民族のソウル・フード探訪 =084=

◇◆ 世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅   ◇◆

【“NATIONA GEOGRAPHIC/日本語版(文=中川明紀・編集者)”に追記補講】

発酵が命! 酸っぱさが美味しいエチオピアの主食 =3/3= ★

​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ ​​​​​​​​​​​​​​エチオピアー1

​​​​​​​​​ ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

 確かに見回す限りでは、エチオピア人はすらりとしていてメタボの人はほとんどいなかった。栄養豊富で太らない健康食品でもあるということだ。 東京オリンピックのマラソン金メダリスト、アベベ・ビキラの強さもインジェラにあったのだろうか。

それにしても毎食のように食べるとなるとつくるのも大変ですね、と言うと、発酵に時間がかかるし、つくり置きができるため、一般的な家庭では週に1~2回、人数が多い家庭で3回程度、まとめてつくるという。

「基本的に材料はテフと水だけですが、つくる人によって味が違います。 やっぱり、母親がつくるのが一番美味しい」と言うのは、ビザを担当する外交官のダムトゥ・グルマさん。「エチオピアはほぼ、女性が料理をします。だから、女の子は美味しいインジェラをつくれないとお嫁にいけません」

セイファさんが言うには、インジェラは味だけではなく見た目も大切らしい。 「インジェラの表面に気泡のような穴がたくさんあるでしょう。 これは発酵させることによってできるんですが、この穴がきれいに並んでいると、いいインジェラです。 それをつくるためには発酵はもちろん、焼き方も重要。 エチオピアでは土や牛糞でつくったかまどに鉄板を乗せて焼きます。 火がじっくりと伝わるので、きれいな穴ができるんです」

日本の味噌汁は飲まなければわからないけれど、インジェラは見ただけで“いいお嫁さん”になれるか判断できてしまう。私たちにとってインジェラを食べるのが試練だとしたら、エチオピアの女性にとってはつくるのがある意味、試練のようだ。 それを象徴するのがロザさんの言葉だった。

「私の娘はいま1歳半ですが、1年後にはつくり方を教え始めますよ」

思わず聞き返してしまった。2歳半でつくり方を覚え始めるというのだ。 「いい夫を見つけるためには美味しいインジェラは欠かせません。 それに、インジェラは芸術。教育の一環でもあるんです。 だから親として教えられることは教える。うちに限らず一般的な家庭はどこも同じですよ」

小さな頃から家事を手伝うエチオピアだが、“おふくろの味”はまっ先に覚えるべきことのようである。 しかし、広いアフリカ大陸の中でもインジェラが食べられているのはエチオピアと、エチオピアから独立したエリトリアだけ。 エチオピアの国家の歴史は紀元前5世紀頃に遡ることができ、インジェラも紀元前から食べられていたというが、世界ではさまざまな食物が海を越え、山を越えて行き交っているのに、なぜエチオピアはインジェラが広がることも、ほかの穀物が席巻することもなく、独自の食を保つことができたのだろうか。

「エチオピアは国土の大半が高地。 私の生まれ育った首都のアディスアベバは、標高約2400メートルのところにあります。そうした地理的条件もあって、ほかの国のように欧州などの植民地になりませんでした。 だから自分たちの文化を守り続けることができたんだと思います」

セイファさんはそう教えてくれた。 インジェラは食べ物としてだけでなく、自国の文化を象徴するものとして大切にされているのだろう。 今年の秋に、エチオピア航空の直行便が成田に就航する。 今度は本場のとことん酸っぱいインジェラをエチオピアの太陽の下で食べてみたいものだ。

エチオピアー2

エチオピア料理 =その三=

エチオピアのキリスト教徒、イスラム教徒の両方に肉食に関する一定のタブーがあるが、都市部では形骸化しつつある。 キリスト教徒は牛、ヤギ、ヒツジ、ニワトリの肉を食べ、イスラム教徒はそれらの動物にくわえてラクダの肉も食べる。 ブタはキリスト教徒、イスラム教徒いずれの間でも敬遠されている。

エチオピアではしばしば生肉が食べられ、牛の生肉が最高のものと見なされている。 ヤギやヒツジを屠り、火を通していない右足と肝臓を供することが、もっとも丁重なもてなしとされている。 ぶつ切りにした新鮮な肉をナイフで切り分けてトウガラシの練り粉を付ける、あるいはタルタルステーキのように小さくみじん切りにした肉に油や香辛料を加えて生肉は食される。 みじん切りにした肉を使った料理のクトゥフォ(クットフォー)は、生肉のまま供するトレ、肉にやや火を通したラブラブ、よく火を通したゲバヤロの中から好みの調理法を選択する。 また、クトゥフォの付け合せにはカッテージチーズのアイブや茹でたキャベツをみじん切りにしたゴーマンなどが添えられる。

インジェラの副菜として、ワットというシチューが食べられている。 ワットはバルバリを使ったカイ・ワットと、バルバリを使わないアレチャ・ワットに大別される。 肉、魚、野菜がワットの材料となり、バルバリ、カルダモン、ショウガ、フェヌグリーククミンなどの香辛料、香草が使われる。 鶏肉とゆで卵を使ったドロ・ワットは最上級のワットで、これを供することがもっとも丁重なもてなしとされている。

エチオピアー3

 === 続く ===

前節へ移行 ; https://thubokou.wordpress.com/2017/05/29/

後節へ移動 ; https://thubokou.wordpress.com/2017/05/31/

 ※ 下線色違いの文字をクリックにて詳細説明が表示されます ⇒ ウィキペディア=に移行
*当該地図・地形図を参照下さい

—— 姉妹ブログ 一度、訪ねてください——–

【疑心暗鬼;民族紀行】 http://bogoda.jugem.jp/

【浪漫孤鴻;時事心象】 http://plaza.rakuten.co.jp/bogoda5445/

【閑仁耕筆;探検譜講】 http://blog.goo.ne.jp/bothukemon

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中