェイはやっぱり夏が合いますね」と言うと、ガリナさんが教えてくれた。

「リトアニア人は季節を大事にするので、冬には冬のソウルフードがあるんですよ」。 今回のイベントには出していないが、近く行われるあるレセプションで振る舞うという。 暑い季節のソウルフードを聞いたのだから、寒い季節のソウルフードも知りたい。 レセプションにお邪魔する約束をしっかり取り付けて会場を後にした。

リトアニア料理ー2

寒冷の恵みが味わえるマイルドな料理≪その三≫

リトアニア料理には欠かせないスルバ(スープ)を紹介します。 バルシュチはロシアのボルシュ(いわゆるボルシチ)で、ビーツを使った赤い熱いスープです。 シャルティバルシュチという冷たいボルシチも国民食で、ビーツとサワークリームを混ぜて作る、一度見たら忘れられない不透明ピンク色のスープです。

ビゴスはお隣ポーランドでも国民食で、「狩人のシチュー」とも呼ばれるように、その日獲れた肉、ソーセージ、キャベツやザワークラウト、きのこなどを、火にかけたり火から降ろしたりを繰り返しながら2~3日かけて煮こんだものです。そのほか、ブルビニューククリュースルバ(すりおろしたじゃがいもで団子を作ってミルク煮にしたもの)や、トリンタブルブスルバススール(チーズとじゃがいものポタージュ)など、ほかにも種々のスープ料理があります。

おやつにも食事にもなるブリナーリは、フランスのクレープと同じ料理(語源としてはロシアのブリヌイが近い)で、リトアニアではとってもポピュラーです。肉のそぼろを乗せて巻いたものは食事にもなります。

伝統的おやつなら、スプルゴス(ドーナツ、ポーランドのポンチキと同じ)や、シャコティス(コンペイトウのように生地が角立てて焼きあがったバームクーヘンの原型、結婚式にも登場するおめでたいケーキ)がおすすめです。

飲み物なら、デグティネ(ウォッカ、麦やじゃがいもから作られる蒸留酒)を飲むと旧ソ連らしさを味わえます。 アルス(ビール)もポピュラーな飲み物で、リトアニアの地ビールはソ連から独立した1990年以降は国際的にも評価され、受賞もしています。なお、リトアニアはブドウ栽培には適さず、ワインは輸入のお酒という位置づけで、ほかのお酒に比べるとお値段お高めです。

ソフトドリンクでおすすめなのがギラです。 ロシアやウクライナのクワスと同じ、パンと水を発酵させた無~微アルコール性の炭酸飲料で、1000年以上の長い歴史があると言われます。市販の工業生産品は薄いコーラ味で、キリッと冷えたものは美味しいです。

暑い国では自然と食材が育まれるものの、寒い国では食材の種類は多くありません。なのにリトアニアは料理の種類がいっぱいあります。これを読んでくれた人がもしリトアニアに行かれるのならば、千差万別な料理に仕上がるじゃがいもや、アニマルの奇妙な部位が豊富に売られているスーパーマーケット散策を是非楽しんできてほしいなと思います。パンチのある香辛料をあまり使わず、乳製品を多用するマイルドで優しい味わいですから、多くの日本人が楽しめる味ではないかと思います。

リトアニア料理ー3

 === 続く ===

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