◇◆ 世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅 ◇◆
【“NATIONA GEOGRAPHIC/日本語版(文=中川明紀・編集者)”に追記補講】
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フレンチフライと呼ばないで!ベルギー人の誇りの味 =1/3= ★
「あの行列は何だろう!?」
3月上旬、千葉の幕張メッセで開催された「FOODEX JAPAN」を訪れたときのことだ。フーデックスは毎年、世界80の国と地域から約2800の食品・飲料メーカーなどが出展する、アジア最大級の食品・飲料展示会。 つまり、メーカーとバイヤーの商談が主な目的なのだが、世界各国の食が集まると聞いて、編集Tさんと取材にやってきたのである。
Tさんが指さす方を見ると、ベルギー王国の出展ゾーンの一角で人びとが列を成している。 並んでいる人に尋ねたところ、「揚げたてのポテトが試食できる」とのこと。 「それほど珍しくはないな……」と思ったが、「私、無類のポテト好きなんですよ!」と目を輝かせるTさんに連れられて最後尾に並んだ。
しばらくして順番がまわってきた。 何種類かあるが、どれも一口サイズで丸っこい。 いち早く口の中に入れたTさんが、「うまい!」と感嘆の声をあげたので、慌てて口の中へと放り込む。まわりは熱々のサクサクだが、中はとてもクリーミー。マッシュポテトを揚げたもののようで、ほんのりと甘く、疲れを癒してくれるようなやさしい味わいに、思わず顔がほころんだ。
「もう一回、並んできます!」
言うが早いか、Tさんが並びに行ってしまったので、出展者に話を聞いてみた。 出展していたのは海外の食品などを輸入・販売している日本の会社で、主力商品であるベルギーのポテトを紹介しているという。 担当の方の話では、ベルギーの人たちは毎日ジャガイモを食べていて、ジャガイモの加工会社も多く、加工商品の生産量は世界一、二を争うそうだ。
ベルギーの面積は約3万平方キロメートルで九州の4分の3程度しかなく、人口も1100万人ほど。 ヨーロッパはジャガイモをたくさん食べる国が多いが、ベルギーのような小さな国がジャガイモ加工商品の世界トップとはおもしろい。
そこでベルギー王国大使館を訪れた。快く応じてくれたのがクレール・ギスレンさん。ベルギーのジャガイモ事情を尋ねると、「ベルギー人にとってジャガイモは主食。日本人のお米と同じようなもの」だと言う。
「必ず毎日食べますよ。加工品も充実していますが、ジャガイモ自体の種類も多くて、スーパーには常時10種類ほど並んでいます。 日本よりずっと安く、5キロで2ユーロ(約280円)くらいです。 5キロ単位で買うのが普通ですね。 ボイルドポテトやマッシュポテト、それからスライスして炒めたりと食べ方もさまざま。 メイン料理に合わせて食べ方を変え、その調理法に適したジャガイモを選ぶんです」とクレールさん。そして、さらにこう言った。
「中でもフリッツは特別ですね」
フリッツとは、いわゆるジャガイモを細長く切って油で揚げる「フライドポテト」のことだそうだ。 フライドポテトといえばファストフードの定番じゃないか。それがなぜ特別なのか。そう問うと、クレールさんは少し誇らしげに笑って答えた。
「フリッツはベルギーが発祥地なんです」
フレンチフライ:
ベルギーでは料理の付け合わせはパンよりもむしろフリッツであることが普通である。街角にもフリッツスタンドが立ち、ベルギー人にとっては主食のようになっている。 なお、ベルギーではフライドポテトにサムライソース(マヨネーズにハリッサと油とレモン汁を加えたピリ辛ソース)やマヨネーズをつけて食べるのが一般的である。 フライドポテトとはそもそもベルギーのナミュールの住人が、細く切ってヘットで揚げたジャガイモを起源とする料理である。
イギリスでは、皮ごと乱切りにしたポテトを揚げたものをポテトウェッジズと呼ぶ。名 前の由来は「クサビ型」を意味する。 またチップバティと呼ばれるフライドポテトのサンドウィッチが老若男女問わず愛されている。 イギリスでは様々な料理の付け合わせとしてフライドポテトが好まれる。 白身魚のフライとフライドポテトを盛り合わせた「フィッシュ・アンド・チップス」は非常に一般的な料理である。 さらに、インド料理店店や中華料理店などにおいても、ナンや米飯の代わりに注文する人がいる。
アメリカのレストランでは、ハンバーガーやサンドイッチのつけあわせとしてフライドポテトが供される。 これはハンバーガーを主な商品とするファーストフード店でも受け継がれており、バーガー類とドリンク、フライドポテトを組み合わせたセットメニューが多く見られる。 ヨーロッパでファストフードと認識されているトルコ料理のドネルケバブの屋台でも、つけ合わせとしてフライドポテトが用いられる。 こうした店のフライドポテトの材料となるジャガイモは、専用の大型品種が用いられる。
=== 続く ===
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