民族のソウル・フード探訪 =066=

◇◆ 世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅   ◇◆

【“NATIONA GEOGRAPHIC/日本語版(文=中川明紀・編集者)”に追記補講】

★ 腹持ち良すぎるリトアニアの“飛行船”料理 =3/3= ★

​​​​​​​​​ ​​​​​​​リトアニア料理ー1

 16世紀に南米からヨーロッパへと伝わったジャガイモは、栄養価が高く、寒冷で痩せた土地でも育つことから、17世紀にヨーロッパ各地で起こった飢饉の際に広く食べられるようになった。 保存がきくため冬の大事な栄養源となり、東欧や北欧では主要作物となっている。 リトアニアでは黒パンが主食だが、毎日のようにジャガイモが食卓に上がり、ヴェダレイというジャガイモの腸詰めなど珍しい料理もある。 その中でとくにツェペリナイが愛される理由は、会話に加わったガリナさんが教えてくれた。

「リトアニアの冬はマイナス20度にもなるほど寒く、エネルギーをすごく必要とします。 ジャガイモが凝縮されたツェペリナイはずっしりとして腹持ちが良く、パワーも出る。 寒い冬を乗り越えるために欠かせない料理なのです」

言われてみれば、確かにさっき食べたツェペリナイは胃の中にドンと居座っていて満腹感があり、身体全体はほんのりと温かい。 ジャガイモのでんぷん(糖質)はエネルギーになる栄養素だ。 また、疲労回復の効果がある豚肉だが、リトアニアではジャガイモを餌にすることで養豚業がさかんになったという。 重労働の農民には力を与えてくれる料理だったのだろう。

ただ、まだ疑問がある。 ツェペリナイという名前が飛行船の名に由来するのなら、この料理はせいぜい100年ほどの歴史しかない新しいものなのか。

「料理自体はジャガイモが普及した頃からあったと思います。 でも、シャルティ・バルシチェイにも言えることですが、当初からいまと同じだったわけではありません。 料理も文化ですから、時代に合わせて少しずつ変わっていくものです」とダリアさん。 その過程でいつしか、親しみを込めて“ツェペリナイ”と呼ばれるようになったのだろう。

実は種類もいろいろなんですよ、と言うのはガリナさん。 「つくるのが大変なので頻繁には食べませんが、思い出すのは家族のこと。 今日のツェペリナイは私の家のレシピだけど、つくり方や中の具は家庭ごとに違うんです」。 その証拠に、ダリアさんの家ではジャガイモの生地は茹でてつぶしたものと生ですり下ろしたものを半々にして混ぜ合わせ、中にカッテージチーズを入れてサワークリームをかけて食べるそうだ。 「かたちも丸に近いのよ」とダリアさんは笑う。

具材は豚肉が基本だが、チーズのほかにも牛肉や羊、リンゴを入れる地域、家庭もある。レストランでも食べられる料理だが、目の前に置かれるとふと“母の味”が懐かしくなるものだという。 「仕事が忙しく、料理をつくる機会が減ってしまいましたが、離れて暮らしている息子が帰ってきたときはツェペリナイをつくるんですよ」とダリアさん。

「うわー、これもっちもちで美味しい!」

料理が並ぶテーブルでそんな声が上がった。 ツェペリナイは日本の食品産業関係者の中でも好評なようだ。  「リトアニアでは日本の料理が人気なので、日本人にもリトアニア料理は合うのではないかしら」とダリアさんは言う。

テーブルを見るとツェペリナイはもうあとわずか。 もっと食べたそうな顔をした人もいる。  「味見のつもりが、ひとりで2つも食べてごめんなさい」。 心の中でそっと謝った。

リトアニア料理ー2

リトアニア名物ツェペリナイのレシピ

★材料~大きなツェペリナイ2個分
【皮の部分】
ジャガイモ中~大4個、片栗粉 適量
【なかの具】
合びきひき肉150グラムほど、たまねぎ半分、ニンニク少し、塩、胡椒、ナツメグなど
【ソース】
ベーコン厚切り2枚、たまねぎ半分、生クリーム150cc、ディルの葉ぱらっと少し、塩、胡椒
★作り方
(1) じゃがいも2個を茹でて、マッシュポテトに。 あと2個のじゃがいもはすりおろして、水分を絞っておく。 すりおろして絞った後のしぼり汁はそのままとっておく。
(2) 玉ねぎを炒めて、冷ましてから、塩コショウ、香辛料などと一緒にひき肉と練ってお団子にする。
(3) マッシュポテトとすりおろしジャガイモを混ぜ、しぼり汁は、茹で鍋のほうに入れ、底に残ったデンブン質が固まった部分をマッシュポテトに混ぜて、さらにお団子にできる程度の堅さになるまで、片栗粉を入れて、混ぜる。
(4) じゃがいものお団子を平たく延ばして、なかにひき肉のアンを入れ、丸く閉じて、ツェッペリン型に。
(5) たっぷりのお湯に、すりおろし汁を入れたなかで、たまにくるくる回しながら約30分茹でる。 じゃがいもの皮が崩れやすいので、弱火で茹でます。
(6) ゆで上がったら、ベーコン、玉ねぎを炒めて、生クリーム、塩コショウで調味したソースを掛けて、できあがり♪

リトアニア料理ー3

 === 続く ===

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