民族のソウル・フード探訪 =086=

◇◆ 世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅   ◇◆

【“NATIONA GEOGRAPHIC/日本語版(文=中川明紀・編集者)”に追記補講】

ネパールの“三位一体”弁当とは? =2/3= ★

​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ ​​​​​​​​​​​​​​ネパール食ー1

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  食事のスタイルというのはごはんと味噌汁、というようなことだろうか。 シュレスタさんは「お弁当で持ってきている子もいますよ」と言って教室を見回し、その子の席へと案内してくれた。 机の上にはごはんとタルカリが2つ。いや、1つはスープかな?

「ダルバート・タルカリです」

ダルは豆のスープ、バートはごはんという意味。 「本来は、ダル、タルカリ、ごはんにアチャールという辛い薬味を加えた4品をワンプレートに盛りつけて食卓に出されるんです」とシュレスタさん。 そういえばネパールの食堂でワンプレートの料理を食べたな、と思い出しながらダルをのぞき込むと……これまたスパイシー。

インドのソウルフードがダールという、いわゆる“豆のカレー”で日本の味噌汁のようなものだと聞いたが、ネパールのダルも同じらしい。 タルカリは野菜がメインの場合が多いそうだから、言ってみればダルバート・タルカリは野菜炒め定食のようなものだ。 ネパールの食事はいつでもどこでもこれが基本セットだという。

「朝と夜にダルバート・タルカリを食べるんです」とシュレスタさんは言う。 スクールでは日本の習慣に合わせているが、本来、ネパールは一日2食。昼はお茶とカジャと呼ばれるパンなどのおやつで軽く済ませる程度で、これは食事にカウントされないというから「食事=ダルバート・タルカリ」と言っても過言ではない。 毎食同じセットで飽きないのだろうか、とつい思ってしまうが、子どもが一生懸命食べる様子を見るとそれは誤解だとわかる。

とはいえ、誕生日など特別な日には違うものを食べたりもするのではないか。 そう尋ねると「ダルバート・タルカリを食べますね。ただ、タルカリの種類が増えたり、いつもより肉が多かったりと、普段よりは豪華になります。 民族ごとの祭事ではその民族特有の料理を食べたりしますが、それ以外は正月でもダルバート・タルカリです」とシュレスタさん。

「野菜炒め定食が焼き肉定食になって小鉢がつく感じかな」と思いながら食事を見ていると、ふとあることに気づく。ジャガイモが入ったタルカリが多いのだ。

「好き嫌いはともかく、一番よく使われているのはジャガイモです。 栽培が比較的楽で、栄養価も高いので、ネパールではジャガイモはタルカリの王様と言われているんです。 そう書いてある教科書もあるんですよ。 タルカリに限らず、アチャールにも使うし、茹でたり揚げたりしてカジャにもできて、とても重宝されている食材です」

シュレスタさんの話では、ネパールは国民の7割が農業を営んでいて基本は自給自足。 都市でも中心部の人以外は家に畑があって、野菜や豆、米をつくっているそうだ。ダルバート・タルカリは家で栽培した食材をつかってつくる。 ジャガイモの原産地は南米でコロンブスがヨーロッパへもたらし、商人によって世界的に広まった。 ヨーロッパでは飢饉を救う食べ物として普及し、いまや欠かせない食材となっているが、ネパールでも同じように定着していったのだろう。

いっぽう、ダルはインドのダールとの違いはあるのだろうか。 やっぱり私には同じ“豆のカレー”にしか見えないのだが……。

「豆はウラドダル(黒豆)やムングダル(緑豆)、チャナダル(ひよこ豆)が一般的ですが、地方や家庭の好みによって違うし、それはインドでも同じでしょう。 大きな違いはスパイスの量と油。ネパールはインドよりスパイスが少なめ。 油もインドではたっぷり入れますが、ネパールは炒めるときと風味付けに少し使うくらい。 だから、インドのものより水分が多くてサラッとしています。 タルカリも同様です」

ネパール食ー2

ダル(daal)は、小粒の豆を使ったスープであり、さらっとしており通常、米飯にかけて指先で混ぜ込んで食べる。 ネパールは300種類にも及ぶ豆を料理に使うため、ダルが食事の主役といっても過言ではない。 レンズマメキマメ黒豆リョクトウケツルアズキなどがよく食べられる。

バート(bhaat)は、ライス(米)の意味で、バスマティと呼ばれるインディカ米(長粒種米)であり、細長くパサパサしている。 ネパールでは白米意外にディロ(トウモロコシやシコクビエなどの粉を熱湯で練ったもの)やローティ(パン)も主食として食べられる。

タルカリ(tarkaarii)はおかずであり、炒めた野菜やカレー(野菜が主)などで、ジャガイモ、カリフラワー、ニガウリなどがよく使われる。 ときに別に肉料理などもつくこともあるが一般家庭では稀であり、週に一度くらいしか食べない。 おかずがない場合はダルとバートだけの組み合わせになることもある。 最低ダルとバートだけは入るため、ダルバートと呼ばれ、名の由来ともなっている。

サーグ 青菜の炒め物。

以上にアツァール(またはアチャール、アチャル)(acaar)と呼ばれる辛口の漬物、薬味がつくのが一般的であり、大根やジャガイモなどがよく使われ、乾燥させたグリーンピース、ティンブール(tinbur サンショウ)、 焦がしたフェヌグリークなどの風味が入り混じる。 食事全体としては大変に栄養のバランスが取れている。

おかずであるタルカリ(tarkaarii)には、スパイス(マサラ)が使われ、日本でいうカレーにあたるが、肉は滅多に使われず、野菜が中心である。 ジャガイモ、タケノコなどもよく使われる。 以下にタルカリに使われる代表的なスパイスを上げるが、中でもよく使われるのは、ベサール(ウコン)、ラッスン(ニンニク)、モリジ(黒胡椒)、アドゥア(ショウガ)、クルサニ(トウガラシ)などである。 料理に便利な様々なスパイスをあらかじめ調合したミックスマサラ(ミックススパイス)もあり、「ガラムマサラ」などがその代表的なもの。 その他、「カレーパウダー」、「チキンマサラ」、「野菜マサラ」などもネパールの食料品店やスーパーでは市販されている。

ネパール食ー3

 === 続く ===

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